執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)
執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)
「2025年4月28日ー5月4日」
「政治」
1)ボリッチ動向
市民調査でボリッチを支持するは29%、拒否するは67%でした。毎回同じような数字です。今週、彼は南部の湖州を訪問し、プエルト・モンとジャンキウエ間の新路線の開通式に出席するとかしました。そして何と今月中に日本と中国を訪問するとか。中国は過去数年、破産すると言われていたのに、対アメリカとの争いに意外に活躍しているのを見て、インドだけでなく中国とも仲良くすべしと思ったのでしょうね。ところで日本では大阪万博に行くらしい。
2)大統領選挙
与党側の候補者4名が公式になりました。予備選挙が6月29日にありますが、与党側のボダノビッチ社会党党首は候補者から外れました。社会党関係者がこれで3回連続、社会党から候補者が出ないと嘆いていす。まったく学習効果が無いですね。選挙の1年前から誰を候補者にするか発表すればよいのにそれをしないからです。同じようにキリスト教民主党DCの候補者も発表されていません。前回の予備選挙に投票したのは175万人ですから、今回は200万人になると言われます。与党側の党に所属する党員の人たちですね。それでも中道左派はトアに統一されましたから、新左翼・共産党の候補者に勝つ可能性が大きくなりました。前回は新左翼のボリッチが勝っています。
さて5月1日の労働者の日のデモに与党側候補者は全員参加しました。祝日か左翼の宣伝の日か分かりませんね。そのデモを利用してまた商店の略奪行為がありました。数年前の社会騒乱の時と同じです。いやはや。チリは全くよくなりません。右翼の方も各自が勝手に動いています。ばらばらです。最右翼の共和党のカストはこれで3回目、おそらく最後の挑戦と言われます。そこで共和党から分かれた若手のカイセルに今回はカストを応援して、次回挑戦すればどうかと言う声が出ています。右翼の3候補が今の所上位を占めていますから、右翼内の統一が出来れば次回の大統領は右翼に決定でしょうね。
「経済」
1)銅価格と為替
銅の価格は1ポンド4.26ドルと先週とほぼ同じです。為替は1ドル956ペソとペソが強くなりました。
2)GDP
中銀の発表で3月は3.8%になりました。1-3月では2%になっています。上向きですね。ただトランプの新関税方針が今年のチリ経済にどう影響するかまだはっきりしないとか。しかし問題は国の借金で昨年はGDPの41.7%になっています。ボリッチになってから数%増えています。もっともボリッチの失敗だけではありません。2007年には国債はGDPの3.9%だったわけで、それ以降の左派・右派の大統領が状況を悪くして行ったわけです。
ところでチリ株式市場IPSAは今週も8059ポイントまで上がり過去最高を記録しました。4月のチリ株式市場は5%の上昇で、それはラテンアメリカの中でメキシコに次いで2位とか。トランプにいじめられているメキシコが上昇率の首位とは不思議ですが、チリが2位とは。日本もアメリカも株は少し良くなってきていますね。
3)失業率
8.7%と一向に良くなりません。これは問題です。最低賃金が来年1月に539.000ペソに上がります。ボリッチ政権は最低賃金のアップはちゃんと約束を実施しました。新家屋の販売は1ー3月で0.9%のアップでした。ほとんど伸びは無いです。
「一般」
1)犯罪
トランプ政権の女性報道官がハンドバックを盗まれました。犯人が捕まるとそれはチリ人グループでした。何それ?
