ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC 2025-5 2025 年 9 月 「歴史から見たラテンアメリカのかたちーその 11: ポスト冷戦期とこれからのラテンアメリカ」渡邉利夫
【要旨】
この稿ではポスト冷戦期の米州を国際政治から俯瞰して説明する。冷戦が終わると米国一強の時代が始まり、米国は「米州自由貿易経済圏」構想と民主主義の深化を推進し始めたが、「新経済自由主義」の弊害から格差の是正を唱える新左翼政権が台頭し、その目論見は挫折した。その新左翼の国々は米国が進めるパンアメリカニズムに抵抗しラテンアメリカだけでまとまるボリーバル主義の地域統合を始めた。米国一強の時代が終わったからである。
しかし、その統合の動きは各国の思惑の違いから平たんなものではなかった。新左翼政権も思うような成果を出せなかったことで「右旋回」の現象が起った。その後幾つかの国で新左翼が政権を取り戻すという揺り戻し現象も起こった。米国が長期的な戦略を打ち出さない中で国際秩序の再編を目論む中国が貿易・投資を先兵にラテンアメリカに進出した。
こうしたポスト冷戦期の米州情勢を説明したうえで、最期にこれからのラテンアメリカについて書いてこの稿を閉じる。
キーワード: 「米州自由貿易経済圏 FTAA」、民主主義の定着、地域統合、新左翼主義、中国の進出。
| ファイル名(File Name) | ILAC2025_5.pdf |
|---|---|
| ファイル容量(File Capacity) | 1 MB |
| バージョン(Version) | 1 |
| 作成日(Published) | 2025年9月4日 |
| ダウンロード回数(Downloaded Numbers) | 113 回 |
| カテゴリ(Category) | ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート |
