連載エッセイ429:ピーター藤尾「チリの風」その32 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ429:ピーター藤尾「チリの風」その32


連載エッセイ429

「チリの風」その32

執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)

「2024年11月25日ー12月1日」
「政治」

1)ボリッチ動向

内務省のナンバー2だったモンサルべが婦女暴行で逮捕され裁判になっていますが、ボリッチが同じような疑いで訴えられました。左翼は右翼のデッチ上げだろうと馬鹿にしていますが、どうなるのでしょうか。ボリッチを訴えた女性は研修生だった時代に彼と知り合ったのですが、その後、彼女の個人的な写真をボリッチが悪用したとしています。それは犯罪行為なのか単なる悪戯か知りませんが、これに関して政府内では訴えに根拠が少ないとする声がでています。私の考えは、訴えに根拠がないとするなら、その女性と背後のグループを徹底的に訴える。逆に証拠が十分なら裁判になる前にボリッチを退任させるです。この訴えが出て、3日ほど彼は表に出ませんでした。その後、コリナ地区で家屋省の建設した309軒の家を同地区の住民に渡す式に参加し、マスコミからこの件について質問されると、「私の個人的なことは弁護士に任せています。私は大統領としてチリの国民の皆さんに関する件で働きます。そのためにここにいるのです」と回答しました。

今年に入ってこの種の訴えは7000件に上っています。さてボリッチ政権の女性省大臣が注目されています。女性の人権を守るのがその任務なのに、政府内でそれに反する事件が出れば、彼女はそれにどう対応すべきなのかです。それとは別にボリッチは全テレビ局を使って来年度予算についての説明をしました。大統領として国民のために働いているのですね。

2)外交問題

1978年にチリとアルゼンチンは戦争寸前まで行きました。パタゴニア地区の領土問題です。それにローマ法王が関与し、彼の提案を1984年に両国が受けて問題は無くなりました。その40周年記念の行事がバチカンで行われました。チリは参加しましたが、アルゼンチンは不参加でした?アルゼンチン大統領ミレイがローマ法王を嫌っているのか、チリを無視しているかのどちらかでしょうね。ミレイとボリッチは今年に入って国際会議で何度も出合っていますが、一度も面談はしていません。ミレイはトランプとの会話があれば、他の大統領とは話する必要はないですか。

3)大統領選挙

中道左翼の中心だったキリスト教民主党は仲間の社会党に次の選挙は私たちと手を組むのか共産党と手を組むのかはっきりしてほしいと質問しました。右翼の方もチリバモス派と共和党の対立が全く解決しません。

「経済」

1)銅価格と為替

銅価格は低め安定で1ポンド4.03ドルでした。このため為替は1ドル977ペソになりました。ところでBHPがチリの銅鉱山に110億ドルを投資すると発表しました。彼らの見解では近い将来に銅の供給は需要を下回るとしています。チリの大きな鉱山はかなり老齢化してきましたね。含有率が低下です。

2)GDP

IMFの推定では今年のチリの成長は前回の予想より少し下がって2.3%。来年の予想は2-2.5%とか。低め安定ですね。明日発表される中銀のイマセック指数で10月は3%の成長があったことになりそうです。もっとも年間GDPの予想は前回と同じとか。ピニェラの時の財務大臣が、経済成長率がどうして伸びないのかをコメントしていますが、ボリッチが大統領をしている間は難しいかもしれませんね。

3)株式市場IPSA

今週は6581ポイントと大きな動きはないです。

「社会」

1)山火事

今年の初めにバルパライソ州で大きな山火事がありましたが、それに関連して森林局と消防署員の4名が放火の疑いで逮捕されました。何と大きな山火事が広がると彼らの仕事が増加し、当然ですね、ボーナスなどの収入が増えるとか。金目当ての放火だったのでしょうか。それがこの夏にも継続ですか?今週、消火航空機がチリに到着しました。ボリッチはバルパライソ州でそれを確認しました。飛行機は役に立つにしても、消防署の人間が放火を続ければ問題は軽減しません。つまりチリの山火事は自然環境の問題ではなく社会問題になります。

