ウルグアイ映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

ウルグアイ映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』


原題:El Pepe, Una Vida Suprema
エミール・クストリッツア監督・聞き手(『アンダーグラウンド』)
ホセ・ムヒカ、ルシア・トポランスキー出演
配給:アルバトロス・フィルム
アルゼンチン / ウルグアイ / セルビア74分
3月27日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

https://pepe-movie.com/

 ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカ。「世界で一番貧しい大統領」と全世界から注目を浴びるようになったのは、2012年のリオデジャネイロでのスピーチだった。まん丸な体とやさしい瞳のムヒカから放たれたのは、環境危機を引き起こしている真の原因は、消費至上主義であるという鋭くも真っ当な指摘。経済発展は必ずしも人類の幸福に結びついておらず、むしろ経済格差が広がり続ける現状を憂い、怒り、よりよい未来に向けて行動を起こせと呼びかけたのだ。このスピーチは世界中に感動を与え、ムヒカは2013年、14年とノーベル平和賞にノミネート、日本でも多数の本が出版され2016年には初来日を果たした。
 国民のより良い生活のために自己犠牲をいとわず、予想外の政策を打ち出すムヒカ。そんな姿に憧れる映画監督がいた。それは故郷ユーゴスラビアの混沌とした時代と庶民をパワフルに描き、世界三大映画祭で絶賛された名匠エミール・クストリッツァだ。クストリッツァは、トラクターに乗る大統領の存在を知り、「世界でただ1人腐敗していない政治家だ」と直感。2014年からムヒカの撮影を開始し、大統領としての任期満了する感動の瞬間までをカメラに収めた。
 極貧家庭に育ち、左翼ゲリラとして権力と戦い、愛するパートナーと離ればなれの苛烈な拘留生活を経て、大統領として国民に愛されたムヒカ。波乱万丈の人生が終盤にさしかかった彼が語る言葉に、今こそ耳を傾けたい。