講演会報告:JICA中南米2所長(伊藤 圭介氏 ボリビア所長、佐藤 洋史氏 コロンビア所長)講演会:2025年1月24日(金)10:00~11:30(日本時間) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:JICA中南米2所長(伊藤 圭介氏 ボリビア所長、佐藤 洋史氏 コロンビア所長)講演会:2025年1月24日(金)10:00~11:30(日本時間)


【演題】JICA南米2所長報告会
   1. ボリビアの政治・経済危機~この20年間のMAS党政権の光と影~
   2.コロンビア、El Pais de La Belleza、左派政権3年目の現状とJICA協力
【講師】伊藤 圭介氏 JICAボリビア所長
    佐藤 洋史氏 JICAコロンビア所長
【日時】2025年1月24日(金)10:00~11:30(日本時間)
【後援】日本ボリビア協会・日本コロンビア友好協会
【場所】オンライン
【参加者】150名

新年最初の講演会は、約20年左派政権が続くボリビアと2022年に初めて左派政権となったコロンビアについて、現地におられるお二人の所長の報告です。お二人は詳細な資料を用いて報告されましたが、当該資料は本報告の末尾に録画と共に「会員限定」として公開されます。

1.ボリビアの政治・経済危機~この20年間のMAS党政権の光と影~

伊藤所長は1999年末から2004年までボリビア勤務、2022年3月から事務所長として再度ボリビアに勤務されており、ボリビアに精通されている。約20年を経たボリビアの変化は、都市の発展、公共料金やガソリン代の安さ、日本のプレゼンスの低下等。治安は20年前も今も周辺国に比べると良い、とのこと。

MAS党政権下の20年の「光」は、貧困削減、格差是正等インクルーシブな開発が進んだこと、「影」は与党内の深刻な分裂と経済危機。経済は2014年までは好調であったが、その後急速に悪化した。悪化の理由は、一次産品への依存、大きな政府(国営企業中心)、インフォーマルセクターの存在。森林火災、鉱山汚染等の環境危機も課題。

コカ栽培は拡大しており、コカの葉の消費が拡大する一方で非合法な取引も増加。JICAは、保健、包括的地域開発、環境・エネルギーを重点セクターに効果・効率的な協力を目指している。

2.コロンビア、El Pais de La Belleza、左派政権3年目の現状とJICA協力

“El Pais de La Belleza”は現政府のスローガン。コロンビアは多様性の国である。負の側面として、1964年以来の左翼ゲリラ組織との紛争継続がある。

2022年に初の左派政権、ペトロ政権が誕生。「変革の政府」(El Gobierno del Cambio)を掲げ、Paz Total(前面平和)政策により武装組織との停戦、和平交渉を推進するも、違法武装組織は勢力を拡大している。また、コカ栽培面積も拡大している。

JICAは「和平プロセスの定着を目指した近郊のとれた持続的社会経済発展への支援」を掲げ、農業開発(一村一品支援等)、地雷対策、都市計画、生産性向上、三角協力、民間連携等の分野で協力してきた。ボランティア事業としては、特に算数教育で成果を挙げている。

講演後の質疑応答では、多くの質問が出され、所長お二人には丁寧に対応していただいた。質問の主なものは次の通り:①ボリビアのサンファン移住地に対しては特別な配慮があるか、➁ボリビアに対するノン・プロジェクト無償援助はなくなったか、➂25年8月に予定されているボリビアの大統領選挙に対するモラレス前大統領の影響、④両国のIT状況、⑤米国の関税対策、⑥ボリビアのビルビル国際空港に対する協力、⑦両国におけるガス開発、⑧日本企業の進出の可能性、➈両国におけるドル不足と中国「元」の浸透度、⑩学生が中南米で働くメリット、⑪コカ栽培増加の理由、⑫ボリビアのモラレス政権下のガス開発、等。

<会員限定:録画>
講演会報告:JICA中南米2所長(伊藤 圭介氏 ボリビア所長、佐藤 洋史氏 コロンビア所長)講演会:2025年1月24日(金)10:00~11:30(日本時間)