2)イースター島

ハイエルダールが島から盗んだ物品がオスロから70年ぶりに戻って来ました。ロンドンの大英博物館にも島から盗まれたモアイがありますね。

それからチリの人気グループのロス・ブンカ―スが島で公演しました。島に動きがあります。島の観光客は過去最高のレベルに近づいていますが、チリ全体としても観光客の数がコロナ問題以前のレベルになっています。外人観光客の半分はアルゼンチン・ブラジル人です。関係ありませんが、ペルーの外人観光客のトップはチリ人とか。

「12月2日ー12月8日」

「政治」

1)ボリッチ動向

チリの経団連Sofofaの年次総会に出席。そこで経営者陣から減税の依頼を受けました。政府としては金持ちから増税する予定ですが、彼らからその反対の要請が出たわけです。さぁどうなるのでしょう。増税に関しては月収6百万ペソ以上の人に新税が掛けられるとか。15万人がそれに当てはまるらしい。

南部のアイセン州の幹線道路を昨年1月に訪問したとき、ボリッチはここの幹線道路をすべて舗装しますと約束、2年たった今16%が舗装されたとか。ピニェラも同じ約束をしたけど、実現しなかった。口だけの大統領ですね。ボリッチはまだ1年少しありますが。

彼が女性に訴えられた件は取り調べが進んでいないようですが、彼が父親になると言うニュースが出ました。何それ?彼はまだ未婚です。未婚の父などどこでもあると言われるかもしれませんが、その辺の兄ちゃんならともかくチリの大統領ですからね。ボリッチを支持すると言うのは世論調査で25-30%です。大統領として役に立っているとは思えないですが。

来年度に新しい省の設立を予定。国会で認められればですが、それは安全省と呼ばれるとか。これに関して与野党から組織を拡大するのは良いアイデアではないとする反論が出ています。

2)民間健康保険イサプレ

イサプレには1198百万ドルの巨額の借金 があるとか。それは過剰な集金をしたのが見つかってそれを各契約者に、70万人に、払い戻しするわけです。その額は一人当たり400ペソから7千万ペソとか。400ペソなら貰ってもほとんど意味はないけど、7千万ペソはひどいですね。よくそんなに過剰徴収をしたもの。私は百万ペソを期待しましたが、保険会社からの通知では25万ペソでした。それが私の口座に振り込まれればニッコリですが、来月から徴収する保険金を毎月千ペソほど下げるなら、それはあまり目立ちませんね。その長期間で支払うことに批判が出ています。そんな過剰徴収を認めたのは前政府の責任でしょうね。ボリッチではありません。

3)公共投資

11-12月は30%削減になります。それは年間で予算の数字内に収めるため。

4)地方政治

先日の選挙で選ばれた345人の市長(区長)がこの金曜日から職に就きました。人気のあるプロビデンシアやサンティアゴ区の場合、その就任式の様子が詳しく報道されました。どこでも地区の安全を高めると言うのが目標のトップになっています。

全然関係ありませんが、チリにはエイズの患者が9.1万人いるとか。そしてそのうちの1万人は自分が患者であることを知らない由。しかしその数字はどこから出るのでしょうか?不思議です。

「経済」

1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.1ドルと少し上昇。為替は1ドル974ペソでした。

2)IPSA株式市場

今週は6648ポイントで終わりました。過去半年の最高レベルになっています。

3)物価上昇率IPC

11月のIPCは0.2%でした。

「一般」

1)過去と現在の比較

私の読んでいる新聞(ラ・テルセラ)が創刊74年になりました。それで過去との比較の特集が組まれました。人口ですが、現在は2千万人を超えています。しかし1952年は593万人だったとか。わずか74年で3倍以上になったとは???これに関してもっと詳しいことに興味があったので調べると

1960年 700万

1970年 980万

1990年 1330万

2000年 1500万でした。ピノチェットの軍事革命が起きたのは1973年、終わったのは1990年です。

その他に74年前は37%の6歳の子供が栄養失調だったのが、現在は同年齢の54%の子供の体重が通常以上になっている。

また信仰では昔は90%がカトリックの信者でしたが、現在は48%に落ちています。青年はもっと少ない数字でしょうね。

それからチリでは老人が幸福と感じているとされました。あなたは幸せですかと聞かれると青年は33%がはいと答えますが、壮年は45%、そして老人はそれが53%にまで上がります。チリの将来は今より良くなると考えるのは青年39%、壮年46%そして老人59%でした。私はいつも幸せですと書いているのはチリの社会の実情ですね。老人が住みやすいのですね。

2)大学入試

今年は29.4万人が受験しました。来年の1月20日に結果が発表されます。

3)教会参拝

今日はカトリックの祭日。聖母の日です。サンティアゴとバルパライソの間にあるロ・バスケの教会に何と100万人と言われる人が押し掛けました。土曜の夜から日曜日の朝までその教会の前を走る68号線は両面通行禁止になりました。それはその教会に行くのに車で行くのではなく歩いていく信者が溢れるからです。一日歩く人もいるとか。そして教会の外から中に入る時、膝づくとか寝そべって前に進む人が多くいます。ヨレヨレになって祭壇の前に着き、神にお祈りをします。感謝のお祈りですね。毎年この行事は続いています。

4)犯罪

毎日・毎週同じですが、今週はその中で麻薬組織の「アラグアの汽車」のリーダーがチリから逃げ出し、コロンビアにいるところを逮捕されました。チリ国内で多くの犯罪を繰り返していたので、裁判になるのは当然ですね。

5)山火事

首都圏近郊で、また山火事が報告されています。自然火災か放火なのかまだ分かりませんが。                            以   上

「12月9日ー12月15日」

「政治」

1)ボリッチ動向

モネダ宮殿の前の広場に大きなクリスマスツリーが置かれました。ボリッチは市民に交じって、それに無数の明かりが灯るのを祝いました。それから人権の日の記念行事がモネダ宮殿で行われ、彼は年少児の人権をしっかり守っていきたいとしました。その他では先の選挙で選ばれた各州の知事と面談し、チリ全土の発展を誓いました。ボリッチに対する女性の訴えに関するニュースは出ません。誰かが抑えているのでしょうね。その内、また大ニュースになります。

2)テロ防止法案

政府が出したテロ防止案に関し国会で議論され認められました。現行の法案は1984年にピノチェットが作ったものですから、役に立つとは言えませんね。この決定で問題の削減・低下が期待できます。何でもテロによる犯罪で社会が打撃を受ける国の中でチリは悪い方の17番目とか。悲しい現実です。この法案で南部のアラウカニア州に大型ドローンが導入されました。上空から怪しい動きを見張ると言うわけですね。マプチェ関連でしょう。この導入式に内務大臣のトアが出席しました。さて与党の一部の新左翼・共産党がこれに反対しました。それはこの法案で犯人・その関係者の人権が犯されると言うのです???共産党が政府に対抗するのを見て、右翼の方から共産党は政府から脱出するつもりだとコメントが出ました。違うでしょうね。共産党は後1年少しの次の大統領選挙の時に自分たちの居場所をはっきりさせるために政府に注文を出しているのですね。

それにも関連しますが、近づいてきている大統領選挙に向けて与党側に有力候補者がいないとなっています。バチェレット元大統領など数名の候補者が上がっていますが、人気のある候補者はいません。大統領府の長官バジェホが妊娠してかなり時間がたちました。そろそろ職場勤務を終えて自宅に残ることになりますが、彼女の代わりに労働大臣の女性がクリスマスのころからその職をするとなりました。その二人の女性は共産党です。

