翡翠の仮面の王は何を語るのか
現代に到り、「碑文(ひぶん)の神殿」の床下の土砂を四年に渡り取り除くと、翡翠(ひすい)の仮面を被り幾多の装飾品を脇にした、当時のパカル王の遺体が発見された。それは初めての未盗掘の王墓であり、マヤのピラミッドは王墓ではないという定説が覆った瞬間でもあった。
パレンケは数ある古代マヤの都市の中でも死と再生を司る特別な宗教都市としての役割を持ち、マヤ文明の世界観や文明の本質を知るうえで貴重な古代遺跡でもある。また当時大変高価で貴重な翡翠をどうやって手に入れたのか、王の権勢と共に想いを致すのも一興で(翡翠のマスクを被ったパカル王) あろう。
死してなお生きる碧玉(へきぎょく)の仮面のパカル王の声なき言葉に耳を傾け、この超絶した文明の一端を、世界的研究の現在進行形として改めて把握して行きたい。
「世界古代文明の謎を探る」(91)マヤ・死と水の都パレンケとは