連載エッセイ501:ピーター藤尾「チリの風」その40 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ501:ピーター藤尾「チリの風」その40


連載エッセイ501

「チリの風」その40

執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)

「2025年8月」
「2025年7月28日~8月3日」
「政治」
1)ボリッチ動向

今週、就任した科学・技術省の新大臣と面談して励ましました。金曜日にビオビオ州を訪問する予定でしたが、ドタキャンになりました。それはコデルコ鉱山で事故が起きたからです(後述します)。その現場でボリッチはコデルコ総裁と面談しました。彼の大統領任期はあと7か月ですが、「びっこのアヒル」と言われるようにもう何もしないで時間の過ぎるのを待っているようです。少しは最後に役に立つ仕事をしてもらいたいです。

先週、チリ人がアメリカのビザを取得するのが困難になったと書きましたが、今週からアルゼンチン人はアメリカに自由に出入りできるようになったとか。大統領の友好な関係からですね。トランプは一国の首長と言うよりその辺の個人経営会社のオーナーみたいです。

2)大統領選挙

今週の世論調査の結果ですが、11月の選挙に誰に投票するかの調査で首位は共産党のハラで28%、2位が極右のカストで26%、3位中道右派のマテイは15%でした。

毎週、雰囲気は変わっています。5月の段階では、首位からマテイ、カストそしてハラの順だったのですが。

今週に行われた候補者討論会は右翼対左翼の関係で進みました。

さて国税局のディレクターが家屋税を9年間払っていなかった事件がありました。同じことが現行大臣にもあります。なんと7大臣にその問題があるとか。そして労働大臣を辞めて大統領候補になった共産党のハラも同じく家屋税を払っていないとか。その7大臣の中に文部大臣が入っていますが、彼は共産党員です。金持ちは税金を払おうとしないから、それを何とかするため新法案が必要だと共産党は言いますが。

あいつらが払わないのだから、俺たちも払わないようにしようとするのでしょうか。私が家屋税を払わなければ罰金を取られ、そして没収されることになりますが、何故、彼らにそれが適応されないのかな?

ところでそんな人間が大統領になれますか?ボリッチは国税局のディレクターに辞任を要求していますから、同じように7名の大臣も辞任させるべきですね。そしてハラを降ろすよう頼むべきです。

先週、中道左翼のキリスト教民主党DCがハラを応援するとなりましたが、その議員プロボステは、ボリッチ政権は私たちをそれに入れなかったが、ハラはDCを政権に参加させるだろうとコメントしています。あと2週間ほどで選挙の候補者登録が始まりますが、議員選挙の方は各党の候補者をそのグループ内でどう調整するか激論になるでしょうね。

金曜日に大ニュースが出ました。「世論調査でカストの人気がトップと言うのは確認されているから11月の1次選挙で、右翼左翼の対決にすればそこで過半数を取れる可能性がある。そのためには第3人気のマテイをここで辞任させるのがベストだろう。」これを中道右派の改革党RNの議員が言っています。中道右派はマテイを掲げる自軍の団結を高めるのではなく、勝ちそうなカストにすり寄るのが賢いとするのですね。今週、そのRNの党大会があり、マテイを全力で応援すると決定しました。

元財務大臣が共産党ハラの経済政策はチリの発展より破滅に向かうと厳しいコメントをしています。現財務大臣マルセルはハラが当選しても、私は財務大臣を続けないとしています。

「経済」
1)銅価格と為替

銅の価格は4.33ドルと少し先週より下がっています。このため為替は1ドル977ペソとペソ安に動きました。株式指数IPSAは8187ポイントとパッとしません。銅の価格はロンドン市場とニューヨークで違いますが、ここではロンドン市場の数字を書いています。

8月からアメリカは銅に50%の追加課税をすると発表しましたが、今週それを変更し銅の生産方式によってその追加関税をしないことになりました。その方式の一つがチリの精錬銅だったのでチリの銅は追加関税なしにアメリカに入ります。と言うことはアメリカの輸入業者は全部チリ産の銅を欲しがることになりそうです。

何それ、トランプはボリッチを応援しているの?となりますね。

一般関税はチリは10%アップですが、どうなるのか誰も分かりません。本人のトランプが突然方針を替えますからね。マルセル財務大臣は15日以内に両国の合意があるだろうとしています。しかし追加関税は輸入する方が支払うのですから、輸入業者は8月から突然経費が上がり、それを製品価格に乗せて今までどうりに売れるか分かりませんから、大混乱になりますね。そんな大統領を選んだのは大変な失敗だったのでは?

