連載エッセイ490:ピーター藤尾「チリの風」その39 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ490:ピーター藤尾「チリの風」その39


連載エッセイ490

「チリの風」その39

執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)

「2025年6月30日~7月6日」
「政治」
1)ボリッチ動向

先週の予備選挙をプンタアレナスで投票してからすぐにサンティアゴに戻りました。そしてその選挙で勝ったハラを月曜日に自宅に招待しました。その後また大統領府のニュースがありません。赤ちゃんが生まれたので育児休暇を取ったのですね。木曜日に仕事を再開し、金曜日に選挙の結果をどう見るかの会議がありました。

日曜日にブラジルでのBRICS会議に参加するためチリを出発しました。午後の面談に参加し、このグループは世界を変えるとコメントしています。

彼の個人的な事ですが、サンティアゴ南部の古い家を購入した由。それを改築して住み始めるらしい。1年くらいかかるでしょうか。

2)大統領選挙

前回の175万人の投票が今回は142万人と20%も減少。私も行きませんでしたが、市民の興味が薄れているのですね。しかしその選挙の結果は共産党のハラが60%、中道左派のトアが28%、新左翼のウィンターが9%、もう一人のムレ3%でした。

トアを推したPPD党の党首が共産党の公約はチリの市民に馴染まないとコメントしました。11月の本選で左翼側は1体化して右翼と戦うのでしょうか?

11月の本選に関する世論調査が出ましたが、その結果は1位が極右のカストが24%、2位が今回勝った共産党のハラで16%。3位は中道右派のマテイで10%と続きます。この通りなら11月の選挙でカストとハラが決選投票に進みます。両極端の対決ですね。ハラは当分の間、共産党から離れるとされましたが党はそれを認めないようです。共産党のイメージはチリでは多くの人に受け入れられないようですが、現在のチリ政府に共産党は入っています。もちろんチリだけでなくコロンビア・ブラジル・ウルグアウでも政権に関与しています。

社会党とPPD党が落ち込んでいますが、チリが民政化して初代・2代と二人大統領を出したキリスト教民主党DCも消えています。次の選挙にハラを推すのかマテイに加わるのか、それとも独自の候補者を出すのか決まっていません。今月26日に臨時総会を開くとか。

つまり右も左も中道政党が落ち込んでいるわけです。そして極右と極左が残って???

共産党のハラが勝ったので次の政権は右翼になると44%の市民は考えているとか。間違いないでしょう。

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.6ドルと高値安定、為替は1ドル928ペソとそこそこです。株式市場IPSAは8285ポイントとあまりパッとしません。

中銀の発表では5月のイマセック指数(経済成長率)は予想の4%には届かず3.2%となりました。鉱山関係や商業の数字は良かったようですが。

2)失業率

2-5月は8.9%と悪くなっています。

貧困層の実態を図るシステムが変わったようで、新システムによると2022年のチリは22%が貧困層だったらしい。約300万人になります。もちろん貧困層は世界どこでも

アメリカでも日本でもあります。ただ裕福な層の指数も発表されましたが、それでは近年にその層の資産は拡大しています。つまり格差拡大になるわけです。それも世界中で

同じ傾向ですね。農業の専門家が現在の農産物の生産は全人口を養うだけの数字ではないとしていますから、世界中で餓死する可能性があるわけですね。そんなことは今までの人間の歴史が証明していますね。

チリのアボガドの今年度の生産は1年で23.5万トンの新記録。前年の2倍を超えました???世界中でこうして農産品の生産が増えればよいのですが。

「一般」
1)マプチェの問題

またアラウカニア州でトラックが襲われ、火をつけられて全焼。そこにいた従業員に銃が発射され一人が負傷しました。事件の継続は自明ですね。ボリッチは政権開始からこの問題に取り組みましたが、全く進展は無かったことが証明されています。

2)犯罪

先日、発見された陸軍の麻薬事件が少しづつ明らかになってきています。北部のボリビア国境地区で不法移民を見張る部隊が麻薬を手に入れ、サンティアゴで軍の幹部に不法移民の実態を報告する為に軍の車でやってきていたとか。軍の車両なら通常の車の検査は通過できますね。

