『食の国ペルーでの最高に贅沢な日々』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『食の国ペルーでの最高に贅沢な日々』


『食の国ペルーでの最高に贅沢な日々』
宮崎 泰 彩流社
2025年8月 203頁 2,000円+税 ISBN978-4-7791-3067-0

著者は1939年生まれ。東京大学でアンデス考古学を学び1963年のアンデス調査団に参加し、アンデス東麓のコトシュ遺跡発掘に関わった。その後ペルーに留まってペルー国立サンマルコス大学で人類学・考古学を学ぶ傍ら1972年に帰国するまでペルーの南北各地を旅行し、またリマ市の天野博物館の資料作りにも参画した。本書はその間に各地の博物館を訪れ、その土地の人たちと交流し、地元食材と郷土料理を堪能し、長く住んだリマでの生活の様子も丹念に描いた紀行文。
南はティティカカ湖、クスコ、マチュピチュ、中部のワラス、北部の当時ほとんど日本人が訪れていないチャチャポヤス遺跡など、実に広く周遊しており、見聞、特に農牧業産品(それぞれの品目のスペイン語名とその原語を併記しているのは有用)や庶民との会話をよく記録していて、著者の旺盛な好奇心の一端を知ることができる。なにぶん現地を訪れた時から50年以上も経過しての刊行だが、今でもあまり変わらない部分が少なからずあるだろう。

〔桜井 敏浩〕