執筆者:新井賢一(Andes Tours Colombia代表)
今年に入り特に個人・グループ等で南米・コロンビアを観光されるお客様が前年比で増えています。単なる偶然だと思いますがコロンビア観光がちょっとしたブームに入っているのではと錯覚するほどです。短時間のトランジット・乗り継ぎ入国観光から数日・一週間前後のご旅行など様々ですが、長年コロンビアを紹介し続けている自分にとっては青天の霹靂とも言えます。
コロンビア国内を旅行されるにあたりちょっと変わったリクエストを度々受ける事があり、その中の一つに「食事は極力グルテンフリー食材を」というご要望を受ける事があります。コロンビアは南北アメリカ大陸有数の「米食国」であり、伝統食も小麦粉ではなくとうもろこし粉やキャッサバ粉などを使ったものが多く、十分対応出来ます。という事でコロンビアで食べられるグルテンフリー・ローカルフードメニューをいくつかご紹介します。

コロンビア中西部・トリマ県発祥で世界中のローカルフードを紹介しているサイト”Taste Altas”において2024/25年版「世界一の料理」に選ばれたのが”レチョナ(Lechona)”です。これは骨を抜いた皮だけの姿の子豚丸一頭の中に取り出した肉を混ぜたご飯や豆などを詰めてオーブンで焼いたもので、コロンビア人が特に朝方(理由は不明)好んで食べるローカルフードです。レチョナは大阪万博・コロンビア館でも販売され好評を博したのでご存じの方もいる事でしょう。豚肉たっぷりの混ぜご飯にカリカリに焼き上がった皮の部分をハサミで切ったものとアレパ(とうもろこし粉を使ったパン)を添えて提供されます。混ぜご飯は脂っぽく、内側に脂身が付いた皮の部た分はコラーゲンたっぷりです。
このレチョナはクリスマスシーズンにも好んで食されます。コロンビアに来られたら是非ともご賞味下さい
キャッサバ粉(タピオカ粉)・とうもろこし粉・チーズ・卵などを練り込んでオーブンで焼いたパン状のローカルフードです。ブラジルに似たような形の「ポンデケージョ」があります。コロンビアのパン・デ・ボノは外側がサクサク・中がもっちりとした食感がとても独特で、且つチーズの味が極めて強いものです。中の部分が空洞ではなくモチモチした食感を生む層が詰まっているのが上出来のパン・デ・ボノで、中にグアバ果肉にペクチンを混ぜて煮詰め羊羹状にした甘い「ボカディージョ(Bocadillo)☆スペインではサンドイッチを指すので注意」を小さくカットしたものが入っているものもあります。その為パン・デ・ボノを買う際にはCon queso(チーズ味)かCon Bocadillo(中が甘いタイプ)のどちらかを選択するのが常です。

☆フィアンブレ(Fiambre)
コロンビアにも日本と同様「お弁当」の文化があります。それがこのフィアンブレです。その昔、農作業に出る人達が持って行ったスタイルが今に残っています。日本の昔のお弁当は竹皮でしたがコロンビアのフィアンブレは”バナナの葉”を使い、中の具はご飯・肉(地方によって挽肉・一枚肉など異なります)・チョリソ・チチャロン(豚の皮部分を揚げたもの)・玉子(地方によってゆで卵・目玉焼きなど異なります)・調理用バナナを揚げたものなどを一つにまとめ、バナナの茎を細く割いたもので縛って完成です。レストランなどで食べるフィアンブレは昨今バナナの葉で包まず皿に盛って提供されますが、新鮮なバナナの葉で包んだ正統派お弁当としてのフィアンブレを是非屋外で食べて頂きたいです。

大きなタイプは野球ボールほどの大きさのブニュエロ。元々はスペインから伝わったものでスペインにも同名のものがありますが食感は似て非なるものです。コロンビアのブニュエロもパン・デ・ボノと同様キャッサバ粉(タピオカ粉)ととうもろこし粉にチーズをたっぷり入れて練り込み、球状にして揚げたものです。ブニュエロも焼いたタイプのパン・デ・ボノと同様にチーズ味が強く、外側はサクサク・中はモチモチしている不思議な食感です。ブニュエロは首都ボゴタの人達の朝食として人気があり、これとコーヒーで済ませる人も多いローカルフードです。また、ブニュエロはコロンビアではクリスマスシーズンには飛ぶように売れる、クリスマスに欠かせない食べ物です。

米食の国コロンビアの中で最もご飯を食べるのが暑い海岸地域というデータがあります。これはパンなどに使用する小麦粉を暑い場所に置いておくと劣化してしまう事、パン自体も暑い地域では日持ちしない為にご飯が好まれるという地域事情があります。その中でカリブ海沿いでのご飯の定番が「ココナッツライス」です。この地域ではココナッツライスをメインに添えられるのはほぼ常識です。
コロンビアのココナッツライスはまるで焦げたような濃厚な茶色をしているのが特徴です。これはココナッツミルクと黒糖を煮詰めて茶色のカラメル状にしたものをベースにして生米を入れて炊き上げる為です。その為食感はとても甘く、日本人にとっては好みがはっきり分かれる味です。コロンビア・カリブ地方を旅行される際には一度コロンビア風ココナッツライスを食してみて下さい。

☆パン・デ・マイス(Pan de Maiz) & アルモハバナ(Almojábana)
パン・デ・マイスは「とうもろこし粉パン」小麦粉を使っていない為食感が若干ボソボソとした感じですが熱々のパン・デ・マイスは素朴な味がします。小麦粉を使ったパンが食べられない方にはうってつけのローカルフードです。これは特に大都市郊外の町・村で食べられる事が多く、街道沿いで窯により焼き上げたものを売っている場所もあります。
アルモハバナ(Almojábana)は形状が前述のパン・デ・ボノに似ています。
アルモハバナはとうもろこし粉をベースにベーキングパウダーを加えて焼き上げたもので、パン・デ・ボノは中がモチモチして若干塩気があるのに対してアルモハバナは中がしっとりとして甘みととうもろこしの風味が強いのが特徴で私も大好物です。出来栄えが良いアルモハバナを販売する店舗はコロンビア人の間でも人気ですぐに売り切れるので、それで善し悪しがはっきりと分かります。ちなみにアルモハバナも元々はスペインから伝わったものですが、スペインや他のラテンアメリカ各国で呼ばれている同様の名前のものとは食感等が異なります。
他にもグルテンフリーのローカルフードは多数あり、コロンビアを旅行中「小麦粉断ち」をする事は全く持って容易です。是非コロンビアへ。