3)エルモシジャ事件

毎週、話題になりますが、今週は彼とピニェラの時の内務大臣チャドウィックの関連です。チャドウィックはピニェラも私も彼と不正なコンタクトをしたことは全くないとコメントしています。裁判になれば他の事がばれるのでしょうか?前内務省次官のモンサルべ事件も今月中に裁判所で尋問が行われそうです。なんでもバジェホがこの件で裁判所に呼び出されるらしい。

「経済」

1)銅価格と為替

1ポンド4.08ドルと低め安定です。為替は1ドル976ペソでした。コデルコ銅公社の今年の銅生産は国内の25%になるとか。ドミンガ鉱山は自然環境汚染問題からもう10年間も操業の認定・否定がはっきりしませんが、今回のアントファガスタ環境法廷で許可になったので操業に向かう方向になっていると言われます。最高裁判所の最終判決が待たれるのですね。

2)果物の輸出

今週、バルパライソから中国への直行の船が出ました。積み込まれていたのはサクランボでした。現地では1キロ当たりチリのペソ換算で28000ペソとか、チリでは 4000ペソですが???今年も中国でチリ産果物がバカ売れするのでしょうか?

3)IPSA株式市場

6768ポイントと史上の最高レベルに近づいています。好調ですね。どうしたのかな?チリ経済はそんなに好調ですか?

「一般」

1)デジタル先進国

国際評価ですが、チリは世界の41位にランクし、ラテンアメリカではトップでした。

2)犯罪

毎日、同じようなニュースが続くとうんざりします。首都圏で区のクリスマスのお祭りをしていた会場に二人組が入り、銃を発砲しました。二人が死亡とか。こうした殺人事件は日常ですが、今週は空港のタクシーの運転手のグループが観光客を騙しているのが見つかりました。私の住居から空港まで3万ペソほどです。それを65万ペソも払わされたと訴えた人がいます。その領収書もあります。そして何と9百万ペソも取られたケースがあるとか???そのグループの家を家宅捜査すると高級時計とか指輪が見つかりました。支払いの一部として取り上げたのでしょう。悲しい事実ですね。不法移民の母国送還問題ですが、毎年多くの不法移民をその母国に送還します。しかしその費用が馬鹿にならないとか。いやはやですね。

3)火事

気温が高くなると火事が増えます。首都圏の隣の州のフラシジャで山火事が起き、延焼中です。今週、新しい消化のための航空機が到着しました。これから夏が終わるまで、来年の3月ころまで火事の問題は継続ですね。首都圏でもいくつかの区で家屋やマンションで火事が起きています。それからラス・コンデス区のカランの丘で山火事が起きました。遊歩道の周りの丘の下草が乾いてカラカラになっていましたが、それに火がついたわけです。その遊歩道を私は週に一回歩いています。明日、そこに行ってどのあたりが燃えたのか見てきます。                         以  上

「12月16日ー12月22日」

「政治」

1)ボリッチ動向

アルゼンチンの経済大臣がチリを批判するコメントをしたのがきっかけでボリッチとミレイの間で諍いが起きています。そのコメントはチリは共産党が牛耳ってボリッチを抑えているとしました。ミレイは大統領選挙の前にチリを訪問し、チリ共和党の招待を受けたのですが、こんな左翼の大統領ではチリが良くなるわけがないとコメントして揉めました。ボリッチは「あなたも私も永久に大統領をするわけではありません。従ってお互いの批判をするより、その母国の発展を図るのが重要ではないか?」と軽く流しました。

