連載レポート103:桜井悌司「インターネット自由度ランキング2022 とラテンアメリカ」 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート103:桜井悌司「インターネット自由度ランキング2022 とラテンアメリカ」


連載レポート103

インターネット自由度ランキング2022とラテンアメリカ

執筆者:桜井悌司(ラテンアメリカ協会常務理事)

「いくつかの特徴」

2022年10月18日付けで、米国の人権団体のフリーダムハウスが、「インターネットの自由度ランキング2022」を発表した。調査対象は、70カ国と少ないが、それによると、いくつかの特徴が見いだされる。

  1. 世界のインターネットの自由度が12年連続して低下した。
  2. Forbesによると、調査対象の内、28カ国がネット上の人権が悪化、世界のユーザーの3分の2以上が、表現を制限されている。
  3. 中国が昨年に続いて、インターネット自由度世界最低の70位にランクされた。
  4. ロシアも戦争反対のデモを鎮圧するために海外のSNSへのアクセスを制限している。
  5. 22年度のランキングでは、1位がアイスランド、2位がエストニア、3位がコスタリカとなっている。コスタリカの3位は注目に値する。
  6. 22年度のインターネットの自由度ランキングの詳細は、下記から確認できる。https://freedomhouse.org/countries/freedom-net/scores

「ラテンアメリカの特徴は」

対象国70か国の内、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、キューバ、エクアドル、メキシコ、ニカラグア、ベネズエラの9カ国のみの調査対象となっている。それによると、インターネットの自由度がフリーとなっている国は、3位のコスタリカ(100点満点で88点)と⒘位のアルゼンチン(71点)のみである。部分的に自由となっている国は、21位のブラジル(65点)、23位のコロンビア(64点)とエクアドル(64点)、27位のメキシコ(61点)、45位のニカラグア(45点)の5カ国である。残りの2カ国は、55位のベネズエラ(30点)と67位のキューバ(20点)の自由が無い国とされている。社会主義の国は総じて、インターネットの自由が制限されていることがわかる。

合計点の中の( )は2021年度の得点である。これによって対前年度比の上下が理解できる。なお参考までに、欧米の国々とアジアの国々のランキングと得点も下記に紹介する。

インターネット自由度ランキング2022 世界70カ国対象 ()内は2021年

国 名 世界

順位

Total Score & Status

合計点と

自由度の状況

Obstacles to Access

アクセスへの障害

Limits on contents

内容に対する制約

Violation of User Right

個人権利の侵害

Argentina ⒘位 71(71)   Free 19 27 25
Brazil 21位 65(64)  Partly Free 20 24 21
Colombia 23位 64(65)Partly Free 19 24 21
Costa Rica 3位 88(87)   Free 21 34 33
Cuba 67位 20(21)   Not Free 4 9 7
Ecuador 23位 64(62)  Partly Free 18 24 22
Mexico 27位 61(60)  Partly Free 18 25 18
Nicaragua 45位 45(48)  Partly Free 11 17 17
Venezuela 55位 30(28)   Not Free 7 12 11
           
Japan 8位 77(76)   Free 22 29 26
China 70位 10(10)   Not Free 8 2 0
Korea 20位 67(67)  Partly Free 22 24 21
Taiwan 5位 79(80)  Free 24 30 25
Singapore 35位 54(54)  Partly Free 19 17 18
           
USA 12位 76(75)  Free 21 30 25
Canada 4位 87(87)  Free 23 28 25
UK 6位 79(78)  Free 24 30 25
France 11位 76(78)  Free 23 29 24
Germany 8位 77(79)  Free 23 28 26
Russia 65位 23(30)  Not free 11 6 6

Freedom House が世界70カ国のインターネットの自由度を調査したもので、2022年10月に発表された。

「報道の自由度ランキングに見るラテンアメリカ」

インターネットとは異なるが、パリに本部を置く「国境なき記者団」が2002年より開始された「報道の自由ランキングのリストも紹介する。なぜなら報道の自由はインターネットの自由と大いに関係するからである。2022年版は、2022年6月に発表されたが、世界180カ国を対象としている。

2022年10月に、ラテンアメリカ協会のホームページの投稿欄のレポートのコーナーで「世界ランキング最新7調査に見るラテンアメリカの主要国の立ち位置」https://latin-america.jp/archives/54984で2022年のレポートを取り上げているが、ここでは、2020年から2022年のランキングを紹介する。それ以前のランキングは下記のウエブサイトを参照のこと。https://latin-america.jp/archives/43967

「ラテンアメリカの特徴」

ラテンアメリカ諸国のいくつかの特徴を指摘する。

  1. インターネット自由度で成績の良いコスタリカ(8/180)やアルゼンチン(29/180)は報道に自由度でも上位に位置している。
  2. 総じて、カリブ海に位置する国々のランキングが高い。例えば、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ、ガイアナ、スリナム等である。
  3. 中南米の3大人口大国のブラジル(110/180)、メキシコ(127/180)、コロンビア(145/180)は低いランクとなっている。
  4. ベネズエラ(159/180)、キューバ(173/180)、ニカラグア(160/180)はインターネット自由度と同じく、低位となっている。
  5. 過去3年で順位を10ポイント以上上昇した国は、下記の通り。アルゼンチン(35)、エクアドル(29)、ドミニカ共和国(24)、ペルー(20)、メキシコ(16)、ハイチ(13)、トリニダード・トバゴ(11)である。
  6. 反対に過去3年で、10ポイント以上ランクを下げている国は、ニカラグア(43)、エルサルバドル(38)、スリナム(32)、チリ(31)、ウルグアイ(25)、ホンジュラス(17)、コロンビア(15)、ベネズエラ(⒓)、ボリビア(⒓)である。
LA順位 国 名 世界ランク2022 世界ランク2021 世界ランク2020
1位 Costa Rica 8/180    85.92 5位 7位
2位 Jamaica 12/180   83.35 7位 6位
3位 Trinidad & T 25/180  78.68 31位 36位
4位 Argentina 29/180   77.28 69位 64位
5位 R.Dominicana 30/180   76.90 50位 54位
6位 Guyana 34/180   76.41 30位
7位 Uruguay 44/180   72.03 18位 19位
8位 Suriname 52/180   68.79 19位 20位
9位 Ecuador 69/180   64.61 91位 98位
⒑位 Haiti 70/180   64.55 87位 83位
⒒位 Panama 74/180   62.76 77位 76位
⒓位 Peru 77/180   61.75 91位 97位
⒔位 Chile 82/180   60.61 54位 51位
⒕位 Paraguay 96/180   58.36 100位 100位
⒖位 Brazil 110/180  55.36 111位 107位
⒗位 El Salvador 112/180  54.09 82位 74位
⒘位 Guatemala 124/180  47.94 116位 116位
⒙位 Bolivia 126/180  47.58 110位 114位
⒚位 Mexico 127/180  47.57 143位 143位
⒛位 Colombia 145/180  42.43 134位 130位
21位 Venezuela 159/180  37.76 148位 147位
22位 Nicaragua 160/180  37.09 121位 117位
23位 Honduras 165/180  34.61 151位 148位
24位 Cuba 173/180  27.30 171位 171位
         
  Japan 71/180   64.37 67位 66位

以   上