2)GDP

財務大臣は今週の初め、中銀発表の指数がもうすぐ出るが、今年のGDPは3%に近づいていると嬉しいコメントをしました。そして発表されたのは、6月のその数字は3.1%で、過去12か月では2.9%でした。しかし失業者の問題は軽減しません。経済成長を図り、経費を上げないでも雇用者を増やす政策を政府は取るべきだとされています。

「一般」
1)地震と津波

火曜日の夜のニュースはこの話だけでした???ロシアの大地震が原因で津波が起きると言うことです。日本のテレビの画面が多く使用されました。3メートルの高波が起きるだろうとされました。このため翌日チリでは沿岸の通行が止められました。もちろん自動車・バスや歩行者の通行に大きな影響が出ました。バスが止まって自分の家に戻れないと苦しむ人が出ていました。ところが津波は1メートル強だけで被害はほとんどなしでした。それで政府の対策は間違っていると批判が出たのですが、ボリッチは皆さんが津波被害に遭わないよう対応したわけですと軽くコメントしました。何だか今日またロシアで大地震があったようですね???津波はなさそうですが。

津波はチリでは被害なしでしたが、南部は1週間の大雨で川が氾濫していろんな地区で問題が起きました。首都圏の隣のビーニャでも100ミリの雨が降り土砂崩れが起きました。自然災害はいつでもどこでもありますね。

さてコデルコ銅公社のエル・テニエンテ鉱山で、それは世界最大級の地下鉱山ですが、地震による岩盤崩れが起き、死者6名、負傷9名の事故が起きました。首都圏の隣のオヒギンス州にある鉱山です。閉所恐怖症の私は仕事でその鉱山に入る時、いつも怖がっていました。

死者の葬儀に内務大臣がランカグアに向かいました。2010年にチリ北部の鉱山で同じような事故が起き、33名が地下に閉じ込められました。全員の死亡が心配されましたが、何と全員が救助されました。世界中に知られた大事件です。それがまた再発かと思われましたが、結果は全く違いました。

2)犯罪

南米で最も危険なグループの「アラグアの汽車」のリーダーがバルパライソの刑務所に偽名で入れられていたことがあるとか。ベネスエラのそのグループによる誘拐事件は既に30回以上報告されています。さてメイグ地区の不法露天商の撤去が始まりました。警察の下で区役所の人間が露店の屋台・商品を没収していきます。これは初めての事ではなく以前にもありましたがしばらくするとまた露天商が戻って来ました。さぁ今回はどうかな?その区役所の警備員にモロトフ爆弾が投げられる事件が起きました。

そしてベネスエラ人グループだけでなく中国人グループが麻薬・武器の販売で摘発され、数名逮捕されました。裁判所に送られたそのメンバーの中にはスペイン語がほとんど分からないのもいたそうです。この問題はまだまだ続きそうです。

公務員で医師から病気のため自宅待機の指示を受けて職場から外れた人間が外国に遊びに行った件が問題になっていますが、警官・刑務所職員で2892人がその責任を問われているとか。政府は72時間以内に事件の詳細とそれをどう取り扱うか報告するように警察や軍に指示しました。

銃の発砲、乱射事件は毎日のように各所で起きますが、ボリッチが住む地区で発砲事件がありました。彼が自転車でモネダ宮殿に行こうとするときその発砲があれば彼を狙っているのでなくても偶然でも負傷する可能性はありますね。地区の安全を確保する運動をもう少し本気でやってほしいです。同じように南部のアラウカニア州で、重機3台に放火されました。恐らくマプチェの攻撃でしょう。

広島・長崎の原爆から80年たちました。チリの新聞でも土曜・日曜特集でそれに関する記事がでています。その一つでイギリスの歴史学者ビーバーが原爆が落とされなかったら、その被害者の数よりはるかに多くの犠牲者がその後に出たはずだと原爆投下を認めています。                           以   上

「8月4日~8月10日」
「政治」
1)ボリッチ動向

モネダ宮殿で労組連合との面談を実施しました。共産党の圧力でしょうね。それから青年未来議会に出席しました。若いころから世界の動き・チリの方向を議論するというわけです。そして金曜日に大臣会議を開き、任期の終わる最後の日まで全力で働くべしと指示しました。しかしそれなら家屋税を払わない大臣とか、公務員で医者から病気のため、自宅待機を指示されながら海外に旅行に出かけた公務員の処置にどうして指示を出さないのですか?辞職・退職させるか、罰金を取って復帰させるかのどちらかと思いますが。時間は立つのに事態は動きません。首都圏のニュニョア区ではこの問題で36人が解雇されたとか。まだ28人がその問題に絡み検討中らしい。

