執筆者:設楽知靖(元千代田化工建設・元ユニコインターナショナル)
以前に(社)日本プラント協会の会報に『中南米シリーズ』(全22回)を連載した際に『昭和のラテンアメリカ』と題して報告したことがある。
それから日本の『元号』は昭和から『平成』に代わり、現在は『令和』となって7年である。
『平成』は30年であって天皇は生前継承として令和という新しい元号に引き継がれた。
この平成の30年間にも日本国内はもちろんのこと世界並びにラテンアメリカ地域においても大きな変化が見られ、今日は『混乱の時代』あるいは『地域同盟の時代から格差、分断の時代』を迎えており地域紛争は各地で拡大している。
なかでもロシアのプーチン政権と米国のトランプ政権は世界を混迷の渦の中に追い込んでいるように映っている。ここではさかのぼって『日本の平成時代』と『ラテンアメリカの動向』を五年単位で世界情勢を含めて考察してみることとしたい。
世界の混乱の時代展開で『ベルリンの壁崩壊』、『東西冷戦終結』、『東西ドイツ統一』、 『ソ連崩壊』、『天安門事件』と立て続けに世界の大きな変化が起こった。
日本では『バブル経済の崩壊』、『美空ひばり死去』、『雲仙普賢岳・火砕流発生』、『佐川急便事件』と暗いニュースが続いたが、明るいニュースとして『皇太子・雅子さまご成婚』、『J―リーグ誕生』、また政治変化としては『宮沢内閣成立』、『PKO法案成立』、『参院選・与野党逆転』、『村山富市内閣誕生』、という政治変化が起こった。
一方、ラテンアメリカでは『ペルーで日系人・フジモリ大統領誕生』、和平、経済復興の方向が期待され、『墨・米・加・自由経済圏構想』、『ベネズエラ・ペレス政権誕生』、 『チリー・左派エルウィン政権誕生』、『ブラジル・コロール政権誕生』、そして中米では『エルサルバドル和平協定』、『中米支援・東京会議』が開催され、ブラジルでは
『イベロアメリカ・サミット』、エクアドルでは『中南米バナナ・サミット』、『コロンビア・サンぺール政権誕生』、『ペルー国民投票で新憲法承認』、と少し良いニュースが。 グアテマラ・リゴベルタ・メンチュー女史・ノーベル平和賞受賞、ボリビア・サモーラ大統領訪日などがつづいた。。
日本社会では『ディスコでの女性お立ち台』、『親父ギャル』、『アッシーくん』、『きんさん・ぎんさん』などの流行語が生まれた。
『パナマ運河返還協定』、『ペルー・APEC加盟』、『ベネズエラにてOPEC首脳会議』、 『チリーにて第二回米州サミット』、『プーチン大統領・キューバ訪問』
日本では自然災害と大事件が起こった。それは『阪神淡路大地震』、『地下鉄サリン事件』、特にこのサリン事件は日本社会を震撼させた。政治・経済変化は『消費税5%』、『長野オリンピック開催』、『東海JOC臨界事故』、『三宅島噴火』、『USJ開業』、『橋本龍太郎内閣成立』、『小渕恵三内閣成立』、『森喜朗内閣成立』、と政治がけたたましく変化した。
ラテンアメリカでは、ペルーで大事件発生、反政府勢力MRTAによる『日本大使公邸人質事件』でフジモリ政権下で日本の民間駐在員が長期間人質となった。その間に『トロントで橋本・フジモリ会談』などが開かれ、長期折衝が行われた。 メキシコでは長期PRI政権が後退し、野党PANのフォックス政権が誕生した。また、 日本の天皇・皇后両陛下がブラジルとアルゼンチンを訪問。『ペルー・フジモリ大統領訪日』、『アルゼンチン・メネム政権誕生』、『ブラジル・カルドゾ政権誕生』、『ウルグアイ・サンギネッティー政権誕生』、『エクアドル・ブカラム政権誕生』、『ペルー・フジモリ大統領辞任』、エルニーニョ現象によりぺル-で北部水害発生。
日本社会では、『女子高生のルーズソックス』、『ポケベル』、『KY:空気が読めない』が流行。
世界的にもっとも大きな出来事は『ニューヨークの米国同時多発テロの発生』であろう。私もカラカスにいてJICAの調査で帰国できず、一週間の足止めをくった。丁度、OASの総会がペルーのリマで開催されていて、米国のパウエル国務長官は急遽帰国した。全米の空港閉鎖は10日以上続いた。 米国ブッシュ政権はイラクを中心とする悪の枢軸作戦を展開、『イラク・フセイン体制崩』に至った。
日本関連では、サッカー・ワールドカップ・日韓共同開催、『小泉純一郎内閣誕生』で首相自身がピョンヤンへ乗り込み、数名の拉致被害者を連れ帰へり、解放のための 『日朝・ピョンヤン宣言』を発した。『JR福知山線脱線事故』、『裁判員制度成立』、『大リーガー・イチロー選手84年ぶりに米国MLB年間最多安打数を更新』。
