『さあ行こう! 一家をあげて南米へ -日本人移民の物語』
佐藤 葉 梨の木舎
2025年3月 227頁 2,200円+税 ISBN978-4-8166-2501-5
パラグアイ、ボリビア等で日本語教師もしたノンフィクションライターの詳細な紀行記。米国カリフォルニア州の砂漠にある旧日系人収容所跡を訪れた際の記録、また日本からの訪問団員として日伯修好通商航海条約100周年の年に行ったブラジルで働いてきた日本移民ならびに日本へ「出稼ぎ」に行った日系人子弟の教育問題、沖縄の農地が米軍基地に接収されて移住したボリビアの移住地での苦労、支援したうるま移住組合。移住者の「開拓は自分で選んだ道、一生懸命やったから今がある」の言葉、アルゼンチンと日本でキリスト教プロテスタントの伝導に努める日系二世の牧師夫妻、1936年に日本人が入植し始めたパラグアイでの戦前・戦後、そしてストロエスネル大統領独裁下での子弟教育にも苦労した時期もあったが、売れる農産物を試行し成果をあげ二つの祖国を融合し国を超えていく各地の日系人などを描く。最後の章は著者の日系人子弟や現地希望者に日本語を教えたボリビア、パラグアイでの体験とアルゼンチンで指導した女性からの聴き取りを載せている。
〔桜井 敏浩〕