トランプ大統領は麻薬組織を攻撃する為南米にアメリカ軍を派遣するとしましたが、それをメキシコ・ベネスエラそしてチリ政府は拒否しました。余計なお世話だとするわけですね。トランプは他国の事より、先ずは自国の問題を考えるべきです。

2)大統領選挙

今週も3候補者の討論会が行われました。少しだけ見ましたが、緊張・興奮するような場面はありませんでした。これに関し、他の候補者からどうしていつも3人だけなのか、私たちも討論会に参加させてほしいと言う声が出て、確かにその後、他の候補者が参加しました。

さて今週の世論調査の結果、候補者の人気はかなり変わりました。首位は極右のカスト28%、2位は共産党のハラ27%、3位は国民党のパリシ10%。そして4位は、中道右派連合のマテイで8%でした。パリシは毎回のように大統領選挙に顔を出しますが、基盤はほとんどないです。今回、人気が上がったのは自分の陣営に一人の国会議員を加えたからです。その女性議員ヒレスは数年前、国民年金基金を各自が振りだしできるように法案を作り、市民に喜ばれた人です。各自が自分の金を引き出すので政府には何の痛手にもなりません。その人が年金をもらうようになったとき、その額が大きく減少しているだけです。

しかしマテイは5月に首位だったのに8月に4位に転落です。どうすれば良いのでしょう。私の考えでは、チリ各地を回り、その地区で中道右派の党から立候補する議員候補者と市民にコンタクトすることです。各候補者が必死になって集会を用意するでしょうから、人気回復は間違いないでしょう。国民改革党RN, それからUDI党、またエボポリなどが中心党です。素人の私が考えることをどうしてプロがやらないのかな?もうすぐ、8月18日に議員選挙の候補者登録が始まります。

そのRN党の党首はマテイになればチリはどう変わるかの説明が十分ではなかったとしています。そのためそのグループ(チレ・バモスと呼ばれます)が崩壊するのではと言われ始めました。左翼系の組織のケースと同じですね。

与党系ですが、先日、キリスト教民主党DCの党首が変わりました。新党首はハラとコンタクトをし、次の議員選挙でDCが与党連合の中に入ると言うのがほぼ決定したと発表しました。しかしそのDCの元大統領のフレイが共産党と組むことを批判しました。以前に数名の同党の元党首が行ったのと同じことです。党の総会でハラを推すことは決定されましたが、DCの基本思考は反共産主義でしょうから。

共産党(共産主義)が政権を握って、国が良くなった・発展したと言う例は世界にないですから、その失敗をチリが繰り返さないようになってほしいでしょうね。

ハラのグループから彼女が勝ったら最低賃金が75万ペソになると言う噂が出ています。現行は50万ペソ強ですから。約50%アップです。低賃金の人は全員、彼女に投票するでしょう。もっとも会社が潰れて失業率が急上昇する可能性もあるでしょうが。

カストがハラを批判しました。ハラは銅やリチウムの鉱山の国有化を進めると、アジェンデの取った政策をコピーしているとしました。ハラはそれを自分の考えではないとしましたが、カストは左翼の予備選挙でハラはその国有化を指摘していた証拠を見せました。ハラはエラーを認め、それをこれから進めるつもりはないと謝りました。

与党連合はハラが30%以下の支持率しか集められない事を極めて心配するとしています。左翼側はハラだけ出ているわけですから少なくとも40%に近い数字が出るのが普通だと言うわけです。その理由は一般市民の共産党嫌いでしょうね。

予備選挙でハラに敗れた前内務大臣トアは政治から身を引くらしい。もちろんその時は就職先を探すのが最重要事項になるでしょう。

「経済」
1)銅価格と為替

アメリカの新関税から、今週は銅価格が大きく動くと考えましたが、実際はほとんど先週と同じでした。1ポンド4.37ドルです。為替は1ドル972ペソと少しペソ安の方向へ。しかし株式市場IPSAは8520ポイントと新記録です。鉱山会社SQMの株価が急上昇したのが原因と言われます。鉱山会社が注目されるのでしょか。

先週のエル・テニエンテ鉱山の事故がまだ尾を引いています。トンネルの落盤が地震によるものなのか、それとも鉱山の作業のエラーか調べる動きが始まり、外国のプロを雇用してチェックしています。まだ結果に関する最終情報はありませんが、地震の後、その場所を開発していた事業が上手く行っていなかった可能性があるとされますが、詳しいニュースはありません。このため鉱山の作業が中止になり一日900万ドルの損失になっています。そのうち一部は開業されますね。