ラテンアメリカでは『ペルー・トレド政権成立』、『エクアドル・通貨交換完了(ドル化でスークレ貨幣消滅)』、『チリーにて第15回リオグループ会議開催』、『チリー:ピノチェット裁判中止』、『パラグアイで第20回メルコスール会議』、『ぺルーでOAS会議』、『カーター氏キューバ訪問』、『パナマ独立100周年』、『日墨FTA合意』、『メキシコ・フォックス大統領来日』、『キューバ。ベネズエラ医師・原油交換』で注目、アルゼンチン‣マルデルプラタにて『米州サミット』開催。
日本社会では、ガングロギャルの『パラパラ』、アザラシの『タマチャン}、『携帯電話加入、5000万件突破』などが話題になった。
米国『リーマンショック』により世界経済が低迷。『米国オバマ大統領に当選』『G20首脳会義開催』、日本では安倍晋三内閣。第一次成立、『ワールド・ベースボール・クラシック』、そして『福田康夫内閣成立』、『麻生太郎内閣成立』、ところが野党政権へ移行、『鳩山由紀夫民主党内閣誕生』、『菅直人内閣成立』と日本の政治は大きな変遷を遂げた。
一方、ラテンアメリカでは『チリー・バチェレ―女性大統領誕生』、またジャマイカで初めての女性首相シンプソン・ミラー内閣誕生。『キューバ・ベネズエラ・ボリビア 三ヵ国・反米協定調印』、『エクアドル反米左派・コレア政権誕生』、『チリー・日本経済
連携協定成立』、ペルーで地震発生。キューバで『フィデル・カストロ議長引退』後任ラウル・カストロ就任。『ブラジル・日本移民100周年記念』、『パラグアイ中道左派ルゴ政権誕生』、『BRICS首脳会議開催』、『日墨友好100年記念塔、アカプルコに建設』、『ブラジル初の女性大統領・ジルマ・ルセフ政権誕生』、『東カリブ経済同盟成立』、チリーで鉱山落盤事故発生、70日後全員救出される。ハイチで大地震発生。
日本社会では『負け犬論争』、『アラサー・アラフォー』(様々な決断を迫られる女性)などの流行語が生まれた。
米国オバマ大統領・広島訪問、原爆記念碑に献花。『米国、トランプ候補大統領に当選(第一次)、日本では『東日本大震災発生』壮大な津波で東北地方太平洋沿岸で多数の死者を出した。 『第二次安倍政権成立』、『消費税8%』『野田佳彦立憲民主党政権誕生』、『熊本地震発生』、ラテンアメリカでは『南米諸国連合(UNASUR)発足』、『BRICS首脳会議にて南アフリカの加盟承認』、『カリブ諸国連合(ACS)サミット、ハイチにて開催』、『リオプラス20国連サミット開催』、『メキシコで12年ぶりにPRI政権復活』、『ベネズエラ。チャベス大統領3選』、『第31回イベロアメリカ・サミット開催』、『ベネズエラ・チャベス大統領死去、後任はマデュロ』、
日本の岸田首相メキシコ、ペルー、パナマ、を訪問。『安倍首相。中南米訪問』『日本・エクアドル外交関係・100周年』、『第2回中米・ビジネスサミット』『第61回中南米。政治・文化交流会議』開催。 日本社会では『草食男子』、『女子会ブーム』、『肉食女子』
、ツイッター、フェイスブック・ブーム、ファイナンシャル・プランナーブーム。また、何をいつやるか?で『いまでしょ』が流行した。
『米朝首脳会談開催(トランプ・キム・ジョンウン)』、『全国高校野球・甲子園大会100回記念大会の決勝で秋田県の金足農業高校が大健闘』。ラテンアメリカでは資源価格回復で経済回復の見通し。『ブエノスアイレスでG20首脳会議開催』、『リマで米州首脳会議開催』、『ブラジル・日本移民110周年』、中南米諸国がベネズエラの移民問題について国際会議を開催。
日本社会ではSNS、インスタ映え、『セクハラ・パワハラ・マタハラ』そして、カーリングの競技でロコ・ソラーレの『そだね』が流行した。
2025年は『我が国の終戦から80年にあたる』。この80年のなかの平成は30年間で、世界での大きな変化ならびに日本では大きな自然災害、そしてメキシコでは政治変化、ベネズエラでは『チャベス大統領の死去』、『キューバのフィデル・カストロの引退』、『ペルーのフジモリ大統領の辞任』『ブラジルのBRICSイニシアチブ』、などの変遷があった。米国の同時多発テロ以降、さまざまな世界の潮流に日本もラテンアメリカも流され政治への影響、経済格差、移民問題に振り回されている。そして、先般日本で開催されたTICADでイニシアチブをとるべく『競争』から『共創』の時代が訪れるか。
(以上)
参考資料:朝日新聞朝刊並びに(社)日本プラント協会、中南米シリーズ”昭和のラテンアメリカ“、ウイキぺディアなど。