「ラテンアメリカにおける食糧ビジネス」セミナー - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

「ラテンアメリカにおける食糧ビジネス」セミナー


 11月28日午後2時から5時まで、「ラテンアメリカにおける食糧ビジネス−日本にとっての食糧安保の観点からのラテンアメリカの可能性—」セミナーが、ラテンアメリカ協会と海外投融資情報財団の共催、米州開発銀行アジア事務所(IDB)および国際協力銀行(JBIC)の後援で、70人を超える参加者を得て国際協力銀行で開催されました。



スピーカーと講演内容の概略は次の通りです。

?「日本の食糧安保の観点から見たラテンアメリカ」

清水純一氏(農林水産政策研究所 上席主任研究官)

2000年代に入ってから、ラテンアメリカ(特にブラジル)が穀物および食肉の供給地として台頭したこと、その背景には中国をはじめとする新興国の需要増がある一方で、ブラジルでは耕作面積と単収が平行して上昇したこと、そしてまだ農地拡大の余地が十分あるので、将来的にもブラジル、アルゼンチンが世界トップの農産物輸出国となるだろうとの説明がありました。



?「商社による取り組み事例」

近藤正樹氏(伯国三菱商事会社 社長)

2021年までの世界の食糧需給見通しを提示し、ブラジルの強みは、耕地面積の拡大の余地、豊富な水資源、安定した気候にあるが、輸送インフラの未整備がネックとなっているものの、現在整備中であること、そして三菱商事はブラジルの有力企業との協業を通して、ブラジル国内外に食糧供給事業を行っているとの報告がありました。



?「事業を通じた食糧・環境サステイナビリティへの取り組み ブラジル味の素社のケース」

國本裕氏(味の素株式会社 代表取締役 副社長執行役員)

味の素のブラジル展開の柱の一つである飼料用アミノ酸の生産が、環境保全と資源循環にいかに貢献するかについて詳しい話があり、「21世紀の人類社会の問題解決に貢献」するという企業による社会的貢献への強いメッセージが述べられました。



?「食糧ビジネスに関する環境社会問題のリスクと対応」

吉田知矩氏(イー・アール・エム日本株式会社 代表取締役)

イー・アール・エム社が、環境に関するあらゆる専門サービスを提供する企業であること、そして農業開発が引き起こす様々な環境・社会問題について紹介し、企業とJBICなど資金提供者が現在どのような配慮と方向性をもって対応しているかについて話されました。



 世界の食糧需給に始まり、環境問題に至る4人のスピーカーの講演はそれぞれが前の講演者の話を引き継ぐという形で行われ、日本の食糧安保を考えることはもちろんのこと、地球環境を考える機会となりました。

(2012-11-28)