『何もない僕が海の向こうで起業したら、成功した。 ―人生を変える「冒険の書」』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『何もない僕が海の向こうで起業したら、成功した。 ―人生を変える「冒険の書」』


『何もない僕が海の向こうで起業したら、成功した。 ―人生を変える「冒険の書」』
風間 真治 自由国民社
2023年6月 254頁 1,500円+税 ISBN978-4-426-12903-3

 ドミニカ共和国に貿易商社駐在員として3年在勤し、同国の女性と結婚したことから退社して現地で起業、現在は中南米15か国を商圏に貿易、不動産、金融、インターネット事業、小売業を展開している。会社の名が無くなり学歴・職歴・資格等が通用しないことを思い知らされた起業時、とにかく日銭を稼ぐためゴキブリ駆除のホウ酸団子の行商で凌いだこと、中古車販売が軌道に乗り始めたものの信頼していたマネージャーにごっそり横領され、取り返すための裁判で勝つまで5年もかかったこと、ボリビアのラパス市やトリニダード・トバゴで強盗に殺されかかったことなど試練が幾度も襲った。著者が中南米でビジネスに成功するために会得した富を築く原則として、お金は快適ゾーンの外側に落ちている、ビジネスは「好きなこと」で稼げ、利益を出すために必要なキャッシュ・フローという考え方、「海外で生きるコンパス」を作るためのセオリー、海外ビジネスのトラップを回避する方法などを挙げ、著者が中南米ビジネスで得たノウハウの蓄積を詳細に披瀝し、最後に世界に「和僑」ネットワークを作り、そのつながりで世界のビジネスをまとめたいとの抱負を述べている。
 外国語(スペイン語)を話す能力と伝える能力は異なる、文化の違いを楽しめるビジネスの達人になろう、とはいえお金を稼ぐことより「身近な人に愛される人生を歩むことが大切」と説き、これから新しい世界に飛び込みチャレンジしようとする人を後押しするために本書を纏めたと結んでいる。

〔桜井 敏浩〕

〔『ラテンアメリカ時報』2024/25年冬号(No.1449)より〕