中国マフィアがオヒギンス州でマリワナの栽培をしているのが見つかり逮捕されました。中国大使がテレビのニュースで「適切な処置を取って頂きたい。犯罪者は刑務所での収容が妥当と考えます」としました。
首都圏で麻薬グループのメンバーが亡くなると葬儀混乱が起きます。メンバーの家から墓場までの地区が彼らに抑えられて地域全体が動けなくなります。2年前にボリッチはそんな状況は許せないとし新法案を作成しましたが、2年たっても状況は変わりません。麻薬グループの車が道路を抑え、車から発砲し、あちこちで打ち上げ花火を上げ、他の市民は自由な行動が出来なくなります。新聞の社説にどうして政府はそれをコントロールできないのかと批判しています。麻薬グループが国民の自由を抑えると行うのは中南米のあちこちで起きていますからね。
不法住宅地域
過去30年で最高の数になっています。1428の不法住宅地域に12万人が居住とか。最近、話題になったのはサン・アントニオ地区です。政府は不法住宅をすべて取り壊すとしましたが、それが2か月延期されました。その期限が迫っています。正規の地主に金を払ってその土地を買えば一気に状況は変わりますが、そこに不法建築した人は土地代を払う気が無いようです。政府は彼らに簡易住宅の援助をするとしているがほとんど動きはないとか。住居大臣は政府としてこの問題をどう取り扱うのかはっきりさせません。
2)外国人の数
昨年の国勢調査の結果でチリの人口の8.8%が外国人となりました。1992年は10.5万人、2017年は74.6万人そして2024年は160.8万人でした。近年に急激に増えたのははっきりしています。私がチリに入った1979年には移民はほとんどいませんでした。移民で数の多いのはベネスエラ人、続いてペルー、コロンビアになっています。ところで日本人は全く増えません。移民の数の多い州は北のタラパカ州でなんと州の人口の23%。逆に南部の州はほとんど2%程度とか。
3)地震
最南端のマゼラン州でM7.5の地震が起きました。同地区で過去75年で最大とか。プンタ・アレナスなどの地区で津波警報が出たので、住民は丘の上に避難しましたが被害は出なかったようです。土曜日の深夜にサンティアゴでも地震がありました。私はベッドの中にいましたが、揺れているのを感じました。チリも日本も地震は多いですね。 以 上
「2025年5月5日ー5月11日」
「政治」
1)ボリッチ動向
北部のアタカマ州を訪問し、農業グループと面談しました。「農業は過去の産業と言われることもありますが、それは間違いです。農業は未来の産業です。」とコメントして農民を励ましました。
その北のアントファガスタ州でフランスのタイヤ会社ミシュランが作った廃棄タイヤの再生工場の開所式に参加しました。そこでチリの鉱山の巨大タイヤ(63インチ)を砕いて粉にしてそれを原料として再使用します。ボリッチは「再利用の概念が素晴らしい、なんでも廃棄するのではないことが証明された」とほめました。
週末にアジア外遊に出発。6日間で日本と中国を訪問します。大統領に就任してから5回目のアジア訪問ですが、今回初めて日本に行きます。今日、日曜日に石破首相と会談し、自由貿易の重要性を確認しました。明日大阪万博に顔を出します。しかしチリのマスコミにその日本でのニュースは流れません。どうしてかな。
中国ではアメリカとの貿易戦争の件がテーマになりますが、チリは米中のどちらにも付かず中立を保つように望まれるとか。中国がもっと銅の購入をしてくれるならチリは中国の側に立つと言うのでしょう。中国のチリへの投資は以前に比べると低調で、意欲がなくなってきています。リチウムなど問題も出ています。
しかボリッチに問題点も出ています。以前に新左翼の組織が政府から貧困層への家屋援助に関する不正受給を受けたと問題になりましたが。今回は「文化集中」と言う組織が似たようなことをして、得た資金をボリッチの選挙運動に使用したと言われます。それを調べるため、ボリッチの個人携帯電話が調べられ、会話の内容がテレビのニュースで解説付きで発表されました。それが合法なのか不法なのか知りませんが 大統領の携帯もちゃんと録音されてその内容がニュースになるのですね。新左翼は政治的内政干渉だとクレームしました。アジアに飛んだボリッチにこの状況は連絡済みとか。
今週の世論調査では彼を支持するは22%、拒否するは66%でした。
2)大統領選挙
毎週同じですが、まったく盛り上がりません今週、話題になったのは中道左派の候補者トア(前内務大臣)が財務大臣のマルセルと交際していることです。結婚を考えているのか、詳しいことは知りませんが交際していることは確認されています。これで財務大臣が右翼側候補の公約を否定・拒否するのが政治的な理由ではなく個人的な理由なのかと言われます。理由が正しければどうでも良いのかな?
3)海産物法案
国会で新法案が認められました。誰が何の品種をどれだけ採取できるかなどが決まっています。しかし政府が提出した案の数字にエラーが見つかりました。
それで漁業会社は再度議会で検討してほしいと訴えています。右翼側はそれを提案した経済大臣の辞職を要求し、またそれを作った次官を解雇するよう要請しています。政府が誰かが有利になる様、わざとエラーをしたとは思えませんが・・
「経済」
1)銅価格と為替
1ポンド4.3ドルと少し良くなりました。為替は1ドル945ペソです。株式市場IPSAは今週8215ポイントまで上がり新記録。いったいいつまで新記録が続くのでしょう。
2)4月の物価指数IPC
4月は0.2%の上昇、今年に入ってからでは2.2%、過去12か月では4.5%でした。一応落ち着いてきています。新車の自動車の販売ですが4月は26132台で前年対比2.5%アップ。1ー4月までの販売で売れ行きの上位10社に日本から3社が入りました。
「一般」
1)マプチェ
ロス・サウセスで5台のトラックと重機に放火され延焼しました。
今週、委員会がボリッチにマプチェ関連の平和草案を手渡しました。マプチェ問題を解決する・軽減するにはどうすれば良いかの提案です。2年間かけて検討された原稿ですが、それほど大きく取り上げられませんでした。共和党のカストは誰にも役に立たない草案だとしています。マプチェ援助として1993年から2024年までに23万ヘクタールの土地を政府が買い上げ、マプチェに寄与しています。チリが独立したとき、南部のマプチェの領土は大半がチリ領土に入っていませんでした。その後、チリの軍隊が侵略し取り上げたわけです。勝てば官軍ですね。
ボリッチが政権を握った最初の年のチリの風を読み返すとわかりますが、若手のボリッチは頭の中で考えた作戦でマプチェに向かい合いましたが、圧倒されました。彼は「前大統領のピニェラは軍隊を使って力で抑えようとした。しかし私たちは違う、話し合いで問題解決に近づく」そして内務大臣を即時に南部に送りました。その内務大臣は彼らと全く面談できずに、脅されて首都圏に戻りました。マプチェの暴力行為に対抗するため軍隊を使用しました。それに中道左翼と右翼は賛成しましたが、政権を支える新左翼と共産党は反対しました。ボリッチって右翼なの左翼なの?
2)犯罪
ラ・システルナ駅で大混乱。露天商が係員に排除されそうになるとそれに対抗して暴れ始め、駅に入って来た地下鉄の上に登り屋根上から物をぶつけました。逮捕者が出ましたが、同じような出来事が頻繁に起きています。
3)航空機の事故
サンティアゴを出て北のアリカを目指す小型機が墜落し全員が死亡しました。乗っていたのは患者と医者、家族の5名でした。それにパイロットの合計6名。機械の問題かパイロットの問題か調査されています。
4)カトリック
前教皇が死亡したとき、全テレビ局がそのニュースを流し続けましたが、新教皇レオ14世が決まるとまたそのニュースが溢れました。彼は就任して最初のミサで世界の平和を祈るとしました。今から500年ほど前にバチカンの許可を得てスペインとポルトガルがアメリカに侵入し、現地民を殺しまくったのは事実ですが、勝てば官軍ですか。同じことが世界中であるわけですね。
2023年の調査では前年よりカトリックの信者1.2%増え14億人とか。世界の人口は80億人ですから、その10数%がカトリックの信者なのですね。チリでは毎年カトリック教は信者数を減らしていますが。
5)老齢化
昨年、前年に対し20%も赤ちゃんの誕生数が減少しました。1992年には65歳以上の老齢者が7%だったのですが、2024年にはチリの人口の14%になっています。これは労働力、生産性など、将来の動きに大きな影響が出ますね。 以 上
「2025年5月12日ー5月18日」
「政治」
1)ボリッチ動向
東京で石破首相との会談を終えてから、大阪の万博に行きました。そこのチリ館の詳しい内容はニュースに出ませんでしたが、マプチェの織物が展示されていました。チリデーのお祭りにはクエッカなどチリの紹介がありました。他にもいろんなイベントが計画されているようです。
訪日を終えてボリッチは中国に入りました。そこでラテンアメリカ・カリブ国CELACと中国の会談が行われ、それにボリッチは参加しました。中国はそこで多大な金額の投資を行うことを約束しました。その会議にはコロンビア大統領、さらにブラジル大統領も特別参加しました。
