『ルベン・ダリオ物語全集』 Rubén Darío 渡邉尚人訳 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ルベン・ダリオ物語全集』  Rubén Darío 渡邉尚人訳


 本書は、ニカラグアの国民的詩人でモデルニズム文学の巨匠、ルベン・ダリオの『物語全集』の初の邦訳である。ルベン・ダリオは、その詩で有名であるが、100以上の短編物語や散文も執筆しており、代表作「青…」、「冒涜の散文」、「ニカラグアへの旅」等に掲載された作品を中心に新聞、雑誌、文学誌等に掲載された未発表作品も含めて86作品が掲載されている。
 モデルニズム特有の広範な知的好奇心に基づく幅広いテーマ、愛や人生、青春、女性美、生と死、富裕なブルジョアと貧しき芸術家の対比、先住民世界、奇妙な逸話や伝説、神話、おとぎ話、戦争の英雄、コスモポリテイズム、宗教的神秘、官能、空想と科学等につきルベン・ダリオは詩人、ジャーナリスト、外交官の目から皮肉とユーモアを交えながら、知的で自在な語り方で饒舌に語り、味わい深い現代的物語を紡いでいる。
 そして本書には、作家吉本ばなな氏の帯文と序文、さらにニカラグア言語アカデミー会長、欧州王立博士アカデミー会長、ルベン・ダリオ世界運動会長の序文が寄せられており、ルベン・ダリオ研究の世界的な広がりを見ることができる。また「この、高潔で美しく甘い味を持つ魂の大きな力に、時代を超えて触れることができてよかったと思う」との吉本ばなな氏の帯文は、本書の歴史を超えた文学的な重要性を惹起するものであろう。訳者は、前駐バルセロナ日本国総領事。

〔渡邉 尚人-訳者紹介〕

(文芸社 2021年4月 483頁 1,600円+税 ISBN978-4-286-22498-5 )

〔ニカラグアの詩人ルベン・ダリオについは、訳者が『ニカラグアを知るための55章』(2016年 明石書店)の中で簡潔に紹介している。https://latin-america.jp/archives/20866   桜井 敏浩〕
 〔『ラテンアメリカ時報』 2021年春号(No.1434)より〕