『アンデス文明ガイドブック(シリーズ「古代文明を学ぶ」)』
松本 雄一 新泉社
2025年1月 95頁 1,800円+税 ISBN978-4-7877-2411-3
ラテンアメリカでは『メソアメリカ文明ガイドブック』(市川 彰 https://latin-america.jp/archives/62211)に続く2冊目。著者はイェール大学大学院人類学部博士課程修了、アンデス考古学を専攻する国立民族学博物館准教授。
アンデスの環境、時代区分、先土器時代の神殿とそれを造り続けた人々、代表的なチャビン・デ・ワンタル遺跡、北高地の日本人考古学者が発掘しているクントゥルワシとパコパンパ、神殿造成で変わる社会、アンデス最初の国家、地上絵を造ったナスカ、インカに先立つ帝国を造ったワリ、宗教都市ティワナク、北海岸の黄金文明を築いたシカン、チムー王国の首都チャン・チャンについて解説し、インカ帝国についてはスペイン人等の遺した文書史料と考古学、政治経済システム、地方支配と帝国の終焉を説明、マチュピチュはどのような遺跡か、文字なき社会であったアンデス文明について述べ、最後に日本のアンデス文明研究の歴史と現状、考古学者と現地社会の関係を概観し、参考文献とペルーのアンデス文明博物館を紹介していて、多くの図版、写真と平易な説明で理解を助けてくれる。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)より〕