上智大学イベロアメリカ研究所で、新規に立ち上げた公開教養講座も今年度で3年目を迎えます。通算第5回となる今回のテーマは、「コロンビア和平の現状」です。
コロンビアでは、半世紀以上にわたり様々の非合法武装組織の存在により国内紛争に苦しんできましたが、2016年9月、ようやく左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)との間に和平合意を締結しました。この歴史的ニュースは世界の注目を集めました。しかし直後の国民投票でこの和平合意は否決され、国際メディアでは衝撃をもって報道されました。幸い2か月後には修正和平合意が国会で承認され、現在はFARCの武装解除が始まっています。現在、コロンビアの和平プロセスはどのような状況にあるのでしょうか。「紛争後社会」に向けて、国民の合意形成はあるのでしょうか。
本講座では、まずこれまでの紛争と和平政策の歴史にさかのぼり、2016年の和平合意までの道のりを振り返ります。そして「紛争後」へと進むコロンビアにとって、真の和平構築、国民和解にむけてどのような課題と展望があるのかを、「統合的農村開発」、「移行期正義」、「和平の恒久化」という側面に焦点を当てて考察します。皆さまどうぞ奮ってご参加ください。
イベロアメリカ研究所公開講座 ラテンアメリカ・レクチャーシリーズ⑤
「コロンビア和平プロセスの今―『合意後』から『紛争後』社会に向かう課題と展望―」
② 6月29日(木)
「コロンビアの移行期正義―元非合法武装組織戦闘員に対する処罰の変遷―」
【講師】 千代勇一(帝京大学外国語学部講師)
コロンビア革命軍(FARC)との歴史的な和平合意が国民投票によって否決されたことは、国内外に大きな衝撃を与えました。国民投票でNOが投じられた理由の一つは、ゲリラに対する処罰の「軽さ」とも言われています。しかし過去の和平プロセスとの比較において、今回の合意内容にある元FARC兵への処罰は極端に軽減されたわけでもありません。本報告では、コロンビアの和平プロセスにおける非合法武装組織の戦闘員(加害者)の処罰がこれまでどのように行われてきたのかを検証し、今回の処罰に関する法的枠組みが形成されてきた背景を明らかにします。移行期正義の問題を巡る議論を整理しながら、今日のコロンビアが抱える制約とこれから適用される法的枠組みの意味を考えたいと思います。
【場所】中央図書館9階 921会議室(定員150名)
【時間】17:00 ~ 19:00
【参加費】無料/予約不要(先着順)
【主催/問い合わせ先】上智大学イベロアメリカ研究所 ibero@sophia.ac.jp
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