『コーヒー2050年問題』
武田 淳 東京書籍
2025年7月 256頁 2,400円+税 ISBN978-4-487-81859-4
地球温暖化によって将来コーヒー産地へ影響が出て「2050年までに世界のコーヒー適作地域が半減する」という予測研究を基にコーヒー産地の視点をテーマに解説した本書の著者は、JICA海外青年協力隊員としてコスタリカ環境エネルギー省に赴き、横浜国立大学で博士課程修了し、現在は静岡文化芸術大学准教授。
気候変動による「適作地域の半減」というコーヒーの2050年問題により、産地への影響を中東・アジア、カリブ海、中南米、アフリカの主要産地毎に見て、変わる産地地図、リベリカ種、野生種の可能性を述べ、最後にコーヒー収穫量の減少による生産者の収入安定化のために、フェアートレードとともにコーヒー豆以外の部分から新たな商品を産み出すためにコーヒーチェリー(果肉)や葉から飲み物・食べ物、化粧品を開発する試みを提唱している。その国に様々な影響をもたらす諸文化としてのコーヒーを、気象変動の時代に即して捉え直そうという著者の意気込みが伝わる。
〔桜井 敏浩〕