執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)
はじめに
ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第35回は仏領ギアナ旗の不思議である。仏領ギアナは名前が意味する通り、独立国ではなく、フランス領(1946年フランスの植民地から海外県)であるが、ラテンアメリカ諸国の国旗の中でも重要な旗であるので、取り上げるものである。
仏領ギアナ概況は下記
公式名 ギュイヤンヌ・フランセーズ海外県(La préfecture de Cayenne)
公用語 フランス語
行政所在地 カイエンヌ
1.仏領ギアナ旗旗
図1 現在の仏領ギアナ旗
出所:https://fr.wikipedia.org/wiki/Fichier:Flag_of_French_Guiana.svg
1-1.仏領ギアナ旗旗の根拠法
2010年1月29日、ギアナ海外県県議会(Le Conseil général)にて採択された。この旗は43年前にギニア労働組合がその創設総会に採択したものである。
出所:https://web.archive.org/web/20121117075434/http:/www.cg973.fr/Le-Conseil-general-adopte-le
旗は長方形、左上部から右下部に斜めの線に分割される。右上部緑、左下部黄。旗中央に5角形赤い星を配する。フランス政府からは非公式の旗とされている。仏領ギニアの公式国旗は三色旗、つまりフランス国旗である。
1-2. 仏領ギアナ旗旗の歴史
国旗の日(国旗制定日・独立記念日) 1月29日
1967年9月のギニア労働組合(UTG)創設総会にこのギニア人の旗が登場した。これは、国の象徴的な人物、Turenne Radamontheの下での総会でのことであった。
1-3. 仏領ギアナ旗旗の色
緑色は国土を覆う森林を。
黄色は黄金、国土の資源を。
赤色はギニア人の血の色を表す。
中央に配された星は当初、労働組合が志向した社会主義を表したが、現在はギニア人の血を表現していると再認識されている。
1-4. 仏領ギアナ旗旗とキューバ国旗
仏領ギアナには宇宙センターがある。
名称:ギアナ宇宙センター/Guyana Space Center (GSC)
小分類:打ち上げ射場
国名:フランス
所在地:フランス領ギアナ北部クールー
設立年月日:1967年
フランスは1965年11月、アルジェリア南部、サハラ砂漠にあるアマギール射場でディアマン・ロケットを発射、A1衛星の軌道投入に成功した。しかし、1967年にアルジェリアとの協定が期限切れとなったため、その代替射場として北緯5度14分と低緯度で、地球の自転を利用しやすい北東側に海面の開けているクールーが選ばれた。建設は1964年から始まり、1968年4月に初めてベロニーク探査ロケットの打ち上げがおこなわれている。続いてディアマンおよび欧州ロケット開発機構(ELDO)の、ヨーロッパ・ロケットによる衛星打ち上げも行われたが、1970年代中盤にはいったん休眠状態に入った。クールーに再び活気が戻ってくるのは、ESA(欧州宇宙機関)がアリアンロケットの打ち上げを開始した1977年からで、1999年12月現在までにおこなわれた125回のアリアン1、アリアン2、アリアン3、アリアン4、アリアン5打ち上げは、すべてギアナ宇宙センターからである(成功率約94%)。
出所:http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/kaihatu_kikan_gsc.html
図2 ギアナ宇宙センター
出所:http://www.cnes.fr/web/CNES-fr/6919-cnes-tout-sur-l-espace.php
以 上
今回で、国旗シリーズを終了します。過去の掲載分は下記の通りです。ご活用ください。西岡勝樹