2)物価上昇率IPC

7月のIPCは0.9%になりました。その仕組みで借金を持っている人は来月からかなりの増額になりますね、中銀は公定歩合を9月に下げることになりそうとか。

失業率

過去30か月間、失業率は8%を越えています。この4-6月間は8.9%でした。2010-2019年の10年間は6.9%ですから、ボリッチ政権はこの問題を改善すること

は出来ず放置したことになります。

3)年金制度の改革

先月まで、毎月の給料の10%を強制的に年金運営会社に収めるシステムでした。それが今月から11%になります。しかしその1%のアップは各自の基金に行くのではなく大半が政府の方に回り、貧困受給者に渡されるとか。この説明が良くされていないので労働者の反対する声は出ていません。

「一般」
1)犯罪

殺人事件

首都圏の同じ地区で3件の殺人事件があり、そこの住民は警察も政府も地区の安全を全く守ってくれないと悲鳴を上げています。

誘拐事件 6名逮捕

経営者が誘拐され3億ペソの保釈金を払わされたらしい。その後、犯人が逮捕され、そのお金も一部は警察が取り戻したとか。しかしこうした犯罪が頻繁することは悲しい事実ですが、ちゃんと犯人が逮捕されると言うのが嬉しいですね。

名門高校の学生騒動

高校生が道路に向ってモロトフ爆弾を投げました。もう何年も同じような暴行が起きていますが、その解決に何をするのかはっきりせず、問題は継続です、悲しい事実。

メイグス地区の不法露天商

このニュースはまだまだ続きそうです。テレビのニュースで露天商が消え、一般市民が通常に歩いているのが見られます。露天商に邪魔されていたその後ろの商店が正常な運営(販売)をしているとか。しかし今週、その不法露店が使用していた不法倉庫が見つかり、そこに保管してあった不法品目が没収されました。もちろんその後ろの麻薬組織はチャンスを待って静かに隠れているのでしょう。政府はこの地区の正常化を力を入れて進めたいと発表しています、                   以   上
「8月11日~8月17日」
「政治」
1)ボリッチ動向

ボリッチを支持するは35%、不支持は62%でした。ほとんど役に立っていない、もしくは悪くなっている現状でも彼を讃えるチリ人が3分の1もいるのですね。

文化対象の授与式がモネダ宮殿で行われ、受賞者にメダルを渡しました。その時、彼は文化と政治は独自のものだとし、トランプがアメリカのある美術館を政治的に閉鎖したことを批判しました。イスラエル関連なら理解できますが、ボリッチはいろんなことでトランプ批判をしますね。

ニュースに100歳の老婆が家屋税を払えないので家屋の差し押さえがありそうだと出ました。それは法的には正しいでしょうが、老人に特別手配は無いのかボリッチに聞きたいですね。それからそれを払わない大臣の家屋を差し押さえしないのかと言う質問もしたいです。

2)大統領選挙

今週の発表では極右カストを支持するが28%、共産党ハラ26%、中道右派マテイ16%、国民党パリシ12%とまた元の順位に戻りました。マテイは11月の選挙で私が2位に入らなかった場合、勝ち抜いたカストを応援する気にはならないとしています。彼らは登録したので正式に11月の選挙の候補者になりました。

カストは一般に思われているほど議会に重要性は無いとしました。これはトランプの取っている方針によく似ているとされます。アルゼンチンの大統領も同じですね。彼は最近、経営者陣とのコンタクトを始めたとか。ボリッチから自分に替われば、皆さんにどう影響するか説明するらしい。

先日の党大会でハラを支援するとしたキリスト教民主党DCが党内で混乱です。最終日の土曜日にまだどの区で自分たちの候補者を出せるのかはっきりしていないとか。

そのハラですが、先週は銅・リチウムの鉱山の国営化についてエラーをしましたが、今週は年金基金の払い戻しの件で、彼女は払い戻しを支持するとしたことが明らかになり、(彼女も引き出したらしい)それは市民の将来の生活に悪影響を与えるからやるべきではない(なかった)に反すると批判されています。将来、大統領選挙に出馬するとは考えていなかったので、周りの風にあおられたのですね。

右翼系候補者は政府の支出を抑えるとしています。左翼のバラマキ政策はやらないと言うことです。それなら上昇気流はどこから来るか知らせるべきですね。

それから税金を上げるのか下げるのかも問題になりますね。

現状が続くと11月の大統領選挙で勝ちぬくのはカストとハラです。そして彼らが12月の決選投票に向かいます。と言うことは次の政権は極右か極左です。

そうなればチリは現在より混乱します。例えばカストが大統領に就任した後に何かの方針を出せば、左翼はデモをして抗議します。それが発展して数年前の社会騒乱になるでしょう。100万のデモ隊には左翼だけでなく犯罪グループもいて、商品の強奪などを繰り返します。カストは軍隊を出して抑えるでしょう。デモ隊に死人が出れば・・・

ハラが勝って国有化の動きを見せれば、外国資本はチリから脱出、チリの資本家も外国に投資するでしょう・・・・

つまりチリは大混乱になるでしょう。その道をチリ人が選んでいるわけです???

