著者は童話作家、アニメーション映画化された『魔女の宅急便』のほか、24歳だった1959年の初夏、結婚したばかりの夫と移民すべく貨客船でブラジルに渡り2年間過ごした体験を基に書いた『ルイジンニョ少年 ―ブラジルをたずねて』(ポプラ社 2019年 https://latin-america.jp/archives/34474 )の児童向け図書がある。
中学二年生の娘リオの夏休みに、再び娘を伴って50日間の予定でブラジルを訪れ、サンパウロに降り立ち、アパートの部屋を借りて近所のいろいろなブラジル人家族と付き合いながら、今の首都ブラジリア、植民地時代の首都サルバドール、独立後長く首都だったリオデジャネイロを回り、念願だった田舎を訪れたいとパラナ州の日系人の鶏が鳴く農場を訪れて長距離バスでサンパウロに戻った。旧知の画家に会ったりして帰国の途についたが、再会を果たせなかったルイジンニョの歌手だった母がYouTubeで歌っているのを知り、メールでルイジンニョとも連絡がついた。
著者のブラジルへの60年余の思いとほのぼのとした人々との交流が、読む者にも伝わってくる児童向けのブラジル旅行記。
〔桜井 敏浩〕
(ポプラ社 2020年10月 167頁 1,650円+税 ISBN978-4-591-16795-3 )