『棄国子女 -転がる石という生き方』 片岡 恭子 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『棄国子女 -転がる石という生き方』 片岡 恭子


スペインに語学留学した後2001年から2年4か月にわたりラテンアメリカの13の国と地域を訪れ、2か国で不法就労したバックパッカーの旅行記。

チリからアルゼンチンのパタゴニアの旅から始め、ボリビアのポトシ鉱山見学ツアー参加、暫く“沈没”(長逗留)したクスコ、食あたりに苦しんだペルー・アマゾン河の船旅、凄まじい道路事情のボリビアのバスの旅、日系人経営の小会社で働いたパラグアイ、検問所で兵隊に賄賂を要求され、滞在中に旅行代理店で日本人旅行者の相手を務めたベネズエラ、ツアー客を誘拐するゲリラが横行するコロンビアのカリブ海沿岸の遺跡ツアー参加等々の旅と、旅先で出会ったバックパッカーやラティーノ達や日系人の家族との対話がエッセイ風に語られている。

書名は、日本で心を病み自分自身の再生を賭けた荒療治として南米への旅に出た著者の、日本の社会や状況への否定的な心情から出たもののようだ。

〔桜井 敏浩〕

(春秋社 2013年11月 222頁 1,700円+税)