講演会報告「ラテンアメリカなるほどトーク」2025年度第1回「ふしぎの国アルゼンチンの昔と今」相川知子氏 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告「ラテンアメリカなるほどトーク」2025年度第1回「ふしぎの国アルゼンチンの昔と今」相川知子氏


【演題】「ふしぎの国アルゼンチンの昔と今」
【講師】相川知子氏
【日時】2025年5月29日(木)21:00~22:15(日本時間)
【場所】リモート
【参加者】72名

1990年代初めと現在のアルゼンチンの違いと変わらない部分を具体的な事例を紹介しながら語っていただいた。

90年代初めのブエノスアイレスでは廃車かと思われるような古いアメ車やボンネットバスが走っていた。電話も繋がりにくく、電話機も扱いにくいもので、JICAの海外開発青年として担当していた24の学校との連絡にも大変苦労した。大雨が降ると道路が冠水し川のようになるなどインフラ面での課題があったが、2013年、それが解消した。またバス網が整備され、2024年には国際空港も新しい施設になった。

食文化にも変化がある。90年代初めは街の各所からASADO(アルゼンチン式BBQ)の煙が上がり、人々は2時間ぐらいかけて肉を焼きゆったり食べていた。現在も一人当たりの年間牛肉消費量は世界一であるが、当時に比べて20㎏減り48㎏になった。また、2010年ごろからラプラタ河近くのチョリパンの屋台などの火力は炭火からガスに変わり、市内の火の取り扱い規制が増した。最近人気のある料理は、ミラノ風カツ、エンパナーダ(具入りのパイ)、レンズ豆のスープやシチュー、ピザ。お寿司ブームもあり、お寿司のデリバリーはピザ屋より多いぐらいでもある。

生活レベルでは中級クラス以下が約8割であるし、デジタル化も進んだが、アルゼンチンの人々の人懐っこさは変わっていない。知らない人に話しかけて長話をすることもある。スキンシップも健在である。またマテ茶を囲んで休日をゆっくり過ごすのもいつも通りだ。

講師の相川知子氏はアルゼンチン滞在歴35年に及び、日本語・スペイン語講師、日西通訳、旅行・テレビ番組コーディネーター、日本語書籍の翻訳などに加えて、NHKラジオへのレギュラー出演、「ブラジル日報」のアルゼンチン通信員も務めておられる。また、食品ロジスティック専門家で、「和食継承リーダー」として和食文化の発信や「ひろしま平和大使」として平和のメッセージを届けておられる方である。

会員限定:講演会録画・配布資料
「ラテンアメリカなるほどトーク」2025年度第1回「ふしぎの国アルゼンチンの昔と今」相川知子氏