以下に28冊の書籍をご紹介します。
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よろしくお願いいたします。
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■ラテンアメリカ鉄道の旅 情熱の地を走る列車に乗って
著者:さかぐちとおる
発行:彩流社 判型:四六判311頁
メキシコから南の各国の鉄道事情と、実際に旅して出会っためずらしい列車の
数々を紹介した一冊。ブエノスアイレスで使われている日本の旧丸ノ内線車両、
元は砂糖キビを運んでいたけれど今は観光列車を引っ張る蒸気機関車、貨物路線
を無断使用してバイクで駆動して台車で人々を運ぶ“簡易列車”。鉄道ファンなら
ずとも、地元の人々の知恵と生活力を大いに楽しめる。
■カザルスと国際政治
著者:細田晴子
発行:吉田書店 判型:四六判 260頁
カタルーニャが生んだ世界的なチェロ奏者、カザルス。「カタルーニャでは鳥は
ピース、ピースと鳴く」という言葉と共に“平和を象徴する音楽家”として有名だ
が、実はイスラエル問題やベトナム戦争などで政治に利用される場面もあった。
激動の20世紀を生き抜いた信念の音楽家の実像。ロルカやピカソなど、反フラン
コとして知られる芸術家との比較も興味深い。
■境界なき土地
著者:ホセ・ドノソ 訳者:寺尾隆吉
発行:水声社 判型:四六判 176頁
文明から取り残された小村。主人公は女装の男娼マヌエラとその娘ハポネシー
タ。かつてハポネシータの母親が、マヌエラを口説き落として性関係を持てたら
売春宿を譲ると大農園主に約束させ、見事果たしたが、そのついでに生まれてき
たのがハポネシータだった。この土地には住む場所がある、どんなに蔑まれて
も……。チリ人作家が痛々しくもリアルに描く底辺の人々の人間模様。
■Don’t Cross the Bridge Before You Get to the River
川に着く前に橋を渡るな
著者:フランシス・アリス 訳者:河野晴子
監修:東京都現代美術館・広島市現代美術館
発行:青幻舎 判型:B5判 124頁
著者はメキシコシティ在住のベルギー人アーティスト。ジブラルタル海峡とメキ
シコ湾。移民問題を抱えるこれらの海上で、子どもたちが両端から対岸を目指し
て泳いで、またボートを鎖でつないで一列に並べて、「橋を架ける」プロジェク
トを実施してきた。その写真と絵画、ドローイング、手記などで構成されたのが
この作品集。社会問題を遠くにいる私たちにも伝える、心をうつ一冊。
■支倉常長遣欧使節 もう一つの遺産
~その旅路と日本(ハポン)姓スペイン人たち~
著者:太田尚樹
発行:山川出版社 判型:四六判 240頁
20年以上前に、農業経済史のフィールドワークとしてスペインを訪れた著者は、
日本の農村とそっくりな水田風景に出会った。それ以降、「祖先は日本人」とい
うスペインが約800人も住む村に通い、その祖先とされる支倉常長一行の足跡
を、メキシコ、スペイン、バチカンと辿ってきた。ハポン姓のスペイン人との草
の根交流から生まれた、温かみのある読みやすい歴史書。
■日ざかり村に戦争がくる
著者:フアン・ファリス
訳者:宇野和美 画:堀越千秋
発行:福音館書店 判型:A5変形判 88頁
スペインの小さな村に住む主人公の少年は、ある日戦争が始まったと聞かされ
る。だが村では銃声一つしない静かな日々が続く。やがてパンやたばこが届かな
くなり、男たちが村からいなくなる。戦争に行きたくない少年の父親は、山に隠
れるが……。いつのまにか人々の暮らしを侵す戦争の恐ろしさを、静かな筆致で描
く。スペインを代表する児童文学者フアン・ファリアスの名作。スペイン在住の
画家、堀越氏の迫力ある挿絵も必見。
■SPECIALITESスペシャリテ2013(別冊専門料理)
発行:柴田書店 判型:A4 182頁
「南米ガストロノミーの衝撃」というタイトルでペルーとブラジルを特集。豊富
な食材、世界文化の融合ともいえる南米料理が今や独自のパワーを発揮してい
る。その根幹にあるのが「ガストロノミーは社会を変える」との思想。貧富の差
が歴然と残るペルーで「シェフの責務」を語る料理人たちのインタビューが出
色。視覚で楽しむだけでなく、社会と食についても考えさせてくれる。
■ペルソナ・ノン・グラータ
カストロにキューバを追われたチリ人作家
著者:ホルヘ・エドワーズ
訳者:松本健二
発行:現代企画室 判型:四六判 468頁
タイトルは「好ましからざる人物」という外交用語。著者は現在、チリ大使とし
てフランスに滞在中。その著者が1970年末から翌年3月にかけてアジェンデ社会
主義政権の代理公使としてキューバに赴任するが、結局は追われるように出国す
る、その顛末を綴ったのが本書。キューバ体制批判の書として世界的に有名なノ
ンフィクションだ。キューバを離れる前夜、フィデル・カストロその人と交わし
た3時間以上に及ぶ対話が生々しい。
■グァバの香り
著者:G・ガルシア=マルケス 聞き手:P・A・メンドーサ
訳者:木村榮一 発行:岩波書店
判型:四六版 222頁
『百年の孤独』でガルシア=マルケスがノーベル文学賞を受賞した1982年に出版
された対談集の完全訳。幼年期の祖父母との思い出、青年期の読書体験、新聞記
者時代など、ガルシア=マルケス作品に大なり小なり影響を与えた逸話が満載。
著者と聞き手は旧知の間柄。そのためか売れっ子作家になってからの人間関係や
女性問題など、聞きにくいこともズバリ聞いている。
■幻獣辞典
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:柳瀬尚紀 絵:スズキコージ
発行:晶文社 判型:A5変形判 272頁
幻想文学の巨人、アルゼンチン人作家ボルヘスが紡ぎだす幻獣辞典。世界各地の
天地創造神話や伝説、古今東西の詩人や思想家たちの言葉から、ありとあらゆる
空想上の生き物が生みだされる。しかもボルヘスは短篇の名手。世俗の些事をし
ばらく忘れ、妙にリアルな挿絵にドッキリさせられながら、知の迷宮の浮遊感覚
を楽しんでみよう。1974年邦訳版が改版され読みやすくなった。
■ガウディの鍵
著者:エステバン・マルティン、アンドレウ・カランサ
訳者:木村裕美
発行:集英社 判型:文庫判 536頁
1926年に路面電車にひかれて死んだガウディ。だが実は事故死ではなく、ある秘
密を守っていたために暗殺されたのだ。主人公マリアの祖父はガウディからその
秘密を託され、今、それをマリアに託す。古代教団に命を狙われながら、ガウ
ディの建築物に残されたシンボルを手掛かりにマリアは謎を解いていく。バルセ
ロナを舞台に善と悪が激しくせめぎ合うミステリーロマン。
■ミケル・バルセロの世界 形という生命/物質と暴力
著者:小林康夫
発行:未來社
判型:四六版 116頁
日本ではじめての、ミケル・バルセロ紹介本。バルセロは1957年スペインのマ
ジョルカ島生まれ。スペイン現代美術を代表する作家だが、日本では無名に近
い。本書はバルセロと親しい著者(表象文化論専攻)がアトリエや展覧会を訪
ね、制作プロセスを追体験しつつその本質に触れ、またその作品をバルセロの目
と心に成り代わって解説している。たくさんのカラー図版が、読者のイメージ構
築を助けてくれる。
■盆栽/木々の私生活
著者:アレハンドラ・サンブラ
訳者:松本健二
発行:白水社 判型:四六判 210頁
ピノチェト軍事クーデターとそれに続く過酷な日々を自らの記憶として持たな
い、チリの新世代作家による短篇2編。タイトルから想像されるように、いわば
“草食系”男子のラブストーリーだが、孤独感が不意にたちあらわれて胸をうつ。
処女作の『盆栽』はチリ批評家賞、チリ図書協会賞受賞作。2作とも内外で高く
評価され10以上の言語に翻訳された。本邦初紹介の作家だ。
■さらばスペインの日日
著者:逢坂剛
発行:講談社 判型:四六変形判 626 頁
第二次世界大戦中のスペインで、日本人がどのように熾烈な情報合戦を展開した
のか? これをテーマに1997年に週刊誌への連載をスタートし、16年後の本作が
シリーズ7作目、完結編である。実在・架空の人物が入り乱れ、スパイ戦という
観点から第二次世界を描いたエンタテイメント小説。丹念に調べ上げた時代考証
が、著者のスペインへの、また歴史への思い入れを語っている。
■内田桃子のスペイン刺繍
タラベラ、ラガルテラ、内陸部の幾何学模様
著者:内田桃子
発行:マガジンランド 判型:AB判 72頁
スペイン人修道女からスペイン刺繍の技法を継承したという著者が、内陸部に伝
わる2種類の刺繍を紹介。幾何学的なサテンステッチが印象的なタラベラ刺繍、
中世を思わせる図案を繊細なかがり模様で仕上げるラガルテラ刺繍。手芸をしな
い人でも、一針一針刺されたステッチから、歴史や当時の人々の日日の営みに思
いを寄せることができる。技法説明つき。
■棄国子女 転がる石という生き方
著者:片岡恭子
発行:春秋社
判型:四六版 224頁
失恋、母との葛藤などからひきこもりに陥り精神の限界に達した著者は、内にこ
もるか外へ出るかという自問の末、自身の再生をかけて単身南米へ渡る。常識の
通じない旅で何度も死を意識するが、心を癒し再生させてくれたのは南米大陸で
出会った人々だった。生きづらさを感じている多くの人々に、「ここではないど
こか」があるのだとメッセージを送ってくれる。
■ワニのお嫁さんとハチドリのお嫁さん
著者:清水たま子 絵:竹田鎭三郎
発行:福音館書店 判型:26x27cm 52頁
むかしメキシコの海辺で、仲が悪くて100年も戦争を続けていた二つの村が、仲
直りの印にそれぞれの村の娘を花嫁として交換することになった… メキシコに
25年間滞在した著者が、同じくメキシコ在住50年におよぶ画家と組んで贈ってく
れた創作絵本。メキシコのエッセンスにあふれた本で、ページを繰るたびに子ど
もたちの歓声が聞こえてきそうだ。
■3つの鍵の扉 ニコの素粒子をめぐる冒険
著者:ソニア・フェルナンデス・ビダル
訳者:轟志津香 絵:本田亮 監修:池内了
発行:晶文社 判型:A5判 224頁
著者はスペイン人の若い現代物理学者。少年ニコが学校をさぼって3つの鍵の扉
に迷い込み、さまざまな体験をしながら宇宙の成り立ちや素粒子の概念などを学
んでゆく冒険ファンタジー。物理に縁遠くても、巧みなストーリー展開にどんど
ん引き込まれ、テレポーテンションやスーパーポジションという言葉の意味がわ
かってくる。かけがえのない友達と恋人を得た、ニコの成長物語でもある。
■パパのところへ
文:ローレンス・シメル 絵:アルバ・マリーナ・リベラ
翻訳:宇野和美
発行:岩波書店 判型:A4判変型 40頁
外国で働いているパパに送ろうと、毎日ノートに日記をつけているわたし。日曜
日の朝パパからかかってくる電話がとっても楽しみだけれど、ある朝、「こっち
でいっしょにくらそう」と言われる。一緒に住んでいるおばあちゃんや犬、親友
との別れ、新しい世界への不安と期待… だれもが体験することなのに、心がし
めつけられるようなこの感動はなんだろう? 作者もイラストレーターも移住体
験があるという。
■ウユニ塩湖 世界一の「奇跡」と呼ばれた絶景
編者:TABIPPO
発行:いろは出版社
判型:A5判 152頁
南米ボリビア、日本から30時間、標高3700mにあるウユニ塩湖。雨が降ると塩の
上に水が張り、水面は鏡となって空を映す。1年365日ありとあらゆる表情を見せ
るこの大自然の貌をひとりが撮った写真では伝えきれないと、ウユニに旅した
100人以上の旅人が協力して作ったのがこの写真集。感動を共有したいという思
いに満ちた、ウユニ・ガイドブックでもある。
■ラテンアメリカ傑作短編集 中南米スペイン語圏文学史を辿る
編者:野々山真輝帆
発行:彩流社 判型:四六判 356頁
ラテンアメリカ文学はここに産声をあげたといわれる『屠場』(1838年アルゼン
チン、エステバン・エチェベリーア)を皮切りに、時系列で、しかもラテンアメ
リカ文学における文学史的特徴が理解できるような形で編纂されたという短編
集。紹介されている作家18人のうち本邦初登場となるのは10人。カルチャーセン
ターで翻訳を学んだ15人が翻訳を担当している。
■コロンブスからカストロまで
カリブ海域史、1492-1969 全2冊(岩波文庫)
著者:エリック・ウィリアムズ 訳者:川北 稔
発行:岩波書店 判型:文庫版Ⅰ460頁、Ⅱ442頁
5世紀の間、多数の列強の支配を受けてきたカリブ地域。トリニダード島生まれ
の黒人歴史家であり政治家でもある著者が綴った、優れたカリブ地域の通史が本
書。第1巻はコロンブスの航海からハイチ奴隷革命まで、第2巻は奴隷制の廃止か
らカストロ登場まで。1978年本邦初訳。新興国として注目を浴びるブラジルの傍
にあって今なお忘れられたかに見えるカリブに目を向けてみよう。
■モウリーニョvsレアル・マドリー「三年戦争」
明かされなかったロッカールームの証言
著者:ディエゴ・トーレス 訳者:木村浩嗣
発行:ソル・メディア 判型:四六判 344頁
サッカーの欧州3大リーグ(イングランド、イタリア、スペイン)を全て制した
初めての監督、モウリーニョ。そのレアル・マドリー監督時代(2010-2013年)
を高級紙エル・パイスのスポーツ記者が綿密な取材に基づいて著した。訳者も
サッカー専門誌の編集長。スペシャリストたちの緊張感が、ロッカールームの緊
張感を克明に伝えてくれる。
■ボンバストゥス博士の世にも不思議な植物図鑑
著者:イバン・バレネチェア 訳者:宇野和美
発行:西村書店 判型:B4変型48頁
19世紀の植物学者ボンバストゥス博士が紹介する26の奇想天外な植物たち。午前
零時までに収穫しなければならない「馬車カボチャ」、いやな求婚者を優雅に追
い返せるティアラ・イラクサなど。植物名を不思議に思ってページの隅々に目を
やると、おもわず笑ってしまうユーモアを発見したり、不思議さが募ったり。ブ
ラティスラヴァ世界絵本原画展で2011年に金牌受賞の、大人の絵本。
■イベリコ豚を買いに
著者:野地秩嘉
発行:小学館 判型:四六判 256頁
高級食材として有名なスペインのイベリコ豚。でも本当にどんぐりだけを食べて
育つ豚がいるのか? 疑問を抱いた著者は4年を費やして現地で生ハムづくりを
丹念に取材した。真っ赤な紙に押し型で刻印された黒豚の表紙カバー。「どんぐ
り」と「豚」に愛嬌を感じた著者は、ついにイベリコ豚は文化だと断言する。そ
んな著者の豚への愛がほほえましい「食ノンフィクション」。
■ガリシア 心の歌 (書籍CD)
著者:浅香武和
ソプラノ:芳賀美穂 ピアノ:西川理香
発行:論創社 判型:四六変型判 112頁
ガリシアにはラモーン・カバニージャスという詩人がいたという。キューバに渡
り、郷愁の思いをガリシア語で綴った…… この詩人の生涯と作品を、視覚と聴覚
で楽しめる書籍CD。歌曲になっている詩の楽譜を探して集め、ガリシア語を日本
語に翻訳しその意味を丹念に説明しつつ、ガリシア語で歌ってもらってCDを制作
した。膨大な労力と、ガリシアを想う心に満ちた一冊。
■タパスマニア スペインのバルフード
発行:柴田書店 判型:B判変型 128頁
マドリードとバルセロナの2大都市のほか、バスクやナバラ、ガリシア、アンダ
ルシア各州の個性あふれる19のバルとその名物タパスを紹介。一日に100種のピ
ンチョスをスマートに繰り出すバル、ポテト料理1品なのに毎日皆が通う親父バ
ル… タパスのことなら何でも知ろうとマニアックに作られた、バル賛歌の1冊。
■幸せが見つかる23のヒント
著者:アルベルト・エスピノーザ
翻訳:松枝愛 発行:日本能率協会マネジメントセンター
判型:四六判 176頁
14歳で小児がんを発病、片脚と片肺、肝臓の一部を切除して10年後に完治した著
者。闘病生活を共にした「ハゲ友」のうち22人は死亡。彼らから得たもの、医者
や介護士のことばから汲みとったもの、それが本書のベースだ。自己啓発本なの
に、心が揺さぶられて文字が涙でかすんでしまう。電車の中で読んではいけません。
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