ボリッチはまだ何もしませんが、直ちに4軍のトップを呼び(陸空海に警察軍)陸軍から実態の報告をさせ、それをどう解決するか、他の軍で同じような事件が起きないように

するためにはどんな手が必要か議論すべきです。その後、なんと空軍の軍人が5名逮捕されました。イキケからサンティアゴの便に不法なものを積み込んでいたとか。詳しいことは報道されていませんが、麻薬でしょう。確かに4軍全部が怪しい状況です。

それとは関係ありませんが、サンティアゴ近くのバルパライソがいくつもの問題を解決できず街のイメージが落ち込んでいっています。ある店舗は今まで夜8時半まであけていたのに現在は6時に閉めるとか。勿論犯罪の増加によるものです。近郊地区の発展も止まっています。

それから自宅治療を医師から指示され職場から離れた人間が海外旅行をしていた問題に関連して法務省で692人が確認されたとか。それがどういう処置を受けるのかまだ発表されていません、

先週、元区長が誘拐されましたが、その犯人が一人逮捕されました。なんでも今年は首都圏の場合、昨年より誘拐犯が28%も増加しているとか。誘拐すると利益が大きいと犯罪組織が認証したのでしょうね。

3)貸家

2002年にはほとんどの家庭が自宅に住んでいたとかで18%が貸家をしていました。それが2024年に26%まで上がっています。首都圏では33%とか。

それを改善する為、自宅の家屋税を減少させようと個人の最初の購入のケースとか75歳以上の老齢者に特典を与える案を財務大臣が発表したのですね。     以  上

「7月7日~7月13日」
「政治」
1)ボリッチ動向

ブラジルの国際会議に参加したボリッチはそこでベトナム首相と面談しました。

この会議の後、7月21日に民主主義を守るとする国際会議をサンティアゴで開始すると発表しました。参加国はブラジル・スペイン・コロンビア・ウルグアイです。

さて火曜日、4軍のトップと面談しました。先週書きましたが空軍で麻薬犯罪が起きたからです。

またレンカとキリクラを結ぶトンネル工事が始まりました。ボリッチはその工事開始日に次の大統領がこのトンネルの完成式を祝いますとしました。

11日は銅鉱山の国有化54周年記念日だったので、彼はエル・テニエンテ鉱山を訪問し激励しました。この10年の間、コデルコ銅公社はチリのGDPの9%を支えています。昔、私はその鉱山に仕事で行っていましたが、世界最大級の地下鉱山で中に入るともう世界から切り離されると言う気がしました。

しかしアメリカの鉱山を54年前にアジェンデが国有化したのですね。それを潰したピノチェット軍事政権もその国有化を継続しました。

世論調査で彼を支持するは23%、拒否するは66%でした。もうこれから先も変わらないでしょうね。

さて戦争が各地で継続していますが、南米各国の軍事予算が増加しています。2024年に対GDPの比率ですがチリは1.6%、ブラジル1.0% ペルー0.9%、アルゼンチン0.6%。そしてコロンビアは断トツの3.4%でした。

2)大統領選挙

キリスト教民主党DCの議員アマドは先の予備選挙でハラが勝利をしたので、11月の本選で彼女を応援したいとしました。DCは共産党と上手く行かないようですが。

左右ほとんどの党で今年に入って党を離脱する動きが見られます。今までで39147人です。もう党員になるメリット・情熱が無くなってきていますね。

今週の世論調査で11月の選挙で投票したいとするのが1位は共産党のハラ26%、2位は最右翼カスト22%、3位は中道右派マテイ18%でした。

新聞の特集に「今日のチリ共産党」がありました。マルクス・レーニン主義との関連とかが書かれていました。その中でチリ共産党員が中国で選挙が無いのは不可解ですとコメントしていました。共産党がいくつもある政党の一つのチリと中国では状況は異なりますね。右翼側は3人の候補者が全く別々に大統領選挙運動をしていますが、議員選挙でも同じように独自候補を立てるのか右翼統一候補を選ぶのか問題になっています。

各地区で左翼が統一候補、右翼が独自候補を立てれば、ほとんど全地区で左翼が勝つでしょうね。そんな簡単な事が分からないのかな?

