水声社 寺尾隆吉訳
2025年5月 685頁 4,000円+税 ISBN978-4-8070-0
マイアミで出会ったキューバから亡命しフロリダ州に住むようになった元野球少年のマルコスとニューヨークから来たキューバ人の母をもつ大学院生のアデラが出会い愛を深めるが、キューバ革命後の激変した社会情勢に翻弄された両親の過去に直面する。希望に満ちた青春を過ごすマルコスの知人たちも、次々に塵のように米国やスペイン等に世界中に散り祖国の呪縛を抱えながらそれぞれの行き先で行き様を見つけるが、一方クララのように生家を背負ってあくまでキューバに留まる者もいる。キューバのディアスポラ(離散)を「キューバ国民生活の年代記」という壮大なスケールで描いた長編小説。
著者は1955年キューバで生まれ、ハバナ大学で文学を専攻し文学雑誌や新聞の編集に携わり、探偵小説で評判を取ったが純文学でも多くの著作を書いており、『わが人生の小説』(2002年、水声社)、『犬を愛した男』(2011年、水声社2019年)に続いて本作もスペイン語圏全体で大ヒット作となった。執筆 創作が続けられる限り国外に移るつもりはないと現在も生地ハバナのマンティージャ地区で執筆活動を続けている。
〔桜井 敏浩〕