“TORRIJOS Y SU TIEMPO: EL CANAL DE PANAMÁ EN LA ENCRUCIJADA”(トリホスとその時代 ―岐路に立つパナマ運河)細田 晴子 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

“TORRIJOS Y SU TIEMPO: EL CANAL DE PANAMÁ EN LA ENCRUCIJADA”(トリホスとその時代 ―岐路に立つパナマ運河)細田 晴子


“TORRIJOS Y SU TIEMPO: EL CANAL DE PANAMÁ EN LA ENCRUCIJADA”
(トリホスとその時代 ―岐路に立つパナマ運河)
細田 晴子 COMILLAS(Universidad Pontificia)
2024年 200頁 19ユーロ ISBN978-84-7399-165-0

本書(スペイン語)は、パナマ運河問題を、米国、パナマ、スペイン、日本の史料を基にして、運河返還交渉やその後の国際的影響を客観的に描き出している点が特徴だ。1977年、オマール・トリホスはジミー・カーター米大統領との間で条約を署名し、運河返還への道筋をつけた。その後、彼は経済問題に直面しながらも、日本との関係構築に力を注いだ。高度経済成長を経た日本は、海上輸送の重要性とパナマ運河の戦略的価値を認識し、調査団派遣や経済協力を進めた。トリホスが築いた永野重雄を中心とする日本の経済界との人脈は彼の死後も影響を残し、パナマの民主化や運河拡張工事へとつながった。
最近では、ドナルド・トランプ米大統領のパナマ運河を巡る発言により、米中間の緊張が高まっている。これは、運河が依然として国際政治や経済において重要な役割を果たしていることを示している。

本書はこうした歴史的背景と現代の動向を踏まえ、トリホスが国内政治のみならず国際協力関係にも多大な影響を与えたことを明らかにした。国家主権と国際世論を活用した彼の外交戦略は、現代にも重要な教訓を提供する。この本はラテンアメリカ史や国際政治に興味がある読者にとって必読である。
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