それから国会議員の選挙に4つのグループが登録されました。左右が二つずつに分かれたわけです。もちろんそれは予想された通りですが、本番に向って4グループが敵対するのですね。

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.42ドルでした。年初より10%も上昇しています。為替は1ドル952ペソと先週とほとんど変わりません。

株式市場IPSAは今週も8737ポイントの新記録を出しました。リチウム関連のSQM社、ティアンキ。アルべマルレの3社が絶好調とか。

日本・アメリカの株が過去最高を記録しましたから、チリもその世界の動きに乗っているわけですね。

それに関連しますが、国民の年金基金を運用する7社が、今年前半でなんと総計で3.5億ドルの利益を上げたとか。それが将来、市民の受け取る年金の基礎になるわけです。この好調が続きますように。

エル・テニエンテ鉱山

鉱山のジェネラルマネージャーが辞任しました。と言うことは事故の原因は地震だけでなく鉱山の坑道建設・運営に問題があったのでしょうか。詳しいことは報道されていません。

「一般」

1)犯罪

先日の経営者誘拐事件で6人が逮捕されましたが、その内訳は5名がベネスエラ人、一人はコロンビア人でした。その後にもまた逮捕者が出たようです。

INBA高校で先週に続いて学生の暴力事件が起き、モロトフ爆弾を投げるとか、先生に暴行を加える事件が起きています。同地区の区長や首都圏知事がマテイ候補者と組んでこれを裁判所に訴えました。同じような暴力事件が継続するのは理解できません。暴れているのがその高校の生徒か外から入ってきているのか分からないのでしょうか。

ベネスエラ政府に反抗したと殺されたベネスエラ人がいますが、その殺人を犯した犯罪グループのリーダーがチリで逮捕されました。彼を調べればべネスエラの実情が明らかになりますね。

それから放棄されていたビルを不法に占拠して使用していたグループが逮捕されました。

チリで盗まれた車がベネスエラで発見されました。費用をかけてそんな遠いところにもっていってもちゃんと利益が出るのですね。しかしチリで盗まれた車とどうしてわかったのでしょうか。

メイグス地区の不法露天商問題が継続ですが、首都圏内で同じような不法露天商が起きている地区が何と55か所もあるとか。私もそのいくつかは見たことがあります。

そこのリーダーが殺された事件で、殺人犯が裁判所・刑務所のエラーで脱出した事件がありましたが、その犯人(ベネスエラ人)が本国の国境近くのコロンビアで逮捕されました。チリはその犯人をチリに戻すよう依頼しています。しかし世の中は狭いですね。チリから逃げたのにまたすぐに捕まるなんて。

毎日のテレビのニュースに殺人・窃盗のニュースが続きます。車を止めさせてその運転手を降ろし、それを奪って逃げる事件も日常茶飯事です。

何とバルパライソの刑務所から3人囚人が脱走しました。えっ、チリもかなりレベルが低いですね。

5号線は南部の幹線道路ですが、その一部をマプチェが封鎖しました。自分たちの領土も返せとしています。

週末は天気が崩れたので、アルゼンチンとの国境の一つリベルタドールは閉鎖されました。不正に自宅待機の証明書を発行していた外国人医師に国外追放・再入国禁止が出されました。その数が毎日増えるようです。

2)ワイン

チリにとってワインは銅のような重要なアイテムです。大袈裟かな。さてチリでは赤ワインが白ワインの4倍ほどと圧倒的に売れます。ところが欧米では白ワインの方が売れ行きが良いとか?国によって好みが違うと言うことですね。どうしてかな?  以   上
 

「8月18日~8月24日」
「政治」
1)ボリッチ動向

農林大臣バレンスエラが辞任しました。若しくは辞めさせられました。私は彼をよく知りませんがテレビのニュースでは良いイメージを持っていました。大統領の任期の最後で辞めさせられるのは彼が大臣の能力を持っていなかったではないですね。それならもっと前に飛ばされたでしょう。つまり最近の彼の言動がボリッチの気に入らなかったからでしょう。もちろん選挙関連でしょうね。ボリッチは彼が先の大統領予備選挙で落選した緑の党などを合わせたFRVSグループを支援するのは許せないと言ったらしい。

