外国民話研究会編 日本民話の会・外国民話研究会編
日本民話の会(『聴く語る創る』第30号) 2025年3月 268頁 1,700円 ISSN-0919-5815
今号では22人の研究者が収集された全体として450編の資料を基に、アイヌと沖縄を含めた日本、東・西アジア、北欧から南欧までを含めた欧州を、そして「南北アメリカの異類婚姻譚」(89~112頁)では、「スペイン・アルゼンチン -スペイン語圏の「美女と野獣」」(浅香幸枝 南山大学准教授)、「ブラジル 多民族国家ならではの多様性」(紺野愛子)と北米の「民話が故郷 -ネイティブアメリカンの世界観」(新開禎子)が収録されている。新大陸に進出したスペインの話がどのように植民地であったアルゼンチンでどのように語られるようになったか、ポルトガルの植民地だったブラジルでは多民族国家ならではの多様な伝承が残されポルトガル伝来の話のほか、自在に人間と異類に姿を変える先住民の民話を紹介している。
それぞれの国と地域の担当者が各自の資料を使ってそこから導き出されるテーマについて自由に書いているが、欧州とつながる南米、南米とつながる北米、北米とつながる日本、日本とつながるアジア、さらに西アジアとつながる欧州として読むことも出来る。
〔桜井 敏浩〕