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.37ドルと少し下がりました。トランプ関連で上昇するかと思われたのですが。そのため為替も1ドル950ペソとペソ安の方向です。

トランプが銅の関税を大幅アップすると発表しましたが、不思議ですね。関税を上げればアメリカ国内で物価が上がりますよ。それを目指しているのですか?

ボリッチは複数の関係大臣にコデルコ総裁を加え、この事項にどう対応するかについて議論しました。トランプは世界破壊かアメリカ自滅を目標にしていますね。

トランプはブラジルの関税を50%と極端な数字にしました。アメリカの貿易収支を改善するのだとしますが、ブラジルの場合、黒字はアメリカの方です???

つまりBRICSでアメリカに対抗するなら虐めてやると言うことでしょうか?

銅の新関税をモネダで検討していた時、この新関税は銅について話されており、トランプはチリ国を攻めようとしているではないとするコメントが出たとか。

いやはや。イスラエル問題の時からボリッチはトランプに逆らっていましたね。

株式市場指数IPSAは8252ポイントとパッとしません。5月に8500ポイントまで上昇したのですが。

2)物価上昇率IPC

6月のIPCは何とマイナス0.4%でした。今年になって1.9%、過去12か月で4.1%です。最低賃金についてOECDの参加国の中で2021年から2024年の間の最低賃金の上昇率について17.3%を記録し、上位4位に入りました。順調ですね。

「一般」
1)犯罪

サンティアゴ中央部のメイグ地区は以前から問題が続いていますが、不法の露天商が争い始めました。それを抑えようとした区の警備員と乱闘になり負傷者が出ました。露天商の場所争いでしょうが、不法露店をすべて撤去させれば問題は解決です。もちろん彼らはほかの場所を探しますが。それらの多くがチリ人ではないそうです。その事件は一日では終わらず継続です。似たようなことですが、地下鉄の駅の中で露天商が警備員と揉める事件も起きています。

メイグ地区の事故は政治対決になっています。このサンティアゴ区の前区長ハスレルが問題が継続拡大していることについて懸念を示しました。彼女は「私はこの区に住んでいます。現区長のように仕事でここに来ているのではありません。私は周りの区民の仲間として問題解決に当たっていました」としました。現区長は右翼系、彼女は共産党です。

陸軍・空軍で麻薬事件が起きています。兵隊が麻薬を使用して解雇されるのなら個人の問題ですが、麻薬の輸送・販売は組織の問題ですね。北部の検察が空軍は必要な資料を提出しないとクレームしました。それに関しボリッチは長官にこの件は軍隊内の裁判組織ではなく、一般裁判にするので検察からの問い合わせには適切に対応するよう指示を出しました。ボリビアの麻薬組織とコンタクトしているのでしょうね。この先、毎週のようにこの問題が出るでしょう。軍のトップまで責任が飛び火するかもしれません。  以  上

「7月14日~7月20日」
「政治」
1)ボリッチ動向

中国から1800台の電気バスを購入したようですが、そのうちの300台が到着したのでそれを祝う式をしました。そして市民の歯科の治療をする移動車をレンカ区に寄贈する式に参加しました。そうした挨拶をするのがボリッチは得意ですね。

しかし明日に数か国の大統領が集まって民主主義を守るための会議があります。先日のブラジルのbrics会議の小型版ですね。どうなるかな?トランプがまた怒りますね。

この日曜日にいくつかの国の大統領がチリに到着しました。

2)大統領選挙

今日は日本の参院選挙でした。大きな変化が起きるようですね。

チリはまだ先の11月ですが、その議員選挙で最右翼の共和党の中で意見が分かれています。党としては左翼も右翼もない、私たちは他の党とは組まず独自に議員選挙を戦うとしていますが、それを変えて右翼共同戦線にしようとするものです。