中国を大事にするチリとアメリカ一辺倒のアルゼンチンでは政治の姿勢が違いますからね。

さてボリッチは南のニューブレ州を訪問し、チヤンの新病院を見学し、その後、その地区の農業関係者と面談をしました。チリの現在と未来は皆さんの農業にあるとしました。その他に国立銀行の支店開設式にも顔を出しました。それから国立競技場で、土曜日にベートーベンの第9交響曲の演奏会がありました。4万人がクラッシクを聞きましたが、それに参加したボリッチはこうして市民と一緒に音楽を楽しめるのは素晴らしいとテレビのニュースで話しました。

ところで大統領府の長官が出産のため職を離れますが、(来年9月に復帰予定)その後任者が、新左翼のエチェベリになりました。共産党員の労働大臣ハラのはずだったのですが、最終段階でボリッチが人選を変えたとか。

先の地方選挙で首都圏のサンティアゴ区の区長が共産党から右翼に変わりましたが、何と新区長が就任してすぐに150人の解雇をしたとか。経費を削減したいのか政治的理由か分かりませんが、区役所内は大騒ぎでしょうね。共産党内部で分裂騒ぎがあると言われますが???

ところで新左翼の作った組織「民主主義は生きている」が政府の貧民層援助のための基金を自分たちの手に残したとする事件が裁判になっていますが、有罪になりそうです。早くそれらの怪しい新左翼を一掃してもらいたいもの。もちろんそうなれば政府に悪影響が出ます。ボリッチが大統領選で勝った時、新左翼は天に昇ったようになりましたが、それ以降、毎年・毎月人気を落としています。その新左翼はわずかな人数で新グループ(党)を結成していますが、そのためチリの政党の数は世界各国の中でトップです???

ほとんどの国で議会を占める政党は約10党ですが、チリは31党です。日本も20党と多いですが。昔は、私はチリのすべての党の名前を覚えていましたが、今では半分も党のイメージがありません??

「経済」

1)銅価格と為替

銅の価格は1ポンド当たり4.04ドルとほとんど4ドルになりました。そのため為替はペソ安になって996ペソまで落ちました。

2)中銀の金利

0.25%下がって5%の金利になりました。11月のインフレは対前年4.2%アップと良くない数字でした。しかし2025年の当初は経済成長率が落ちる、海外からの投資が下がる、しかしインフレは高くなるとすべて悪い予報が出されています。ボリッチの最後の

年ですが。新マンションの販売価格がサンティアゴで下がっているようです。マイプなら5%減とか。

3)株式市場IPSA

今週は6701ポイントと先週より1%ほど下がりました。

「一般」

1)山火事

首都圏近くのパドレ・ウルタードで山火事が起き、その煙がサンティアゴの空を覆い始めています???また市内ですが、先週カランの丘で山火事がありましたが、今週はもっと中央部のサン・クリストバルの丘で山火事になりました。夏の終わる来年3月まで、チリの各地で火事の問題が起きそうです。

2)英語力

各国の英語力のレベルが調査されています。チリは標準レベルに入っています。ラテンアメリカで唯一アルゼンチンがその上の上級レベルです。日本はチリより下の低レベルですが、いつまでたっても日本の英語力は上がりませんね。

3)移民問題

移民がチリ在住を確認するために身分証明書RUTを受領する必要がありますが、その手続きをする事務所に3千人が押し掛け、事務所の外で大混乱になりました。警官が騒ぎを抑えようとしても3千人をコントロールできず、かなりの期間、混乱が続きました。私も昔そこで手続きをしましたが、最近はラス・コンデスのモールの中の事務所でその更新手続きが出来るようになったので混乱はほとんどありません。        以  上

「12月23日ー12月29日」

「政治」

1)ボリッチ動向

カティ・ウルタ―ドの恩赦

カティは彼女の前夫を殺した刑で20年間の懲役になりました。しかしその実情は男が彼女に暴力をふるったからとしてボリッチは大統領恩赦として釈放しました。女性団体がその恩赦を呼びかけていました。しかしそれなら裁判所が間違ったわけで、事件の実情をよく調べず、殺人刑にしたのは裁判官が責任を取るべきでしょう。逆に、女性保護団体が虚偽の内容で恩赦を呼びかけていれば、そこに責任を取らせるべき。ボリッチはちゃんとわかっているのかな?