その後任にイグナシア・フェルナンデスが起用されました。彼女はちょっと前、農林省の次官をしていたのですが、先の大統領予備選挙でトアを支持するため職を辞任していました。彼女の人生も派手に動きますね。

そしてその翌日、財務大臣が辞任しました。彼がボリッチ政権の基礎,いや基本かな、になっていましたから、その人が突然辞任するのは理解不能です。個人的な理由で政治関連ではないとか? GDPの成長はそれほど素晴らしいものではなかったですが、ボリッチ政権の大臣の中では一番正常(有能)と思われましたが・・・。テレビで彼の辞任の挨拶を見ましたが、家族の問題で辞任するとしました。しかしあと数か月でボリッチ政権は終わるわけで、個人の問題を半年待てないと言うのは不可解です。彼は財務大臣になる前、10年ほど中央銀行総裁をしていましたからチリの経済に関してはすべて理解していたわけですね。このため、現行の経済大臣グラウを財務大臣に起用し、新経済大臣にガルシアを任命しました。野党側から新左翼のグラウには財務大臣をする力はないと批判が出ています。彼の最大の仕事は来年度予算の作成です。

さてボリッチは首都圏ピンタナで政府援助の新規住宅の完成を祝う式に参加しました。それから首都圏の新しい地下鉄9号線の工事開始の式に参加しました。誰でもできる仕事ですね。中銀の創立100周年記念式典にも出席しました。そして南部のチヤン・ビエホに行ってオヒギンス生誕247年の式典に参加しました。200とか250の記念ならわかるけど247の誕生日のお祝いは分かりません。モネダ宮殿にいたくないので理由を作って外に出たのかな?

ボリッチ政権の動きがラテンアメリカの左翼政権に影響すると言われます。彼の人気が低迷なのが他の国に悪い影響を与えるのかな?確かに彼の任期で光ったことは少ないですが。今週のボリビア大統領選挙で20年ぶりに右翼が政権を握りそうですが、それにはボリッチは関係していませんね。

2)大統領選挙

共産党のハラが注目を集めています。共産党の指示で動いていると言われますが。さて現行の厚生年金AFPシステムを廃止するとしました。社会騒乱の頃から新左翼はAFP廃棄を叫んでいました。現行のシステムはピノチェット軍事政権で出来たシステムですが、各自が貯めたお金を基に年金を支給します。つまり現行システムは個人の責任で政府は関連していませんが、それを変更して政府が手を加え、上のレベルの人から取った分を下の層に渡せば均衡がとれることになるわけです。もちろん、自分の金が他人に回るのを喜ぶ人はいないでしょうね。

それから最低賃金を75万ペソにセットするようです。会社に全部払わせるのではなく、その一部を政府が請け負うとか。それは左翼のバラマキ政策ですね。

大統領府の長官バジェホは出産のため何か月か仕事を離れましたが、最近また職場に戻りました。しかし彼女はその職を続けるか、辞任してハラの支援グループに入るか悩んでいるとか。彼女は共産党員です。

今週、その有力候補はチリ遊説の旅を始めました。マテイはアリカに飛んでそこの国境地区に向かい不法移民のコントロールをする部隊と面談しました。カストはアントファガスタで住民と面談。ハラは隣州のバルパライソを第1目的地として「ハラバス」と名図けられたバスに乗って全国遊説を開始です。

今週の世論調査は先週と同じ結果でした。11月の選挙で極右のカストと極左のハラが勝ち、12月の決選投票になりそうです。チリは誤った道を歩いていますね。

11月に同時に行われる国会議員選挙ですが、新聞の予報では上院・下院は次のようになりそうだとか。

上院 左翼14名 右翼16名

下院 左翼80名 右翼68名

さぁ、どうなるかな。細かい点はともかくとして両院で左右が別々に勢力を持つことは次の政権にとって不安定な要因になります。

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.37ドルと先週とほぼ同じ。安定しています。コデルコ銅公社の今年前半の生産は63.4万トンで対前年9.3%アップ。このため政府への納入金は8.1億ドルと前年より24%アップです。ただエル・テニエンテ鉱山の問題が起きたので今年後半は少し数字が下がると見られています。

