【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】《ワシントン報告》 「コロナ禍後のグローバリゼーションに関する一考」 ホワイト和子
コロナウイルス感染の世界的な拡大により、多くの国々がより国家主義的政策を採用したため、グローバリゼーションは終焉を迎えるのではないかという議論がある。
従来の経済のグローバリゼーションは、自由貿易拡大、サプライチェーンのグローバル化、人の移動と金融・サービスの自由化による水平統合を促してきた。しかし、それによって先進国のみならず、途上国でも貧富の格差が拡大し、グローバリゼーションから取り残された層に対する効果的な施策は放置されてきた。これらの人々の不満が増大し、ポピュリズム(大衆迎合主義)やナショナリズムの傾向が世界の随所で見られるようになっていた状況下、コロナウイルスのパンデミックが発生。これまでグローバリゼーションを謳歌してきた国々も、急遽自国優先の政策に走った。
しかし、21世紀はグローバリゼーションに代わり、経済の国家主義が世界的に台頭すると言う意見は少ない。むしろ、これまでのグローバリゼーションが見直され、21世紀型のグローバリゼーションに変化していくという議論には頷ける。そこでは、モノ・人、資金のみならず、国境を自由に超える情報が重要なプレーヤーとなり得る。人類が自由にアクセスでき、貧困層が資するような情報通信の環境やインフラの構築は、国境を超える水平統合のみならず、全ての層を繋ぐインクルーシブな縦型のグローバリゼーションを可能とすることであろう。
グローバリゼーションの是非の議論ではなく、この機会にどの様に変えていくべきかという議論が必要とされている。
ファイル名(File Name) | ホワイト「コロナ禍後のグローバリゼーション-最終版」.pdf |
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ファイル容量(File Capacity) | 311 KB |
バージョン(Version) | 1 |
作成日(Published) | 2020年6月12日 |
ダウンロード回数(Downloaded Numbers) | 295 回 |
カテゴリ(Category) | ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート |