“ジンガ”とは、ブラジル・サッカー選手の巧みな足捌きなどの身体能力、格闘技カポエイラなら基本のステップのことだが、それ以外にも人生の困難をうまく躱し、楽しみながら創造するといった意味合いもある。日本の選手も応援する人たちもこれを取り入れれば、実力を発揮して勝ち上がることも可能になると、ジンガを通じてブラジルの文化や社会、ブラジル人の巧みな人生哲学を学ぼうと説く。
サルバドール生まれのバイアーノ(バイア州人)と結婚して10年近くになる筆者のブラジル見聞と東京等でのブラジル人との生活を通じて、ブラジル人の考え方や姿を伝える。ハプニングを「問題」と捉えずに「チャンス」と見る、それをいかに「躱す」かのテクニック、これを楽しんで開発する勇気と知恵こそジンガ魂との指摘は、ブラジル・サッカーのみならずブラジル人の生き方を端的に表現している。
〔桜井 敏浩〕
(ユキーナ・富塚・サントス セルバ出版発行・創英社/三省堂書店発売 2014年6月 191頁 1,500円+税)