『ラテンアメリカのLGBT ―権利保障に関する6か国の比較研究』
畑 惠子編著 明石書店
2024年12月 289頁 5,400円+税 ISBN978-4-7503-5860-4
LGBTは文化的同質性が高いと言われるが、その法的権利保障は各国で異なる。本書は進捗が進んだアルゼンチン、ブラジル、ある程度進んだメキシコ、コスタリカ、遅れているペルーとニカラグアのラテンアメリカ6か国での政党、カトリック教会・宗教組織、市民組織や当事者団体、研究者等の主要アクターを横断的に比較分析し、そこから共通するマチスモ・家父長制など阻害・促進要因と各国固有の要因を抽出する。
6か国で各論の6人の執筆者が特徴的と考えるテーマを選び、政治学、社会学、文化人類学研究者が異なる切り口でLGBTに関する運動、論点、課題などを多面的に把握し、ラテンアメリカそれぞれの国での権利保障に関わる要因を探ることによって、多様性と寛容さが求められている日本社会への提言につなげたいとしている。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)より〕