講演会報告:JICA中南米2所長(西村貴志ペルー所長兼ベネズエラ支所長、河崎充良ジャマイカ所長)2025年4月4日(金)午前10時~11時30分(日本時間) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:JICA中南米2所長(西村貴志ペルー所長兼ベネズエラ支所長、河崎充良ジャマイカ所長)2025年4月4日(金)午前10時~11時30分(日本時間)


【演題】JICA中南米2所長報告会
 副題:ペルー/ベネズエラ:
 副題:ジャマイカ    :ジャマイカが抱える深刻な課題と日本への期待
【講師】西村 貴志氏 前ペルー事務所長兼ベネズエラ支所長
    河崎 允良氏 ジャマイカ所長
【日時】2025年4月4日10:00am~11:30am(日本時間)
【場所】リモート
【参加者】93名

1.ペルー/ベネズエラ
西村所長は2025年2月に帰国されたばかり。ベネズエラ支所長を兼務していたが、手続きの関係でベネズエラに行くことはできなかった。

◎ペルー:安定したマクロ経済とリスク

 西村所長はペルーの概要とペルーと日本の関係について触れた後、ペルーの経済・政治状況について話された。ペルーのマクロ経済は比較的安定している一方、ボルアルテ政権の支持率は低く、政権運営は不安定な上、2026年に予定されている大統領選挙には60名以上が立候補するといわれている。

 ペルーは気候変動に対して世界で3番目に脆弱な国とされ、地震をはじめとする自然災害の危機にさらされている。そのため、ペルーに対するJICAの方針にも、持続的経済開発への貢献、と共に「環境および自然災害防止への支援」が挙がっている。また、「BAILAプログラム(イノベーション還流事業)」による双方向のスタートアップ事業支援が最近始まった。

 最後に、最近第1段階の工事が完了した中国支援によるチャンカイ港のインパクトを説明されると共に、関連インフラ不足を指摘された。

◎ベネズエラについて

 西村所長はVISA取得が困難なことから任期中にベネズエラに行くことが出来なかったが、JICAの対ベネズエラ協力の現状について説明された。

2.ジャマイカが抱える深刻な課題と日本への期待

◎河崎所長はジャマイカの一般事情と経済について簡単に説明された後、ジャマイカの奴隷制の歴史について詳しく話された。というのも現在のジャマイカの貧困や社会的不安定さの背景にはそうした歴史があるためであり、brain drainによって看護師、教師、技術者等が米国、イギリス、カナダに多数流出している、という。

 国政では、ジャマイカ労働党(JLP)と人民国家党(PNP)の二つの政党が代わる代わる政権を担ってきたが、最近では政策の差はほとんどみられなくなり、今年9月までに総選挙が実施される予定、とのこと。政治の課題は暴力や殺人事件への対処であり、警察は殺人事件に絡む「ギャング」の撲滅に努めている。

 日本との関係では、2024年に外交関係樹立60周年を迎え、JJパートナーシップの下で、日本移民のいないジャマイカで「沖縄民謡とレゲェ音楽のコラボ」イベントを開催したこと、また、有償資金協力「ブルーマウンテンコーヒー開発に係る事業」によって、日本を最大の輸出国とするブルーマウンテンコーヒーの生産・輸出が増加したこと等を紹介された。

最後に両所長に対する以下のような質問が出され、お二人から丁寧にお答えいただいた。

(対ペルー)鉱山開発の現状と見通し
(対ペルー)政治的不安定さの下でJICAの協力した社会インフラの状況は?
(対ペルー)ペルーにおけるベネズエラ難民の状況
(両国に対して)相対的貧困率について
(対ペルー)不安定要素として挙げられた自然災害に対する防災の現状
(対ベネズエラ)人材流出について

<会員限定:資料・録画>
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