為替は1ドル969ペソ。少しペソ安になりました。株式市場は今週に過去最高の8851ポイントまで上がりました。

2)GDP

第2四半期は0.4%のアップでした。前年対比では3.1%の上昇で予想された数字とほとんど変わりは無いようです。

「一般」
1)犯罪

先日、バルパライソの刑務所から脱走した3人の囚人が全員逮捕されました。これで脱出の経緯・方法がすべて明らかになります。

サッカー場で両チームのファンが暴れまくりました。サッカーの話ではなく犯罪の項目の事項です。南米カップに参加するチリのチリ大学はアルゼンチンでインディペンデンスと対戦しました。前半戦の最後でチリから応援に出かけた3000人のチリ大ファンが相手側に投石を始め、それにアルゼンチン側が逆襲。圧倒的に数が多いアルゼンチン側の攻撃でチリ人ファンが多く負傷し、また警官にチリ人100人強が逮捕されました。アルゼンチン人も何人か逮捕されました。

逮捕されたチリ人ファンが警官に一方的に攻撃された、自分は何もしていないのにとコメントしています。2階から落ちてけがをしたファンが自分で飛び降りたと言われるが、それは違う、アルゼンチン人に突き落とされたのだとしました。100人の中の少しはそれが正しいかもしれませんが、逮捕されたファンの中にチリで同じような暴行事件を起こしサッカー場への入場禁止になっているのが何人もいるそうで、彼らは暴行事件を楽しみにする犯罪グループですね。

しかし両チームのファンが喧嘩し始めた時、どうして警察が介入しなかったのか不思議です。すぐに抑えられたのに。それでも逮捕されたチリ人は全員釈放されました。何人かは病院に入っていますが、生命に問題は無いようです。同じような事件が次はチリ国内で起きますね。この事件の結果、試合は最後まで続かず中止になりました。

ボリッチはこんなにチリ人がアルゼンチン国内で暴行されるのは許しがたいと同国にクレームしました。そして内務大臣を即時同国に派遣し、チリ人ファンの保護に当てました。

メイグス地区の不法露天商の問題と似ていますが、フランクチン地区をコロンビア人グループが抑え、麻薬犯罪などの基地になっています。

それと対抗する「アラグアの汽車」のメンバーでべネスエラ人オヘダ(同国の元軍人で反政府)殺人事件の犯人がアメリカで逮捕されましたが、アメリカからチリに移送されるとか。チリでの殺人事件の犯人ですから。そしてその件で逮捕されているベネスエラ人エンリケスの裁判が始まります。

南のマプチェの地区で今週も重機などの放火犯罪が起きました。森林会社の守衛が発砲されて死亡しました。もういつもの事件の継続ですね。

首都圏の隣のバルパライソ州のサン・アントニオ地区で2019年に始まった不法建築物を取り壊すことになっていました。4100家族がその地区に住んでいます。取り壊しでなく、その不法占拠の土地を彼らが公式に購入すれば取り壊す必要は無くなります。その取引が今月中に期限が来ます。しかし取引は進んでいません。政府は約束を守るのか、守らないで放置するのかはっきりしません。ボチッチは次の政府に宿題として残そうとするのでしょうか。

2)天候

水曜日からの雨で、首都圏の一部は積雪になりました。学校がそのため封鎖されたところも出ました。ホームレスの人を助ける施設に3000人が収容されたとか。来週は最高気温が20度を超す暖かい気候になりそうとか。

3)安楽死

世論調査ではチリ人の83%が他に打つ手段のない人には安楽死を法律で認めるべきとしていますが、まだその手続きは進んでいません。政府が決断し、それを議会に送る必要がありますが誰も責任を取ろうとしていません。次の政府でどうなるかな?   以  上
「8月25日~8月31日」
「政治」

1)ボリッチ動向

軍事政権の時に行方不明になった人の家族をモネダ宮殿に招待して、その人たちの行方を捜す作業を休まず続けますとしました。

さてトランプとのヒッチが続きます。ボリッチは再度、トランプが美術・博物館を政治的理由で封鎖させたことを批判しました。

トランプはベネスエラと戦争をしそうですが、その時、チリはどう対応するのでしょう。トランプは突然、イランに空爆しましたから、ベネスエラにも同じことをするのでは。ラテンアメリカの国はそのどちらに付くか考えていますね。チリ共産党は以前からベネスエラ援護をするようボリッチに圧力をかけています。

先週、マルセロ財務大臣が辞任しましたが、ある機関から政府の財政は赤字が増え続けている、政府の支出を抑える方針に変えるべきとのコメントが出ました。バラマキ政策を止めなさいとするわけですね。来年度予算案が進んでいますが、来年のGDPは2.6%、銅価格は4ドル以上が想定されているらしい。