ボリッチはトランプの関税方針は誤りと批判しました。習近平との面談の後、「チリにとって中国は2009年以来最大の貿易国になっている。2024年には貿易総額は587億ドルだ」と中国の重要さを確認しました。この数字はボリッチのような若手だけでなく、その前の左右のチリ政権も中国にすり寄っていたと言うことを証明しているわけです。
そこでブラジルのルラ大統領からチリもBRICSに参加しないかと誘われました。ブラジルがロシア・中国などと組んだグループですね。モネダ宮殿でそれに入ることの可否・重要性を検討中とか。アルゼンチンは左翼政権の時は参加しましたが、現在の右翼政権に変わったとき、すぐに離脱しました。
ところで先週にも書きましたが、彼が日本・中国にいるのにチリのニュースに出るのはボリッチの選挙運動不正問題などチリ関連のことばかりです。それに関し、彼は「私は落ち着いています。何も不正はありません。警察や検察が自分たちの職務を果たすのは当然です。チリには検察の仕事に関与しない例外の人間などいない」としました。この事件はこの先、長い間、ボリッチにとって頭の痛い問題になります。
新左翼は内政干渉だと怒っています。まるでドイツのナチの時代の様だと。何が言いたいのか良く分かりませんが。
そして他の不正問題に関連して新左翼のぺレス議員に裁判中、完全自宅待機するよう指示が出ました。新左翼が大統領の側近として好き放題の事をしてきたのがバレてきたのですね。チリの民政化以降、中道左派の中心だったキリスト教民主党DCが新左翼を批判しました。ボリッチを支持する応援するのが本来の役割なのに、今の新左翼はボリッチを外そうとしているかのようだとしました。与党の分裂は鮮明です。
そして木曜日にボリッチはアジア外遊を終えてチリに戻って来ました。時差の関係もあって大変でしょうが、何とその日の午後ウルグアイに飛びました。今年何回目のウルグアイ訪問か知りませんが、今週亡くなられたムヒカ元大統領の葬儀に参加する為です。若い、さすがに体力はありますね。翌日の金曜日、朝一番で内閣会議を実施。ボリッチ政権の最後の一年をどう乗りこなすか話し合いました。
そして土曜日に首都圏のニュニョア区で貧困層への簡易住宅を引き渡す式に参加しました。多くの家族が、これからの寒い冬を凌げることになりますね。しかしボリッチの体力は素晴らしい。頑張っています。
2)漁業法案
メルルーサの漁獲高の指数にエラーをした経済大臣とその責任者が記者会見をしました。幾つもの項目の中で一箇所エラーがあったが、全体としては機能しているとしました。そのエラーのため漁獲可能量が減少した一般漁民は南部で道路を封鎖するなど抗議行動をしています。大臣もその係官も辞任するつもりはありません。
3)大統領選挙
毎週同じですが、大きな動きはありません。今週の世論調査で一番支持を集めているのが右翼のマテイ、2番目が極右のカスト、3位は左翼のトアと右翼のカイセルでした。
「経済」
1)銅価格と為替
銅価格は先週とほとんど同じ1ポンド4.33 ドル。為替は1ドル940ペソと変わりなし。
株式市場IPSAは週日に8469ポイントとまた新記録を出しました。金曜日は8411まで落ちましたが、その好調さが不思議ですね。
それから最近話題にならなくなりましたが、リチウムに関して昨年の世界生産量が出ました。1位はオーストラリアの37%。2位はチリで21%、3位は中国の17%でした。
チリからの輸出先は1位が中国で71%。2位は韓国で15%。日本は5位で4.1%でした。
「一般」
1)麻薬組織の葬儀
またありました。組織のメンバーの遺体を墓場に運ぶ車の後ろに組織の車が長蛇の列を作り、そこから銃を撃ちまくります。その地区の学校が一日休校したとか。まったく打つ手が無いようです。
2)バスの事故
南部の町で公共バスが橋の下に落ちて、3名が死亡、10数名が負傷しました。小型バスなので乗客のほぼ全員ですね。その運転手がコカインを使用していたことが分かり逮捕されました。運転手の検査を定期的にやっていなかったバス会社の責任ですね。
3)遭難記念日
20年前の今日、5月18日に南部のアンツコで訓練を行っていた陸軍兵と幹部44名がマイナス35度の山行で凍死しました。その悲しい記念日の追悼式が行われました。同じエラーを二度と起こさないとして。 以 上
