『カリブ海序説』
エドゥアール・グリッサン 星埜 守之、塚本 昌則、中村 隆之訳 インスクリプト
2024年11月 765頁 6,200円+税 ISBN978-4-86784-004-7
カリブ海アンティル諸島のフランス海外県マルチニックの言説のすべて、すなわち歴史、社会構造、生産と労働、言語、人々の心性のありようを、厖大な言説を収集し、長さも形式も異なる文章によって、マルチニックの人間を内側からではなく外側から、歴史的・地理的状況から理解しようとするもので、多様な主題で構成されている。
著者(1928~2011年)はマルチニック島北部サント=マリー生まれのフランス語作家。ルイジアナ州立大学の特別教授などを務めた、文学作品を書く作家にして思想家による1961年に出版された知的作業の集成の全訳。巻末に訳者3人がそれぞれ執筆した詳細な解説と地図が付されており(727~761頁)、読者の理解を助けてくれる。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)より〕