2016年から世界・中南米各地を訪れている写真家が、特別な感慨を与えてくれた場所を本書では“変境”と名付け、中南米ではシャーマニズムが残るメキシコ南部のオアハカ州の町、ペルーアマゾン河流域とインカの旧首都クスコでの幻覚剤も使う儀式、2017年9月にキューバの首都ハバナを襲った大型ハリケーン・イルマの被害、世界一標高の高い金鉱山の町ペルー南西部のアンデス山中5,100mのラ・リンコナダ、17世紀半ばまで世界の銀の約半分を産出したボリビアのポトシで依然行われている過酷な坑内作業が18~71頁にわたって撮影したカラー写真集。他に米国カリフォルニア州の廃車から成るカーヘンジ、ジョージアのソヴィエト連邦時代のリゾートホテルの廃墟、原発事故後のチェルノブイリ立入禁止区域、ネパールの生け贄祭り、COVID-19に因ってロックダウン下のインドのニューデリーの取材写真が収録されている。
著者には中南米の幻覚植物を扱った『神秘の幻覚植物体験記~中南米サイケデリック紀行』(彩図社 2019年 https://latin-america.jp/archives/41092 )がある。
〔桜井 敏浩〕
(彩図社 2022年9月 144頁 2,200円+税 ISBN978-4-8013-0622-6 )