大統領選挙の見通しですが、今週の発表も1位は共産党のハラ支持率29%、そして2位は極右共和党のカスト24%。3位は右翼連合のマテイ16%と変わりません。その後ろに数名の候補者が続いています。この傾向が続けば50年前のピノチェットとアジェンデの時代の再現になります。世界の注目を浴びることになるでしょう。右翼では内部争いが深刻化しています。カストとマテイが批判合戦です。マテイはアルツハイマー型認知症になっていると言う噂もあります。

元首相ピニェラの奥さんが、マテイを全面的に支持するとし、宣伝を始めたとか。彼がヘリコプターの事故で死んでいなければ、この選挙の右翼代表は彼で纏まったのでしょうが。ハラは新左翼の集会に参加し、合意を呼びかけました。私が大統領になれば皆さんの中から大臣が選ばれますとするのかな?元大統領のバチェレットはハラの応援です。

しかし新聞に「チリ共産党は外交に関し、ベネスエラやキューバを友国として応援しているが、それはチリ国内ではほとんど通らない。また労働組合を強化して経営者と対決する動きをすれば国内はバラバラになる。外国からの投資は止まるだろう。」とするコメントが出ましたが、内憂外患でしょうか。

昨日、キリスト教民主党の総会があり、3分の2がハラの応援は認めないとしました。独自の候補者を選ぶか、他の候補者を推すかのどちらかです。マテイに近づくのかな?

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.38ドルと安定です。為替は1ドル967ペソとペソ安になっています。豪州のBHP社は営業成績で17年ぶりの素晴らしい数字が出たそうですが、その中心はチリのエスコンディーダ鉱山で昨年より16%も生産が増加したとか。

株式市場IPSAは8197ポイントとあまりよくなりません。

2)UF制度廃止

議会でUF制度を廃止すると言うのが議決されました、財務大臣は家屋の販売などUF制度がチリの経済を支えてきたのでそれを止めると大きな問題が出ると警告しています。UFは物価上昇率指数でIPCに関連して変化します。家屋の購入でUF建ての支払いになると、毎月のその指数に合わせて支払額が変わります。それが無くなれば、売る方は利益の確保が困難になりますね。そのため売値が上がれば買う方が苦しむし。

家屋の価格ですが、過去10年間でチリの家屋価格は54%上昇しました。それは世界でもトップレベルとか。市民の収入はそれほど上がっていませんから売り上げが落ちるのは無理もないですね。

国連機関の発表で昨年の外国からのラテンアメリカへの投資は前年対比7%上昇したとか。投資額が最も大きかったのはブラジル、次いでメキシコ。チリは4位でした。

ついでに世界主要都市25の生活費を比較した所、シンガポールが最も高かったとか。東京は17位、サンティアゴは22位でした。ブラジルのサンパウロが16位で東京より高い由。

「一般」
1)犯罪

今週に最も話題になったのは殺人犯として裁判になった男をチリの裁判所が釈放しました。彼は裁判所から刑務所に送られ、そこから歩いて外に出ました。外で待っていた仲間の車で逃亡、いや移動しました。恐らく国外脱出したのではと言われますが、その後各国に逮捕請求が出されました???

その裁判官が判決を間違ったのか、チリの法律では無罪になるのかのどちらかですね。その後また逮捕しようとするのは通常とは思えませんが。彼はベネスエラ人でチリに不正に入国しており、裁判で使われた名前は本名ではないと言われます。しかもすでに2回逮捕されています。いったいどうなっているのでしょうか。

税務局ダイレクターのエチャベリ―が家屋税を長年支払っていなかったことが分かりました。野党はその男を罷免するよう議会で議論するとしています。与党でも新左翼は彼を罷免したいとか。そんな状況で彼は9年分の税金を支払いその問題を消滅し、仕事はそのまま継続するとコメントしています。彼は私の職を最終的に決めるのは大統領だけだとします。エルサルデ内相は彼に辞任するようコメントしました。

空軍の件は逮捕された軍人は(解雇されたので元軍人)裁判になっています。軍事裁判所ではなく一般裁判所です。幹部の容疑者一名が逃亡中とか。

未成年が高校で発砲し負傷者が出ました。彼は麻薬も持っていました。

マプチェの事件ですが、南部の地区でトラックが襲われ、放火されました。いつもの通りですね。

先週、話題になった露天商問題は継続で、同地区で今週も露店商と警備員の争いがあり負傷者が出ました。ただ地下鉄の駅の中で露天商は以前より減少しているらしい。私は普通、1号線に乗りますが、終点のロス・ドミニコスでは露天商を見たことはありません。

2)観光

コロナ問題で観光産業は大きな打撃を受けましたが、今年に入って航空産業は正常化し、乗客数は今年の前半で134万人になりコロナ以前の数字を越えました。

関係ないですが、チリ人はアイスクリームが好きで一人当たり1年で11キロも食べるとか。ラ米でトップです。この寒い冬にもアイスを食べるのかな?私はもう長い間食べたことがありません・・                          以  上

「7月21日~7月27日」
「政治」
1)ボリッチ動向

月曜日、5か国の大統領がモネダ宮殿で延々と9時間も会議をしました。民主主義を永遠にと言うテーマでした。参加したのはブラジル・ウルグアイ・コロンビアとスペインです。スペイン大統領は欧州では極右組織の台頭が心配されるとしました。アメリカ大陸で言えばトランプとアルゼンチンのミレイですね。日本も参院選挙でそうかな?

もちろんトランプとブラジルのルラの争いはこの会議の中心テーマでした。

ボリッチは「国民の発展・進歩を確保するには民主主義が必要だ。それを力いっぱい確保する時期には遅い早いはない。いつでも努力が必要だ」としました。彼は再度イスラエルのパレスティナ攻撃を非難しました。

チリが彼の政権下で発展したとは思えませんが、彼がこうした集まりを考えて実行するのは価値はあるでしょう。

もっともBRICSに関しては、反アメリカ(反トランプはともかく、集まってくる国の考えに大きな差が出てきて当初のような結束力は無くなっているとされています。

それから彼は水曜日に国会で議員と議論し、翌日木曜日に北部の中心の町イキケの山側にあるアルト・オスピシオ市を訪問し、そこの病院の開院式に参加しました。

2)大統領選挙

今週の世論調査では11月の選挙に誰を推すかと調べると何と極左と極右のハラとカストが同率首位。そして3位が中道右派のマテイでした。動いていますね。その3人候補者はチリの南北を訪問し、各地で市民とコンタクトをしています。そしてその3人が南のビオビオ州で討論会に参加しました。一部は見ましたが、3人が集まっているのに中心は二人だけ???ハラとカストです。カストがハラに「あなたは労働大臣として現政権で仕事をしたが、労働環境の改善は全くなかった」と批判すると、ハラは「私は現状を認識しています。あなたのように頭の中で想像しているだけの候補者ではありません」と対応しました。そして第2回目の討論会はその二人が参加しました。マテイとカストが今週同じ飛行機に乗ったのに二人は一言も話をしなかったとか。

チリが民主化してから中道左翼の中心だったキリスト教民主党DCは影が薄くなっていますが、その前・元党首が次回の選挙で共産党と組むことはしないとしました。勿論、それは彼ら個人の見解で現行のDC党の公式見解ではありません。それに対して共産党はそれは極右を支援することになると警報を出しています。

DCは現在は与党のグループですが、そこから野党側に移行するのでしょうか?もちろん独自候補を立てるとかマテイを応援する可能性はあります。

それは土曜日のDC党大会の前の話で、党大会で過半数の党員が与党に残る・共産党のハラに投票するとしました。現在の党首ウンドゥラガはDCがハラに投票すると決まった段階で党首を辞任しました。党内分裂の危機を避けるためですね。

ハラは共産党とは距離を設けて独立派として選挙運動をしようとしましたが、共産党は上から下まで彼女を覆いつくし、共産党一色で選挙運動を進める様子です。同じことが極右の共和党でもあり、ピノチェット軍事政権下と似たような動きをしそうです。

また右翼の2つのグループが次の議員選挙で共同候補を出そうとする交渉が始まりました。成立するかな?しかし左翼も右翼も中道が姿を消し、極端な道を歩く党が勢力を伸ばしています。じゃボリッチ政権の次のチリはどうなるのでしょう。

チリのマスコミに先週の日本の参院選挙が詳しく報道されました。

3)都知事

先の選挙でオレゴが選ばれましたが、そのオレゴが都知事として機能していないと10数件の問題点が挙げられ彼を外そうとする右翼側の動きが始まりました。ちゃんと不明な点は無いと証明するか辞任するかのどちらかですね。右も左も同じですね。

「経済」
1)銅価格と為替

1ポンド当たり4.47ドルと先週より上がり、そのため為替は1ドル951ペソと少しペソ高になりました。さてトランプが8月1日から銅の関税を50%にすると言っていますから銅価格も動きがあるでしょうね。

ところで株式市場IPSA指数は8221ポイントと好調だった5月に比較するとかなり低くなっています。

2)GDP予想

財務大臣はことしのチリの数字の予測は2.5%としました。パッとしない数字ですが、それでも少しは上がっていくわけですね。

5月の失業率は少し上がり、今年に入って21.3万人が会社の都合で失職しました。

予算委員会の理事がボリッチ政権は前ピニェラ時代より国家経営状況は良くなっているとコメントしています。

3)リンゴの輸出

昨年度のリンゴの輸出はチリは世界4位でした。1位はイタリアです。

4)新車の輸入

今年度前半のチリの輸入車は30.8%が中国車でした。EV車はほとんど全部が中国製です。

「一般」
1)犯罪

裁判所のエラーで釈放になったベネスエラ人の犯人メヒアがペルーに逃げました。しかしテレビのニュースに防犯カメラのビデオに映った彼の動きが出ています。サンティアゴ近郊からタクシーで北部のイキケに行き、そこからバスで国境のアリカへ。その後、またタクシーで国境線まで行きました。もちろイミグレを通らないで国境を越えたのでしょうね。その最後のタクシーの運転手がニュースに出ています。それで国境を守る軍隊は何をしているのかとする批判の声が出ています。彼はもう2度とチリには来ないかな?それともまた違う名前を使って入国するかな?仲間3人でチリの中を自由に行き来したのですが、さすが犯罪グループですね。どう対処するかちゃんとわかっていて、それを実施しています。アラグア鉄道と呼ばれる犯罪グループがこれまでに1700万ドルを入手しているとか。新聞に政府はそうした犯罪組織の抑制の動きを正当にやっているのかと批判する記事が載っています。ただ彼が釈放されたのは裁判所と刑務所の連絡が上手く行っていなかったとも言われ、刑務所関係者が尋問を受けています。そしてその判決を出した女性裁判官が結論が出るまでの間、停職になりました。

ところで、その事件が次の問題で更に話題になっています。と言うのはそのメヒアは最近問題になっているメイグ地区で誰かに頼まれて殺人をしました。今週、彼に殺人を依頼した人間が逮捕されました。小説のようなことがその地区では日常茶飯事なのですね。殺された人はメイグの王様と呼ばれるほど同地区を抑えていたとか。彼を殺した人間はその王様と友人だったのですが、その人に多額の借金があったらしい。それから逃げるため、殺人を企んだのですね。

国会で、メヒア誤釈放の問題が討議されましたが、政府は刑務所の管理部門の責任者とそれに出席し、エラーが再発しないようにする方針を示しました。

ところで国会でマプチェ問題も議論されています。内務大臣がマプチェ問題の事件数は以前より減少したと発表すると議員から事件の重大さは以前よりずっと大きいと逆のコメントが出ました。どちらのコメントも当たっているようですね。

サンティアゴ市内でグループが発砲し、それに当たって親子(娘は9歳)が死亡しました。グループ間の争いと言われます。麻薬グループなのでしょう。今週、チリで生産された人工麻薬が摘発されました。チリの麻薬グループもどんどん進んでいるのですね。

2)アメリカのビザ

アメリカ入国のビザはネットで簡単に入手できましたが、最近その状況が代わり拒否されることが増えています。それでアメリカ大使館でB1・B2タイプのビザを申請する人が増えていますが、その数が半端でないので入手に時間がかかり、旅を中止する人が多くいるとか。チリ人がアメリカ国内で犯罪を起こすのとトランプがボリッチを嫌っているからこんなことになるのでしょうか?                   以   上