それから彼は昨年のラテンアメリカオ・リンピックでメダルを取った選手にオリンピック村のマンションを寄贈しました。また南のタルカワノを訪問して砕氷船を見学。その船で1泊2日の旅を楽しみました。そして来年にこの船で南極の領土の維持を強固にしたいとしました。

内務省のナンバー2だったモンタルヘが婦女暴行で裁判になっていますが、彼の弁護士が辞め、新任に変わりました。もう勝つ可能性がないと考えたのか理由は知りませんが、毎日テレビに出てボリッチの側近だった彼の人生は意外と暗かったのですね。今年の犯罪関係で、最も市民に関心を持たれたのはこのモンタルヘ事件とエルモシジャ事件です。

2)妊娠中絶

それを認知するかがもめています。中絶を認知しようとする女性大臣オレジャナが野党から批判されています。

3)厚生年金

ボリッチの公約だったのですが、現行制度を改善するとしながら全く進みません。逆に次回の大統領選挙の右翼側のマテイが年金制度の改善を呼びかけています。

新左翼代表も政府に呼び掛けています。つまり右翼も左翼も改善したいのですね。じゃ何故進まないの?現行年金制度を運営する民間会社はもちろん抵抗していますが。

「経済」

1)銅価格と為替

銅の価格は動きません。1ポンド4.01ドルでした。為替も同じ傾向で1ドル991ペソと動きません。

2)輸出

チリの輸出品目はトップの銅に続いてサーモンでしたが、ここにきて伸びが無くなったので3位の果物に抜かれました。ところで来年2025年の経済成長率の予想が出ていますが、チリはラテンアメリカ諸国の中の最下位レベルです。チリの予想は半年前から少しづつ下がってきていますが、それは銅の価格に関連しています。今年の5月には1ポンド5ドルでしたが、それは現在は4ドルまで落ちていますから。この先どうなるかな?

ところで1月から電気代がまた上がります。チリの電気代はラテンアメリカの中で高い方とか。隣国アルゼンチンより50%も高いです。

「一般」

1)山火事

もう各地で火事のニュースが出ています。昨年対比で24%の増加とか。首都圏近郊だけでなく各州に飛び火しています。

2)犯罪

今週、南部のアラウカニア州で覆面部隊がトラック・乗用車に放火し、数台の車が燃え尽きました。そこに刑務所に入っているマプチェを釈放しろとするパンフレットが置かれていました。同じ種類の事件が継続ですね。さて一般の犯罪件数ですが、全国では昨年対比、1.4%減少しましたが首都圏は2.8%の増加とか。首都圏でこの週末5件の殺人事件がありました。

 ブリンク現金輸送

先日、現金を扱う会社が襲われ大金が奪われましたが、そのうちの数千万ペソが見つかりました。家屋の庭の隅に袋に入れられて埋められていました。どうしてそれが見つかったのか?犯人グループから漏れたのでしょうね。

3)年末年始の大移動

年末年始の移動として有名なのは首都圏からバルパライソ州への移動で、大晦日の打ち上げ花火を見るためです。その地区のホテルはもう満員でしょうね。ところがその海辺に大波が押し寄せて海岸地区は今日も接近が禁止になっています。大晦日の日はどうなるかな?年末年始の大移動は自家用車とバスを合わせると2百万人にもなると予想されています。ところが、山火事が増えていることから大晦日の花火を止める地区が増えているとか。私の住んでいるラス・コンデス区はカランの丘から花火を上げていましたがそこが先日、火事になったことから今年は花火を中止にしました。私はその花火を近くの公園からみるのを大晦日の楽しみにしていたのですが、今年はテレビで見るのかな?

以  上