「2025年5月19日ー5月25日」
「政治」
1)ボリッチ動向
この水曜日は太平洋戦争の中のイキケの海戦があった海軍記念日で、例年の通りバルパライソで軍隊が太鼓グループの後を行進しました。ボリッチは大統領としてその行事に最後の参加をしました。もちろん、集まった群衆の中から彼に嫌味な言葉を飛ばすグループもありました。その式が終わった後、彼は「こうして愛国心を持って国民がまとまるのが重要だ。もちろん、中には国を崩壊しようとする人間もいるが」とコメントしました。
その他、首都圏のマイプで冬を前に人工水路の清掃式に参加しました。ゴミを放置すると大雨になったとき、水が氾濫し大問題になります。そして木曜日の夜に9時のニュースが始まる前に全テレビ局を通じて先週報告された先住民マプチェの平和案に関して説明しました。マプチェの安定・発展を図ろうとするものです。これに関し最右翼の共和党カストはボリッチは平和が大事だとするがマプチェの犯した殺人事件を取り上げようとはしないと厳しく批判しました。カストは歴史を知らないのですね。太平洋戦争でチリが勝ち始めたころ、チリの陸軍がマプチェの領土に入り、彼らを大量に虐殺し、彼らの領土を一方的に取り上げたことを。勝てば官軍です。
先日のチリの風に書きましたが、ボリッチは政権が始まった時期にマプチェ問題を会話で解決しようとしました。まったく逆で大失敗でした。そのため軍隊を同地区に置きました。もう1000日経過しましたが、マプチェの暴行事件はそれ以前より71%減少したとか。そして政権の終わる今、マプチェ問題の解決案を発表していますが、結果ははっきりしています。失敗に終わるでしょう。この先直ぐ後に、彼らのグループがトラックなどへの放火攻撃をするはずです。ボリッチが「私は皆さんの援助をしています。皆さんは私のそばを歩いてください」としても、「お前は俺たちの願いを全く分かっていない」とされるのです。
最後になりますが先週の日本訪問で、ボリッチに同行した議員から大阪で不平等・不公平な事が起きたとのクレームが出ています。右翼と左翼の議員の差別をしたのならボリッチの思考の問題でしょうが、左右の議員が同じ意見ならボリッチの性格でしょうね。議員はどうでも良い、大統領だけが重要だとしたのでしょうか。
もう任期が300日を切りましたが、近日、国会で年次教書を発表するのでその準備に追われているとか。これまでの動きを見ているとその教書で新しい動きが見られるとは思えませんが、妊娠中絶に関する新提案が出るらしい。今でも性的暴行による妊娠の中絶は合法ですが、それをもっと一般化させようとするのですね。新左翼方針かな?
そう言えば、来週に彼の最初の子供が誕生するらしい。もう40歳近いので父親になるのは不思議ではないですが、彼の人生観は通常と言うより特殊ですね。それで現在の住居、モネダ宮殿の近くから首都圏の他の地区に転居するとか。まだ大統領ですからね。彼の安全に関しては警護が大事です。
世論調査でボリッチを支持するは26%、拒否するは70%でした。この数字は政権の最後の日まで大きな変化はないでしょう。
2)文化の為の財団
それが創立されたのは2009年で公私の組織・団体からの寄金を募って行動を開始。創立時は新左翼と関係なかったようです。翌年の大地震で被害が出た地区で教育・家屋の援助をはじめました。その後、チリ各地に支部を設置。一時は数十人が毎日勤務したとか。それが近年になって運営がおかしくなり現在は問題山積で行動はないらしい。そこに入った運営資金をボリッチの選挙運動に使ったと言われています。
その問題を調べていた検察のクぺルが今週、 変更されました。彼はボリッチの携帯電話を調べたらしい。新検事はどういう方法で問題の根幹に近づくのか分かりませんが、右翼の政党はもう一度クぺルをこの事件の担当検事にしてほしいと要請しています。いずれにしてもその財団がボリッチの選挙運動資金を出したことがはっきりしてきそうです。
3)大統領選挙
毎週同じで大きな動きはありません。議会に勢力を持つ政党の候補者だけでなく、一般の独立候補者の動きも目立ちません(マスコミに出ません)。
さて与党側の4候補者が来週マスコミで第1回討論会を実施するとか。選挙資金の問題や医師の自宅治療の不正使用などの問題で、4名は違った見解をコメントするでしょうね。新左翼の候補者で議員のウィンテルは候補者として運動している期間の議員の給料は全額寄付すると発表しました。議員として働いていないので給料はもらえないとするわけですね。共産党のハラは同党と上手く行っていないと言われます。同党を脱退して個人で戦うのかな?右翼の方の3名は変わった動きは全くありません。
「経済」
1)銅価格と為替
1ポンド4.35ドルとほとんど先週と同じ。為替は1ドル945ペソとほぼ同じでした。ただ株式市場IPSAは毎週新記録を出していたのに今週は8400ポイントを少し落ち込んで平凡に8399ポイントになりました。
2)GDP
中銀発表の1-3月の数字は2.3%の上昇と予想された通りになっています。このまま続くかな?順調に貿易黒字が続いています。今年度のチリの予想は2%以上ですが、ラテンアメリカ18か国の中で、チリより低い予想の国はわずか5か国。つまりチリの伸び予想は最下位に近いわけです。そしてトップは何とあのアルゼンチンでした。関係ありませんが、チリのマンション販売が低下し、そのため価格は過去5年で最低レベルまで下がっています・・・
3)チリ・デー
ニューヨークでチリ・デーが開催され、財務大臣・経済大臣の他、多くの企業の代表が参加してチリの宣伝を実施しました。チリに進出することの重要性、魅力を宣伝したわけです。投資目標は鉱山関係だけではないですね。もっともトランプの新関税で輸出入は厳しくなるかも。
「一般」
1)爆弾事件
サンティアゴの中心区のプロビデンシアで爆弾が仕掛けられ、近くのビルの窓ガラスが壊れました。負傷者は出ていないとか。何年か前に、同じような事件が頻繁に起こったことがありますが、同じ犯人・そのグループがまた戻って来たのかもしれません。
次の爆発もしばらくすれば起きますね。
それとは全然関係ありませんが、金曜日にアメリカから45名のチリ人を乗せた飛行機が着きました。国外追放です。その中の35名は前科がありました。そして数名は飛行場ですぐに逮捕されました。チリで犯罪を犯し有罪になったのに外国に逃走していたわけです。トランプのやり方だとこの仕組みは続きますね。
2)モンサルべ元内務省幹部裁判
彼はボリッチの側近として活躍していましたが、婦女暴行などの疑いで逮捕され裁判の途中に6か月間、刑務所に送られました。それが今週に自宅監禁になりました。もちろん警官がそこに彼がいるか、前もって連絡せずチェックに行きます。その女性事件だけでなく、政治的にも何か犯罪を犯していたのではと言う疑いも出ているとか。裁判が長引くでしょうね。彼の直接の上司だったトア元内務大臣は大統領選挙の候補者ですが、この事件は彼女に影響しますね。
3)自宅療養
公務員で病気にかかり、医師から自宅療養の指示を受けた人がその期間に外国旅行をしたのが見つかりました。ほんの少しではなく25000人以上も。その「犯罪者」をどう取り扱かうか問題になっています。なんでも区役所とか厚生省とかで788の機関に所属しているとか。その証明書を出したのは約250名の医者です。政府関係者が今週一人辞任しました。その例の通り、自宅待機になりながら外国旅行をしていたらしい。
その大勢の人間を全部調べれば大変なスキャンダルになりそうですね。
それらの公務員を全員解雇すれば政変になります。問題はそうした事件を把握していなかった組織の欠陥です。誰かがそれを利用して旅行したのを周りに宣伝し、チリ中で同じことが頻繁に起きたのに誰もそれを問題にしなかったとは。文化の問題にもなりますね。
4)体育
小学校から高校まで体育は一つの教科として取り上げられますが、チリではそれが上手く機能していません。チリの児童・生徒のわずか26%が世界基準の体力・能力を持っているとか。それをいかに正常化するか教育省で検討されるらしい。運動がちゃんと出来ないと大人になってから人生に影響しますね。
5)文化財の日
この週末、土曜日と日曜日は文化財の日として多くの施設・建物が一般に公開されました。その中にモネダ宮殿も入っています。ボリッチはガイドとして市民の案内をしました。市民は彼と写真を撮って大喜びでした。中央銀行、美術館・博物館・区役所・都庁・裁判所・教会・テレビ局・消防署・・・とチリの各地の建物に市民が殺到したわけです。
以 上