『ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC2023-07 2023年9月「歴史から見るラテンアメリカのかたち その 4―啓蒙思想を灯火に独立するも―」渡邉利夫』
【要旨】
ラテンアメリカの独立は 19 世紀初めにナポレオンのイベリア半島侵攻がきっかけに始まった(但しフランス領ハイチはフランス革命が原因)。スペインで国王が退位されられると、イスパノアメリカ各地で「政務委員会」ができ、 独立運動になった。運動はボリーバル軍がカラカス、サン・マルティン軍がブエノス・アイレスから植民地体制の牙城であるペルーを攻める形で進んだ。同じ頃イダルゴが独立の狼煙をあげたメキシコでは一旦挫折するが、 後にクリオーリョ層が主導する形で実現した。
ブラジルの場合は、ポルトガルを占領されて国王が避難してきたことで始まるという王室の分離方式であった。この稿でも国際政治との脈絡で見る。 ラテンアメリカとの貿易を考える英国はスペインの「摂政政府」を助けながらも独立運動も支援し、米国は「モンロー宣言」を出して独立運動を助けた。
独立運動の思想的背景はフランス革命を起こした啓蒙思想であった。 独立は 1800 年前後に大西洋の両岸で起った革命と位置付けられているが、ラテンアメリカの場合、 植民地時代からの封建主義やカウディ―リョ主義が強く残り、独立してもすぐさまアメリカ合衆国のように自由な平等な市民による民主的な政治にならなかった。
キーワード : ナポレオンのイベリア半島侵攻、カディスの「摂政政府」、 啓蒙思想と独立運動、王室の分離で独立したブラジル、中途半端に終わった民主主義。
ファイル名(File Name) | ILAC2023_4v2.pdf |
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ファイル容量(File Capacity) | 1 MB |
バージョン(Version) | 1 Previous versions |
作成日(Published) | 2023年9月11日 |
ダウンロード回数(Downloaded Numbers) | 176 回 |
カテゴリ(Category) | ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート |