執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)
「政治」
1)ボリッチ動向
月曜日、新大統領の就任式に参加する為メキシコを訪問しました。その後、サンティアゴに戻らずアントファガスタに行き、いろんな行事に顔を出しました。そこで軍隊に10台の車両を授与し、国境警備の強化を図るよう指示しました。彼は私たちがこうして地道に問題に取り組んでいるのにそれを認識しないで批判だけするのは悲しいことだとコメントしました。彼の言うのは正しいですが、彼が分かっていないのは結果がちゃんと出ないので彼の言う努力が全く評価されないことです。国内で政治・経済の問題が継続・拡大していますが、その重責を逃れて、外国へあいさつ回りをするのが好きですね。
さて彼の前妻(結婚していなかったから前のカップル)が新左翼の住宅省関連の不正問題で名前が出てきました。どうなるかな?私は彼女を信頼しているとコメントしました。新聞の社説にこの問題が出てもう1年もたつのに裁判が進まないのはなぜかと厳しい批判が書かれました。まさかボリッチが裁判所に急がないよう依頼しているのではないでしょうね。彼を憲法違反として訴えると右翼のRN党が言っていますが、ボリッチはそれは子供の喧嘩だと軽くあしらっています。右翼の中でも意見の違いがあります。
彼の最後の予算が国会で論議されますが、ピニェラの時代の財務大臣がこの予算では国の発展が全く進まないだろうと批判しています。成長より安定ですか?イスラエルの攻撃で中東は大変ですが、ボリッチはレバノンに空軍機を送り、そこからチリ人を引き上げる計画とか。
2)地方選挙
全く盛り上がっていません。右も左も攻めるより守ると言う雰囲気でしょうか?
3)エルモシジャ問題
彼と携帯で会話した人が軒並み問題になっています。情報の提供・交換ですが、それが裁判所や検察の首脳陣に広がって大問題になっています。最高裁判所のビバンコさんが連日のように話題になっていますが、彼女がエルモシジャと知り合ったのは最高裁判所の裁判官になる前だったので、彼に頼んで空席を捜したのでしょうか。そうなら彼に情報を流すのは日常だったでしょうね。
「経済」
1)銅価格と為替
1ポンド4.44ドルと高値安定です。他の金属に比べて銅の人気は高いですね。どうして?為替は1ドル908ペソとなっています。原油価格の値上げが心配されていますが、中東紛争は継続ですから、近い将来大騒ぎになりますね。株式市場IPSAは少し下がって6480ポイントでした。
2)貧困率
南米諸国の貧困率が発表されました。最悪2か国は貧困率が50%を越えるアルゼンチンとベネスエラでした。逆に最少の数字は6%のウルグアイとチリでした。ボリッチはパッとしませんが、少なくともこの数字は素晴らしいですね。
3)不動産
不動産の販売が低下していますが、二番目の家、別荘ですね、の販売が激減とか。ビーニャとか南部のプエルトバラスなどに人気がありますが、マンションは80%、一軒家は75%の売り上げ減少とか。
「一般」
1)観光
観光シーズンが近づいていますね。先週は日食があったのでイースター島のホテルは全部埋まったとか。夏になると観光船がチリに溢れますが、今年の夏は(来年3月ころまで)は昨年の25%アップの32万5千人がチリを訪問するとか。アメリカ人とカナダ人が1位、2位になるらしい。南極観光が注目を集めているとか。
2)銃の登録
チリでは正規に登録すると銃を保持するのが認められますが、今年度は2447件と昨年より19%上昇とか。しかしこのシステムではいつかアメリカのように銃の犯罪が多くなるでしょうね。銃は持てないとして、銃を持つ人間をすべて逮捕すれば、犯罪が激減すると思いますが。
「政治」
1)ボリッチ動向
月曜日に全テレビ局の画面に彼が現行奨学金システムCAMを廃止して新方式にすると発表がありました。国会でどう議論されるでしょう。これは彼の責任ではなく、前政権から引き継がれたものです。もしそれが成立するとCAEで借金を持っている75000人が苦悩から釈放されるとか。もちろん彼らの借金は国が負うわけですね。ボリッチが大統領選挙の時、約束した最大の課題が成立するかも?もちろん、それを引き継ぐ新システムが上手く行くかが心配されますが。さて夏が近づいてくるといつものように山火事の危険が大きくなります。今週その消防グループを集めて激励会があり、ボリッチは彼らの奮闘を願うとしました。
2)国会
トア内務大臣が治安問題で機能していないと憲法違反として訴えられましたが、国会の結論は67対76でそれを拒否するものでした。右翼内閣の時、左翼が訴えていたのと同じことを逆方向にしているわけですね。つまり野党の攻撃は失敗でした。トア内務大臣はこの結果を踏まえ、自己批判から職を辞することはしないとコメントしました。
先年、国会で各自が積み立てている厚生年金を引き出すことを認める法案が成立し、多くの人が引き出しました。野党議員は皆さんのために働いていると大喜びでした。その人たちが年金をもらうようになったのですが、2019年と比較すると 今年の受給額は30%下がったとか。当然ですね。年金の基礎が減少したのですから。国民は引き出したことを後悔しているかな?
3)チャドウィック問題
最高裁判所のビバンコ裁判官はその職を失うことになりました。もう一人の裁判官セルヒオ・ムニョスも検査されています。そのチャドウィックは自分の携帯の会話を好きなように検問するのは法律違反ではないかとクレームしています。右翼UDI党員でピニェラ政権の時に内務大臣をしてたチャドウィックはこれから裁判になりそうなのでUDI党を辞任しました。党に迷惑をかけない為ですね。
4)地方選挙
あと、2週間に迫りましたが、全く盛り上がりません。???選挙管理委員会から投票所でその日働く人の名前が発表されました。運が悪いですね、全日働くわけですから。
「経済」
1)銅価格と為替
銅価格は1ポンド4.31ドルと先週よりかなり下がりました。そのため為替は1ドル930ペソとペソ安になっています。しかし今年のチリの輸出総額はかなり増加していますが、その理由が銅価格の上昇によるものですから、運がありますね。
2)物価上昇率IPC
9月は0.1%で予想より低い数字でした。今年に入ってから3.5%、過去12か月で4.1%と通常です。株式市場IPSAは6551ポイントと大きな動きはありません。それから会社の理由で解雇された人の数が最近少しは減少していますが、1-8月の合計数字はバンデミア以降の悪い数字になっています。家屋(マンションも)の販売は落ちていますが、9月の新車の販売は3年連続で前年対比上昇とか。家は買えないから車を買おうと思うのでしょうか?
「一般」
1)犯罪の増加
毎週同じですが、今週も殺人事件やATM現金受け渡し機が襲われ、何千万ペソもが奪われました。街頭での殺人も継続で、政府の対策が功を奏して犯罪がおさまって来たとはとても思えません。その例として、仲間と誕生日パーティをして深夜にバス停を待っているところへ、グループが襲い掛かり携帯電話を取られたのですが、逆らうとナイフで刺され、病院で死亡とか。それから観光客狙いの犯罪も増え、例えば近くの州のバルパライソでは連日の事件が報告されています。
それに関連した項目ですが、来週に社会騒乱が始まった5周年記念日が来ます。右翼のピニェラ政権を倒そうと新左翼を中心にした運動がチリを席巻したのですが、今週の世論調査で6%の人がその騒乱の前より現在のチリは良くなったと考えるとか。つまりほとんど全員が悪くなったと考えているのですね。放火・略奪をデモ隊の一部が継続しましたからね。反右翼と暴力行為は同じではないのですが・・・
「政治」
1)ボリッチ動向
今週は社会騒乱5周年記念が最大の話題かと思いましたが、違いました。内務大臣補佐官の問題でした。そんなことは大統領府の公示にはありませんが。
2)内閣改造
新法務大臣ガハルドが任命されました。彼は共産党です。その理由が、大臣ではありませんが、内務大臣の補佐で社会安全を職にしているモンサルべ次官が辞任したからです。その職は政府にとって最重要事項なので、彼は大活躍していたのですが、彼の下で働いていた女性から性的暴行事件を訴えられ、裁判と仕事を同時には出来ないと辞任したもの。悲しい現実ですね。そして後任に前法務大臣コルデロが就任したわけです。レベルは下がりますが、緊急に彼の力が必要とボリッチが判断したのですね。給料は下がるけどボーナスを出すのでしょうね。
ボリッチはその件に関し記者会見をし、何と1時間ほどそれを説明しました。しかしモンサルべは自分の肩書を利用し、女性を暴行したとするホテルの安全カメラを自分でチェックしたり(何か消そうとしたのかな)、その頃、南部の実家に行くのに警察軍の飛行機を個人的に使用していました。その事件が発覚してから辞任させるまでに時間がかかりすぎているとボリッチを批判する声が出ています。また内閣の女性大臣は私にとって最悪の事件だが、マスコミで聞く以外にはそのニュースは全く入ってこなかったと政府の実情を漏らしています。このスキャンダルが世界に漏れたらチリってレベルの低い国ねと言われそう。この裁判の時、ボリッチも証人として呼び出せと野党は言っています。
右翼のUDI党の前党首の父親が性的暴行で6年の刑を受けました。この事件で彼は党首を辞任したのですが。もちろんそんな事件は右翼も左翼もないですね。個人の問題ですから。
3)エルモシジャ事件
毎週、この話題が注目されます。最高裁のムニョスは30年も裁判官を務めていますが、今回、国会で憲法違反と認定されました。娘に情報を流していたらしい。もっともこれに関し、国会と裁判所は同列ではないのかとする疑問も出ています。最高裁の裁判官の選定・任命のシステムが変更されるかもしれません。
検察長官のバレンシアはエルモシジャと喫茶店でコーヒーを飲んだとか、携帯でチャットをしたことがあるとか。コーヒーを一緒に飲むのは犯罪になりませんが、その時、どんな会話をしたかが問題ですね。検察長官が逮捕になれば大スキャンダルですね。
4)地方選挙
毎週、同じことを書いていますが、全く盛り上がりません。有名な選挙地で、例えばサンティアゴ区、どの候補がリードしているとか知りたいです。候補者のパンフレットを見るとほとんど全員が「区民の安全を守ります。私は透明で公正な仕事をします」と訴えています。レコレタ前区長が区経営の薬局事業で不正をしたとして裁判になっていますが、今回サンティアゴ区長が不正な支払いをしていたとするニュースが出ました。彼女は今回の選挙に立候補しているので大きな影響が出ますね。ところでその二人の区長は共産党です。右も左も同じことをするわけです。
「経済」
1)銅価格と為替
銅価格は先週より少し下がり1ポンド4.30ドルでした。このため為替も1ドル945ペソとペソ安になっています。
2)公定歩合引き下げ
0.25%下がり5.25%になりました。最近、家屋・マンションの販売が落ち込んでいますからね。
「一般」
1)社会騒乱5年記念日
その頃のデモ隊の中で、新左翼議員が、恐らく全員が、騒いでいました。勿論ボリッチが叫んでいるのもニュースに出ました。今年のその日も記念デモが行われ65名が逮捕されました。警官が3名負傷しました。しかし予想より少ないデモ隊でした。5年前の社会騒乱に関し、質問された大統領府長官はピニェラ政権に問題があればそれを改革・変更させようとするのは当然だとしました。つまり社会騒乱は正当な動きだったとするわけですね。あれだけ国や市民に大きな打撃を与えたのに。共産党党首カルモナはこの件に関し右翼は私たちを批判・攻撃するが、それが起こったのは自分たちの責任だと言う自己批判が無いのはおかしいとしています。
新左翼代表のウィンテルは暴力はいけないと言うのは分かるが、5年前に政治・民主主義でチリは失敗していたとコメントしています。その5年前の社会騒乱の時、閉店した商業施設が何と現在までその4.6%が元に戻っていません。その多くはレストランとか。
それとは全然関係ないですが、犯罪は増える一方で、この週末8件の殺人事件が起きています。チリはどうなったの?
「政治」
1)ボリッチ動向
土曜・日曜日と地方選挙があったので、彼は故郷のプンタ・アレナスに行って投票しました。その住所を現在の所に変えれば、そこで投票できますが、彼はその手続きをしないで実家に帰ります。会社員なら上司から怒鳴りつけられますが、彼は政府内のトップですから好きなようにできますね。でも大統領職が終わったら、投票所を変えるかもしれませんね???その選挙の結果ですが、州知事の場合、今回の投票で結論が出ず、決選投票をするのですべての結果は出ていませんが、全般的には与党の勢いより野党の勢力が上回っているようです。区長の場合56%が再選でした。また女性の勝者は18%だったとか。移民の投票者数は79万人で昨年より16%アップとか。移民が増えているのははっきりしていますね。一番話題になったのは首都圏のサンティアゴ区の区長選挙で、現職の共産党区長に、野党RN党の候補が挑戦し、野党が勝ちました。今までの例で、その区長になったグループが次の大統領になるとか。それはボリッチの次は右翼が勝つと言う予想です。
州知事ならほとんどの候補者が知られていますが、区長(市長)やその補佐官などは投票者に知られていない候補者が多く、その人が所属する党に投票されているとか。そんな複雑困難な投票は嫌だと白紙投票が多いようです。投票が義務制ですから、投票所に行かなければ罰金を取られます。私の場合は投票所から何千キロも離れた場所にいましたから、現地の警察に行って、その場所にいた証明書をもらいました。
さてモンサルべ内務次官問題が起こってからボリッチの動向は止まったようでしたが、今週の大統領府の発表では、どこかの学校の図書館設立30周年記念の行事に教育大臣と一緒に出席したとか。モンサルべ事件後、内務省で4人ほど辞任したそうですが、事件に関係があったのか、通常に仕事が出来ないからでしょうか?与党内で、新左翼からモンサルべ事件につき批判が出ていますが、政府内でどう対応するか検討中とか。
2)エルモシジャ問題
裁判所、検察そして警察とチリ中に彼とコンタクトをした人間が問題になっていますが、それが収まらないで拡大しています。政界にももちろん飛び火するでしょうね。年内にどれだけの人が裁判になるのでしょう。
「経済」
1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド4.26ドル、為替は1ドル945ペソと両方とも先週とほとんど同じでした。
2)GDP
IMFの発表ですが、今年のチリのGDPは1.9%が予想されていますが、それに達成する可能性は低いとか。来年は2.4%が見込まれていますが。どうでしょう。
それとは関係ありませんが、アルゼンチンのミレイ政権が上手く機能すれば経済でチリの上に戻ると言われます。それから同国内でチリ人の犯罪グループが逮捕されました。チリの中でも外でも悪いことをしているのですね。
「一般」
1)性暴力
内務次官のモンサルべが問題になっていますが、火曜日はホルヘ・バルデスの件が全局で流れました。彼はコロコロとチリ代表で活躍した過去のある有名なサッカー選手ですが、今回同じ問題で裁判になりました。アメリカの大統領候補のトランプも同じようなことをしたのでしょうが、彼はお金で解決したのでしょうね。世界中どこでも同じかな?
2)学生問題
INBA高校でモロトフ爆弾が爆発し多数の負傷者が出ました。その学校はチリが民主化してからの初代大統領エイルウィンが卒業した所で、有名な学校ですが極左のグループが多く、学校内外で暴力行為をしています。生徒だけでなく教職員にも負傷者が出ています。悲しい実表で、どうすればその事件が無くなるのかはっきりしません。
3)山火事
サンティアゴはもう最高気温が35度まで上がっていますが、近隣州でも気温が上がり、山火事の危険性が急上昇とか。もう11月にも山火事発生のニュースが出そうです。
以 上