稲や小麦と並ぶ世界三大作物に数えられるトウモロコシはそれらの中で最も生産が多いが、原産地は中央アメリカで中南米に伝わり、メソアメリカのオルメカ、マヤ、アステカ文明、アンデスのインカ等の諸文明を支え、その後スペイン人の侵攻により欧州からアフリカ、アジア等に伝播して世界各地に拡大し、大切な食糧になっている。
本書はこの地球で重要作物であるトウモロコシの種類、各地への伝播、作型、生育の仕組み、生産、用途などと共に中南米の家族農業と米国や欧州、アジアでのトウモロコシ作と近代的農業、南北アメリカや欧州、アフリカ、アジアでの加工法と調理法、世界の需給と貿易、生産拡大へ向けた取り組みと日本の生産・消費に至るまで、児童向けだがトウモロコシのすべてを平易に分かり易く説明している。トウモロコシについて、さらにその歴史を知るには、『トウモロコシの歴史(「食」の図書館) 』(マイケル・オーウェン・ジョーンズ 原書房 2018年 https://latin-america.jp/archives/46634 )を読むことをお薦めする。
〔桜井 敏浩〕
(一社)農山漁村文化協会 2019年3月 59頁 3,500円+税2018年 ISBN978-4-540-18135)