『海外の教育のしくみをのぞいてみよう -日本、ブラジル、スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランス』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『海外の教育のしくみをのぞいてみよう -日本、ブラジル、スウェーデン、イギリス、ドイツ、フランス』


園山 大祐編著 明石書店 2024年12月 367頁 3,000円+税 ISBN978-4-7503-5857-4

 

本書は掲題6か国の幼児教育から高等教育までを、各章執筆者が海外の学校を訪問したり教育行政担当者に会ったり、現場の教職員、保護者、生徒や子弟を通わせている日本人駐在員に聴き取りし、その国の法律はじめ原理原則をも確認して紹介しようとしたものである。これにシンガポール、米国を加えた8か国についての座談会と学校系統図・統計比較表を付け加えている。いろいろな国の教育制度の紹介図書は、その国の学校を経験した当事者や保護者が書いた者と、教育経験者が纏めたものとがあるが、本書は当事者の声も踏まえ執筆者の経験を記述し、リアリティを重視した編集を目指している。

本書の中でラテンアメリカはブラジルのみであるが(55~96頁と座談会の中での執筆者発言)、世界最大の日系社会を有し、広くて多様なルーツの人々が集うブラジルではどんな教育が行われているのか?をテーマに二井紀美子(愛知教育大学教育学部)が執筆している。教育制度の概略、幼児・基礎・中等教育、不登校や18歳までに義務教育を終えられなかった人、障害者さらに軍の学校、移民等への外国語学習・インターナショナルスクールについて述べ、最後に大学入試試験の仕組みや進学率、費用についてまで言及していて、巻末の学校系統図(2021~22年度。249頁)とともにブラジルの教育のしくみを理解するには有用な情報となっている。

〔桜井 敏浩〕