『君たちの記念碑はどこにある? -カリブ海の〈記憶の詩学〉』
中村 達 柏書房
2025年7月 351頁 2,300円+税 ISBN 978-4-7601-5632-0
著者は日本の大学院を満期退学した後ジャマイカ等にキャンパスをもつ西インド諸島大学に留学し博士号を取得し、現在は千葉工業大学准教授。専門は英語圏を中心にしたカリブ海文学、思想。
前作『私が諸島である-カリブ海思想入門』(書肆侃侃房、2023年。本誌2024年秋号で紹介)に続く英語圏カリブ海思想を、コロンブスとの遭遇以降の先住民の殲滅、植民地主義、奴隷制、抵抗、革命といった歴史から現代のアフリカ・インド系住民の対立やジェンダーによる暴力等に至るまで、その土地、風景に刻まれた記憶を救い上げるカリブの作家たちのヴィジョンを通して描かれる記憶(著者は「地憶」と呼ぶ)を論じ、西欧中心の実証主義的で直線的な歴史観に抗うカリブ海作家たちの創造的アプローチによって記述される「記憶」とそれが生み出す詩学、思想を日本の読者に紹介しようとしたもの。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2025/26年冬号(No.1453)より〕