2025-04-23 21:19:48
【演題】ルーラ大統領訪日の意義、成果そして今後の日伯関係の展望
【講師】林 禎二氏 駐ブラジル日本国特命全権大使
【共催】日本ブラジル中央協会・ラテンアメリカ協会
【日時】2025年4月15日 10:00~11:30am
【場所】オンライン
【参加者】167名
領訪日の2週間前に来日、天皇・皇后両陛下、石破総理等にブリーフィングを行った。コロナによって途絶えていた国賓待遇(基本的に1年に1件)の6年ぶりの再開がブラジルのルーラ大統領であったことは意義深いこととして、同大使は大統領訪日の意義、そして日伯関係の現状と展望について熱く語られた。
- 3月24日から27日までのルーラ大統領の国賓としての訪日の意義
- 11名の連邦議員、11名の閣僚、100名以上の経済関係者が同行。
- 「日伯経済フォーラム」を開催し、官民で約80の文書に署名。
- 「戦略的グローバル・パートナーシップ・アクションプラン」を発表。
- 政治対話:首脳往来の隔年実施、「外務・防衛対話」の新設。
- 「平和/多国間主義強化に関するパートナーシップ」の立上げ。
- 減少している日伯貿易額の再強化。産業統合イニシアティブの立上げ。
- 「日伯グリーン・パートナーシップ・イニシアティブ」での協力推進、二国間クレジット制度(JCM)構築に向けた協力等。
- 「日・メルコスール戦略的パートナーシップ」の枠組みの早期立上げ。
- ベレンで開催されるCOP30への協力を表明。
- 日伯関係(日伯外交関係樹立130周年)
- 「新しい10年へ」を基本コンセプトに、女性・若手の参加によって、次世代の日伯関係の担い手を育成する。
- ルーラ大統領訪日をハイライトとした各種行事。大阪万博でのブラジル・ナショナルデーにはアルキミン副大統領の出席を期待。他にも観光大臣、各州知事、業界団体等の参加を予定。
- 日伯学長会議の継続と盛り上げ。
- 参考:日本ブラジル友好交流年大使館特設ホームページ
- ブラジルの内政・経済・外交の動向
- 来年(2026年)の大統領選挙を見据えた、多数派工作の実施。長年の懸案であった税制改革(付加価値税の簡素化等)に着手。
- トランプ関税:米伯貿易は米国側が黒字であり、対伯関税10%適用。貿易転換効果による輸出増等への期待も。
- 今年ブラジルで開催のBRICSサミット(7月)およびCOP30(11月)では、昨年のG20リオサミットの成果をベースに、特にグローバル・ガバナンス改革、新興国の貿易・投資の促進、気候変動等の優先課題で成果を上げたい考え。
- COP30(ベレンに於いて11月6,7日に首脳会談開催)
- 昨年、マクロン仏大統領がベレン市を、バイデン米大統領がマナウス市を訪問。実際に他国の首脳に「アマゾン」を体験してもらうことにより、より気候変動対策の重要性を身近に感じてもらうことは、伯政府、COP30の成功のために非常に重要。
講演後の質疑応答では、事前に提出された質問を含めて以下のような多くの質問が出され、大使には丁寧にお答えいただいた。
- バイオ燃料に関する中国との協力
- ルーラ大統領による5月の訪中予定について
- 岸田政権から続く「自由で開かれたインド・太平洋」とブラジル
- 在日ブラジル人に対する日本語教育
- 日系人との交流強化について
- Global Southにおけるブラジルの立ち位置
- メルコスールとのEPA交渉の現状
- 日系人の2重国籍問題
<会員限定:資料・録画 ハイパーリンク>
講演会資料:林 禎二 駐ブラジル日本国特命全権大使講演会「ルーラ大統領訪日の意義、成果そして今後の日伯関係の展望」