2)大統領選挙

世論調査ではカスト28%、ハラ27%そしてマテイ14%と変化はありません。11月の選挙でその1,2位が勝って12月の決選投票に出るのでしょうね。

左右両陣営で問題があります。左の方は共産党党首の前財務大臣批判の発言が他党に不愉快な思いをさせています。簡単に言えば、「皆さんは共産党候補ハラを支援しているのだから私たち共産党の言うことを聞きなさい」です。そうではないと思いますが・・・

右の方はカストとマテイの対立ですが、もちろん、当然ですね。マテイを応援する中道右派の中から極右カストに付く人が増えています。マテイは勝つ可能性がないとしカストに変えるわけです。すると将来、自分に政府関係の重職が回ってくると思うのでしょうね。

そのカストが私の政権では皆さんの年金は増額されますと、ハラと同じバラマキ政策を発表しました。現在のチリの年金システムで、受領する額が少ない人は政府の出すPGU年金がもらえます。それがこの9月から25万ペソに上がります。ニッコリする人が大勢いますね。政府の支出増です。

11月の大統領選挙と同じ日に議員選挙が行われます。下院の場合、28の選挙区で155人が選出されます。私の住むラス・コンデスは第11選挙区で35人が立候補しています。その35人の名前と所属する政党の名前は確認できます。

まだ話題にはなっていませんが、そのうち盛り上がってくるでしょう。

「経済」
1)銅価格と為替

銅の価格は1ポンド4.45ドルと少し先週より上がりました。為替は1ドル967ペソとほぼ同じ。コデルコ銅公社のエル・テニエンテ鉱山での死亡事故に関し責任はコデルコなのか、契約された民間の会社かそれとも地震の自然災害なのかまだ結論は出ていません。

チリでは年に550万トンの銅生産があり、それは世界合計の24%に当たります。

チリ株式市場IPSAは今週も8900ポイントを超え新記録を更新しました。米・欧・日でも新記録だそうですが、トランプの動きが株高を呼ぶとか?本当ですか?

2)失業率

会社の必要の為、解雇された社員が1-6月に25万人になりました。ひどいですね。もっとも再雇用も増えているので最近の5-7月の失業率は8.7%と少し良くなっています。

「一般」
1)犯罪

麻薬組織の「アラグアの汽車」が刑務所内で刑務官に多額のわいろを渡し、刑務所内でまるで自宅にいるような自由な毎日を送っているらしい。着ている服が豪華とか??

刑務所に収容される麻薬関連の組織犯の数が急増して、それに対応する刑務所の組織が出来上がっていないと言うことでしょうか。

今週、何と北部アリカで囚人が刑務所から病院に連れていかれた時に看守を襲いその銃を奪って逃亡したとか。警戒が必要と言う問題の改善が進んでいません。

2014年にサンティアゴ空港で行われた世紀の犯罪と言われる60億ペソ強奪事件の犯人が、刑期を終えて外に出てから、また同じようなことを繰り返していたのか、彼の車に銃弾が20発撃ち込まれ、その後樹木に衝突して死亡しました。

それからボリビアから不法入国してきた人間が逮捕されました。そのグループは麻薬と武器を持ち込んでいました。そこまでは良くあることですが、逮捕された5人はボリビアの警官でした。そういえばチリの軍人・警官が麻薬を扱っていた事件はどうなったのかな?

サンティアゴの公共バスの中で乗客が刃物で刺されて死亡しました。私も、市内バスには毎週乗っていますが・・・

医師の診断書 

不法の診断書使用が長い間、問題になっていますが、今年の7月に診断書発行指数が昨年対比19%減になったとか。もしかすると不正発行が激減したのかな?

問題発表が少しは役に立っているのですね。公務員でその診断書を使って海外旅行をしていた職員を全員解雇すれば、その問題はすぐに解決しそうですが・・・

そして検察局の発表で殺人事件の数は2024年はその前年より3%減少とか。じゃ今年はどうなるのかな?

犯罪ではなく自殺ですが、傾向として100年前は男性は女性の2.5倍だったのが最近は5倍になっている。それから以前は青年・壮年が大多数だったのに最近は老齢者の自殺が増加しているとか。時代とともに社会が変化するわけですね。

マプチェの問題

マジェコ地区などアラウカニア州でマプチェの攻勢(犯行)が続いています。2022-23年にはなんと24回も事件が起きました、回数はかなり減少していますが、今年も3件の放火・暴行事件が起きています。ボリッチは会話で解決するとしましたが、勿論進展は全くなく、同地区で殺人を含む事件が継続です。

最近、話題になっているメイグス地区が落ち着きを見せています。犯罪組織の怪しい不法露店が一掃され、通常に歩けるようになったとか。良かったね。     以  上