執筆者:田中優貴子(保健省サラビキ支局 青年海外協力隊)
お水の飲める国、コスタリカ。軍隊を持たず、医療と教育に力を入れており、地球上の5%の生物がコスタリカに住むといわれている。
みなさん、コスタリカという国をご存じですか?中米のイメージは危ない、怖い、発展してないというイメージをお持ちではありませんか?
いいえ、そんなことはありません。戦後より政策をはじめ、国民が高い保険料を払わずとも医療を受けることができ、学校にも行くことができます。
今回は特に、医療事情に焦点を当ててお話ししたいと思います。
コスタリカは、衛生環境が整っており感染症により命を落とすことは少なく、現代のコスタリカでの主な死因は、心血管疾患や癌など非感染症が大部分を占めています。しかし、デング熱やマラリアなど、熱帯特有の感染症のリスクもあり、特にデング熱は一部地域で流行が見られます。
日常生活を送っていると、お腹を壊す程度の軽い感染症にり患している人もいますが、頻繁に起こるわけではありません。コスタリカは熱帯気候であるため、四季がなく乾季と雨季のみですが一年を通じて気温が高く、湿度も高いです。そのため、季節性感染症のインフルエンザはあまり流行りません。
コスタリカは日本でいう国民皆保険のような制度をとっており、一定金額を支払うと公立病院の受診料や薬代が無料になります。企業に勤めている人は給与から数%、扶養に入っている人は、扶養している人が保険料を支払うことで、同じく保険を使用することができます。公立病院は予約をすればスムーズに受診できますが、予約なしの場合はかなりの時間を待つ必要があります。まず公立病院(ebais,clínica)へ受診し、更に専門的な治療が必要な場合、規模の大きい公立病院(hospital)を紹介され、こちらも無料で受診することができます。治療内容によっては、専門医が限られるため、予約が先になる可能性があります。また、薬の種類も国が決めるため、全ての薬が処方されるわけではありません。
私立病院もあり、100%自己負担ですが受診することが可能です。
また、日本でいうドラッグストアもあります。ドラッグストアを開設するには薬剤師が最低一人必要で、営業中も最低一人が常駐する決まりになっています。薬が欲しい場合、近所のドラッグストアへ行き、希望すれば一錠単位で薬剤を買うことができます。
私は酔い止めや痛み止めを購入しましたが、数ドルで購入できました。
健康診断
コスタリカでは健康診断が義務ではありません。公立病院の健康診断を予約すれば無料で受けることができます。しかし、人によっては数十年健康診断へ行っていない人もいます。
検査x線などの基本的な検査器具は公立病院(ebais)に設置してあります。
都市にはある程度の規模と数の公立病院と私立病院がありますが、地方になると病院の数に限りがあります。またドラッグストアもありません。しかし、道があれば救急車を呼ぶことができ、道がない場合はヘリコプターを呼ぶことができるそうです。ところが、田舎の道は砂利道でカーブも多く、救急車が到着するまでに時間がかかってしまいます。
日本では錠剤やカプセルが一般的ですが、シロップ剤や錠剤を溶かしてから服用する薬など、錠剤以外も多く存在します。また、薬の色が原色(ピンクや緑)の薬も存在します。
私は田舎の保健省にボランティアとして派遣されています。保健省の前に公立病院があり、同僚に医者、看護師、心理士等医療従事者が多く情報収集がしやすいため今回記事を書くことにしました。
コスタリカは医療制度が整っており、国民が等しく医療を受けることができます。平均寿命も77歳です。しかし、健康診断を受ける割合が多くないことと、現在の人口増加率が0.47%であり、年ごとに人口増加率が低下しています。今後、高齢化が進む場合、予防と早期発見がより大切になってきます。
また、急を要する疾患の場合、救急車が到着するまでに時間がかかってしまいます。日頃より疾患が急変しないよう予防するのはもちろんですが、持病が急変した場合の段取りを決めるなどの知識が大切です。
さらに、青少年の自殺率が急上昇しています。医療システムを使うために、親や配偶者などの、本人を強く支えてくれる人の協力も必要不可欠です。
私のボランティア生活では疾患の予防や早期発見を手助けする活動をしたいと思っています。また日本との制度の違いを知ることも大変興味があるので、自分なりに調査し満足のいくボランティア生活を送りたいです。
コスタリカ サラピキの紹介
私は首都のサンホセより2.5時間離れたサラピキという町に住んでいます。動植物で有名な観光地で、フランス人やアメリカ人観光客が多く訪れます。(日本人グループには1度しか出会ったことがありません)首都より標高が低いため気温がより高く、多様な動植物を観察することができます。通勤中に鳥の観察ができます。
現地の人は森の中をサイクリングしたり、暑い日は川に浸かったり、ジムに行ったりズンバをしたりとかなり活動的な印象です。そしてコスタリカの運動の強度が個人的にはどれも高い印象です。(サイクリングは基本2時間30分、ズンバは1時間30分等)自然を愛する人が多く、空を見たり牛を眺めたり鳥の鳴き声を聞いたりして、家族や恋人と楽しんでいます。これがコスタリカ サラピキのPura Vida なのかなと思います。